
企画職がClaudeで社内アンケートのスライド自動生成に挑んだ話
はじめに
前回は、ChatGPTとGeminiを使ってGoogleフォームのアンケート作成を効率化した話を書きました。
前回記事はこちらです。
今回はその続きとして、集まったアンケート結果を「編集可能なGoogleスライド」にするところまでAIで自動化できないか、試してみた記録です。
「AIを使えばプレゼン資料もサクッと作れるんじゃないか」
正直、最初はそう思っていました。
本記事は、プロダクトマーケティングマネージャーである私が、社内アンケート結果のGoogleスライド化をClaudeで自動生成しようとして試行錯誤した過程をまとめたものです。
技術者ではない企画職が、AIを使ってどこまでスライド作成を自動化できるのか。その過程と、最終的に見えてきた「AIとプレゼン作成の正しい付き合い方」をお伝えします。
結論から言うと、スライドの中身づくりやコード生成にはAIがかなり使えました。一方で、既存デザインを保ったまま編集可能なGoogleスライドに変換する部分は、想像以上に難しかったです。
使ったツールはClaude Design、Claude(コード生成)、Gemini。それぞれ得意・不得意がはっきり分かれていました。
そもそも何をしたかったか
社内アンケートの集計データがあり、それを 他のメンバーが編集・活用できるGoogleスライドのレポート にまとめる必要がありました。
条件はこうです。
- 会社のデザインシステムに沿ったビジュアル
- ドーナツチャート、横棒グラフ、数字カードなどを含む20枚超の構成
- 他のメンバーが編集できるGoogleスライド形式で納品
手作業でやれば数時間かかる作業です。「AIに任せれば自動化できるのでは」と考えたのが、今回の試行錯誤の始まりでした。
※社内データやデザインシステムの情報をAIツールに渡す場合は、社内ルールや利用規約を確認し、機密情報・個人情報を含めない形で扱う必要があります。今回は、外部に出しても問題ない集計値やデザイン情報に限定して検証しました。
第1章:Claude Designで作ってみた
最初に試したのが Claude Design です。
※2026年7月3日時点では、Claude Designはresearch preview / ベータ版として、Pro、Max、Team、Enterpriseプランで利用可能です。
結果は想像以上の完成度でした。
会社のデザインシステムのCSS変数(カラーパレット、タイポグラフィ)を渡すと、ドーナツチャートも横棒グラフも、見た目としてはかなりきれいに再現してくれました。
ここで最初の壁にぶつかります。
きれいに作れたものの、今回生成されたHTMLは動的なレンダリング構造になっており、ブラウザの印刷機能では全ページを期待どおりにPDF化できませんでした。具体的には、ブラウザの「印刷」→「PDF保存」を試しても、最初の数枚しか出力できませんでした。
「PDFでいいか」とも思ったのですが、他のメンバーが編集できないという、共有資料としては大きな問題があります。
共有資料として使うなら、編集可能なGoogleスライドが必要でした。
Claude Designはいつ使うべきか
- 自分だけが見る資料、またはPDF・画像として共有するだけでよい場合 → かなり有力な選択肢
- GoogleスライドやPPTXが最終成果物の場合 → 本番データを流し込む起点にするより、デザイン確認用のモックとして使う方がよさそう
ここを最初に判断できていれば、後の試行錯誤はなかったかもしれません。
第2章:HTMLからPPTXに変換してみた
次の手は「HTMLを解析してPPTXを生成し、Googleスライドにインポートする」でした。
ClaudeはHTMLのレイアウトを解析したうえでPPTXを生成してくれました。最初のバージョンではグラフが崩れましたが、ShapeとSVGを活用するよう改善すると、かなり完成度が上がりました。
ただ残る課題もありました。
- フォントが会社指定のものから変わる
- SVGで描画したドーナツチャートはPPTX上で「画像」扱いになり直接編集できない
「あとは手で微修正すればいい」というレベルには達しました。
第3章:Geminiにも頼んでみた
