採用活動における選考の基準作成、実施、訓練について

2022.04.26

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こんにちわ。従業員体験( EX ) の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
採用活動は選ばれる側面と選ぶ側面があります。
この記事では選ぶ側面=選考の基準作成、実施方法、訓練・改善方法についてまとめます。

この記事では扱わないもの

この記事では以下は取り扱いません。
  • 書類選考
  • 適性試験
  • リファレンスチェック
  • バックグラウンドチェック

選考内容

選考する内容としては大きく分けて
  • カルチャーマッチ
  • スキルマッチ
があります。カルチャーマッチはさらに
  • 会社のカルチャー
  • チームのカルチャー
にわかれます。どちらをどの程度重視するのかについては企業によって異なります。

カルチャーマッチ(会社)

全社のカルチャーマッチでは、会社全体として共通で入社してほしい人物像とのマッチを確認します。
典型的なのは全社の Value とのマッチです。

カルチャーマッチ(チーム)

チームのカルチャーマッチでは、チームとして共通で入社してほしい人物像とのマッチを確認します。
典型的なのはチームの Value とのマッチです。

スキルマッチ

スキルマッチは応募した求人の役割・職務を遂行する上で必要となるソフトスキル、ハードスキルのマッチを確認します。
ソフトスキルは仕事の進め方など定性的なスキルで、ハードスキルは職種特有の専門スキルなどです。

二つのものさし

選考をするにあたり、2つのものさしを用意しておく必要があります。

最低ライン

この水準なら合格ラインをこえている、という最低ラインの定義を定義します。
この内容によって合否が決まります。

グレードの位置

自社の評価制度上どのグレードに位置するかというグレード境界の定義します。
この内容によって合格の際の提示グレードが決まります。提示グレードによってオファー年収が決まってくるため、この結果次第では「最低ラインとしては合格だが、候補者さんの希望年収とはアンマッチのために内定辞退」などの状況に影響が発生します。

選考基準の作り方

カルチャーマッチ(会社)

全社として共通で求める要素を明文化し、基準にします。
Value の項目が典型でしょう。Value 以外にも共通で求める要素があれば加えます。
また、グレードごとに求める要素やレベルが違う場合は、その点も分類できると好ましいでしょう。
例えば、ジュニアの場合は Value を最初から体現できなくてもよいが、共感し、身につけたいと思ってもらえるかどうかなどです。
なお、ここでのジュニアは一人で仕事を回せる並レベルより前の段階の人たちとします。

カルチャーマッチ(チーム)

チームとして共通で求める要素を明文化し、基準にします。
チームの Value があればそれが典型でしょう。Value 以外にも共通で求める要素があれば加えます。
また、チームメンバーとして「一緒に働きたいと思えるか?」というやや定性的な判断も加わるでしょう。
ただ、個人の好みに依存しぎるのも好ましくないため、選考の実施後に「なぜ一緒に働きたいと思えないのか?」をすり合わせていくことによって、より明確な選考観点になっていくでしょう。また、最終的に明確化された観点はチーム Value の一部になりそうです。

スキルマッチ

求人職種で必要となるソフトスキル、ハードスキルとして、入社時点で身につけておいて欲しいポイントから選考基準を作ります。
限られた選考時間で確認できるポイントは限定されるため、特に重要な点に絞り込みましょう。
その意味でいうと、最低限の学習力があれば入社後に短期で習得可能なスキルについては選考基準からは外しておくとより重要なポイントのために時間を使うことができます。
こちらもカルチャーマッチと同様にグレードごとに求める要素やレベルが違う場合は、その点も分類できると好ましいでしょう。
これらの基準となる要素は、職務分析を通して細分化します。選考に限らず、より広い範囲で整備していく場合はスキルマップやキャリアラダーの整備につながっていくでしょう。

選考の作り方

構造化面接

面接形式の選考において、その質を高めるには構造化面接が有効とされています。主にカルチャーマッチ、ソフトスキルの確認時に利用します。事前に観点を決め、評価軸も決めた上で面接を実施する方法です。観点、評価軸が決まっていることで、統一した基準で選考をすることができます。これによって候補者さんにとって平等で、属人性を避けた選考が実現しやすくなります。
詳しくは以下をご覧ください。
ただ、構造化面接は黙々と各設問を確認し、掘り下げの質問を繰り返すため、選考を受ける側の体験として「詰められている」というような感覚が発生してしまうことがあるため、アイスブレイク的な要素を織り込むことも必要です。
その意味で構造化面接よりやや自由度をもたせた半構造化面接という選択肢もあります。

WST

WST は Work Sample Test の略で、入社したら実際に担当するであろう実務に近い状態の条件での選考を実施する手法です。主にハードスキルの確認時に利用します。形式ばったテストで確認するスキルとは異なり、実務ではその状況に合わせた様々な要素を加味して業務を遂行します。そういった現実に近い状況での選考をしたほうが、より実際の活躍に近い評価ができるだろう、という点からの選考手法です。
詳しくは以下をご覧ください。

選考の実施方法

質問の掘り下げ方

面接において確認したい観点を掘り下げるために「行動についての質問」と「仮説に基づく質問」を行います。
「行動についての質問」については過去の状況にどのように対応したか詳細に質問することを通して、面接観点の確認をします。
「仮説に基づく質問」については過程の状況にどのように対応するか詳細に質問することを通して、面接観点の確認をします。
詳しくは、下記ページを参照ください。
詳細に掘り下げるための質問については STAR 面接の観点を抑えておくとよいです。
  • Situation(状況) - どのような状況だったか?
  • Task(課題) - どのような課題だったか?
  • Action(行動) - どのように考え、どのように行動したか?
  • Results(結果) - 結果として、どのようになったか?

選考の訓練、改善方法

模擬選考

時間的に余力があれば、模擬選考を実施しておくとよいでしょう。
模擬選考には大きく分けて2つの目的があります。
  • 新たに用意した選考内容の検証、改善
  • 選考に不慣れな選考参加者のための練習
選考官役と候補者さん役を決めて実施しましょう。
客観的にみてフィードバックできる人もいるとよいでしょう。フィードバックする人は、選考に慣れた改善の観点を持つ人物が最適です。

選考アンケート

選考参加した候補者さんから選考に関するフィードバックをもらうアンケートを実施することで、選考体験を継続改善できます。
最近入社した人に選考時に関するフィードバックをもらうこともできます。どちらの場合も、できるだけ記憶が新鮮なうちがよいでしょう。

選考ふりかえり

選考そのものについて関係者でふりかえり、継続的な改善を実施するとよいでしょう。

他社選考を知る

選考のためだけに他社の選考に参加するのは迷惑になりますが、双方合意の上でカジュアル面談に参加することで他社がどのように面談を実施しているか知ることができます。また、他社で選考設計・実施に関わっている人と情報交換するのもよいでしょう。

まとめ

選考基準づくりは評価基準づくりやそれと連携した育成と表裏一体です。それらは入社や異動時のオンボーディングにも関わってきます。
自分たちのチームにおける共通の価値観は何で、求める人物はどのような人で、業務で必要となる知識・スキルにはどのようなものがあり、各グレードにおいてどの程度を満たしている必要があるか?
これらを少しずつ整備していくことで採用時のマッチ精度を始めとして、入社・異動時の立ち上げやそれ以降の育成が充実していくでしょう。