「GoogleスライドはGeminiの方が得意では?」と思い、試してみました。
プロンプトを渡すと、こんな返答が来ました。
「内容面では、最新の調査データ(外部統計)を反映させ、実用的なビジネス資料として構成しました」
こちらの意図とは異なり、外部データを反映した構成になっていました。
社内アンケートの結果を伝えたのに、別のデータが混入してしまうと、今回の用途では大きな問題です。
「変更禁止」という否定命令を「肯定命令」に書き換えるなどプロンプトを工夫しましたが、改善しませんでした。
GeminiのGoogleスライドまわりのUI連携は魅力的でした。
ただ、今回のように「社内アンケートの既存データを一切変えず、忠実にレポート化する」用途では、少なくとも私の試行範囲ではうまくハマりませんでした。
第4章:GAS(Google Apps Script)に挑む
最終的に「GASでGoogleスライドを直接生成する」アプローチに行き着きました。
ClaudeはHTMLを解析して全スライドのデータを抽出し、800行超のGASコードを生成してくれました。
しかしここでも壁が続きます。
スライドサイズ問題。 コード側で想定していたスライドサイズと、生成されたGoogleスライドのページサイズがずれており、全要素がはみ出しました。
「こっちを直すとあっちがズレる」の繰り返し。 PPTX生成時の座標指定と、Googleスライド上での座標指定の感覚が異なり、一箇所を直すと別の箇所がズレる、という調整が続きました。
スライドサイズ、座標、フォントサイズまわりを中心に3回ほど大幅修正し、かなり近い仕上がりにはなりました。ただ、最終的には 第2章のPPTXで作ったものの方がきれいだった という結論になりました。
見えてきたこと
1. 「最終成果物」を最初に決める
今回一番の反省点はここです。最初に確認すべきことは3つだけです。
- 最終成果物は何か(PDF / PPTX / Googleスライド)
- 誰が使うか(自分だけ / 他の人も編集する)
- デザインの起点はどこか(Claude Design / 既存テンプレート)
これが決まれば、ツール選択は一気に絞れます。
2. デザインシステムが難易度を上げた
会社のデザインシステムを使ったHTMLは完成度が高いです。
でもそれを別の描画エンジン(PPTX/GAS)に移植しようとすると、ピクセル単位の再現は構造的に難しいことがわかりました。
次回からは「Googleスライドのテンプレートを起点にして、ClaudeがGASでデータを流し込む」という順序にします。そうすれば、少なくとも今回のような大きなデザインのズレは減らせそうです。
3. Claudeが本当に活きた場面
- データ解析:Excelの集計データから必要な数値を抽出する下準備が速い
- コピーライティング:各スライドのタイトルや示唆のテキストを整理
- コード生成:800行超のGASコードのたたき台を一気に作れる
- デバッグ:エラーの原因特定と修正方針の整理が速い
4. 私の用途でのツール使い分け
骨子・構成を固める
→ まずは軽めの壁打ちで整理
デザイン確認・ビジュアルプレビュー(PDF・画像でOKな場合)
→ Claude Design(完成度が高い)
データ流し込み・コード生成・コピー
→ Claude(今回の用途では一番安定していた)
Googleスライドへの出力
→ Claude + GAS(Googleスライドテンプレートを起点にする)
細かい調整
→ 自分で手修正
おわりに
「AIを使えばプレゼンがサクッと作れる」は、半分本当で半分ウソでした。
AIが得意なのは「素材を作ること」であって、「出力形式への変換」は想像以上に難しい。 特に既存のデザインシステムが絡むと、少なくとも今回の試行範囲では一筋縄ではいきませんでした。
ただ、今回の試行錯誤はとても意味がありました。「正しいフロー」が見えたからです。次回同じ作業をするとき、私は迷わず「Googleスライドテンプレートを先に用意して、ClaudeにGASでデータを流し込んでもらう」という手順をとります。
企画職がここまでAIと格闘する必要があるのか、という声もあるかもしれません。でも、この試行錯誤を経たからこそ見えたナレッジは、確実に次の仕事を速くします。あなたの「AIでプレゼン自動化」の参考になれば幸いです。







