AWSのデータ分析基盤を活用し、コロナ禍で超過需要になっている人工呼吸器の増産に成功したVyaire社の事例 #ANT302 #reinvent

AWSのデータ分析基盤を活用し、コロナ禍で超過需要になっている人工呼吸器の増産に成功したVyaire社の事例 #ANT302 #reinvent

Clock Icon2021.01.11

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どうも!DA部の春田です。

本記事は、AWS re:Invent 2020のセッション動画、「ANT302: How Vyaire uses AWS analytics to scale ventilator production & save lives」のレポート記事です。

English version is here.

データ分析基盤の改善によって、人々の命を救うことに繋がったという、人工呼吸器メーカーVyaire社によるAmazingな内容でした。

概要

COVID-19がアメリカを直撃した時、当国で唯一の人工呼吸器製造会社のVyaire Medicalは、機器の質を保ちつつ早急に工場をスケールする必要があることに気づいた。通常の生産から20倍もスケールさせ、全てのデータからインサイトを得るために、Vyaire社はインサイトチームに投資して自社の分析・機械学習基盤に注力した。このセッションでは、Vyaire社のデータマネジメント・リーダーのGopal Ramamurthiより、当社がAmazon RedshiftやAmazon Elasticsearch Service、Amazon QuickSightといったAWSアーキテクチャをどのように活用して、人命救助に関わる意思決定ができるよう、ビジネスでどうデータを利用可能にしたかを紹介します。

スピーカー

  • Josh Kahn
    • AWS Speaker
  • Gopal Ramamurthi
    • Enterprise Data Management Leader, Vyaire Medical

How Vyaire uses AWS analytics to scale ventilator production & save lives - AWS re:Invent 2020

内容

  • Vyaireとは?私たちのバックグラウンド
  • AWSジャーニー
  • 統合分析プラットフォームの構築
  • COVID-19によって、サプライチェーンと既存ビジネスに関する再考を強いられた
  • データドリブンな意思決定の影響
  • 次のステップ

Vyaireとは?私たちのバックグラウンド

  • Vyaire社 = 非上場の医療機器製造会社
    • 人命救助に関わる、センシティブな呼吸器の処置に注力
    • Becton Dickinson社からローンチ
    • Apax社が所有している
    • 複数の小さな事業部が集合した会社
    • -> システムの複雑さが増大した原因
  • 呼吸に関するソリューションを提供
    • 換気装置
    • 気道確保
    • 手術処置
  • 診断から処置、観察に渡る、27,000以上の製品を展開

AWSジャーニー

  • Vyaire社がAWSを選んだ理由
    • AWSの分析サービス、インテグレーションが魅力的
    • 分散してしまっているシステムを統合する必要があった
  • Q1 2019
    • AWSジャーニーの開始
    • オンプレ環境のワークロードをAWSへ移行
  • Q2 / Q3 2019
    • プロジェクトInsightが始動
      • 分析のためにsingle source of truthに注力
      • 社員がデータを取得し、信頼することができる
  • Q4 2019
    • 55%のオンプレのワークロードが移行完了
    • 9つのERPシステムをデータレイクへ統合
  • Q1 / Q2 2020
    • COVID-19のインパクト
    • Insight Portalが稼働開始
    • 人工呼吸器製造のアプリケーションをAWSへ移行
    • 分析基盤を会社全体へ展開
    • 社員が分析基盤にすぐに適応
  • 現在
    • 人工呼吸器生産が20倍にスケール(2019年比)
    • 25のAmazon QuickSightダッシュボード
    • 500以上のQuickSightユーザー

統合分析プラットフォームの構築

  • プロジェクトInsightが、COVID-19への対応を可能にした
    • 2018年に巻き戻すと…
      • Vyaire社は複数の被買収企業がそれぞれのバックエンドシステムを持ったまま構成されていた
      • 中央集権的なデータウェアハウスはない
      • 生産は、エクセルのスプレッドシートと12のERPシステムで手作業で管理されていた
    • プロジェクトInsightは、継続的な分析とレポーティングに着手
    • AWSが提供する土台
      • 相互運用性がAWSを選んだ一番のファクター
      • ストレージ、分析、レポーティングを利用可能にする

  • Vyaire Insightのコンセプト・デザイン
    • データ分析やデータ消費を可能にする
  • 4つのレイヤー
    • ソースシステム
    • Process層(データレイク)
      • 他システムのソースからデータを集める
      • 一つのプラットフォーム上で、データを統合する
      • 相互運用性があり、経済的で、世界中からデータを取得できる状態を確保する
      • 異なるデータ形式を、キレイで統一された形式に調節する
    • Semantic層
      • オープンで、流動的で、ダイナミックな状態を維持する
    • Consumption層(可視化)
      • ポータルのInsightが組み込まれている
      • エンドユーザーのための抽象化層
      • 5、6の異なるレポーティングツールが存在
  • アジリティ、柔軟性、スケールアップ&ダウンが強制されたシステム
    • よりクラウドネイティブに

  • 選択したAWS分析関連サービス
    • ある領域では、パフォーマンスが足りていないところがあったが、AWSに全て移行すること自体が大きなベネフィット
  • Amazon Redshift
    • 高パフォーマンス、スケーラブル
    • 他社のソリューションと比較しても、パフォーマンスは確保できた
    • 進化やイノベーションの実績
    • プラットフォーム統合
    • コスト効率
  • Amazon QuickSight
    • Amazon S3やRedshitといったAWSサービスと深く統合
    • 数分で作成とスケール
    • フレキシブル
    • ロードマップの豊富さ
    • コスト効率、TCOが一番低い
  • Amazon ES
    • Insightポータルから直接検索や分析ができる
    • 低メンテナンスコスト、AWSフルマネージド
    • 高機能
    • ベストプラクティスやチューニングに基づいた、AWSのアシスト

  • Vyaire Insightのアーキテクチャ
  • ソースシステムからデータレイクへデータを抽出
    • 抽出のプラットフォームとしてTalendを採用
  • Amazon S3データレイク
    • データスワンプ(沼)をキレイにし、データレイクに書き込み直す
  • Amazon RedshiftのSemantic層
    • データ消費のために、データを準備
    • 今後の変更の可能性を考えて、複雑にはしない
  • サーバレスアーキテクチャのInsightポータル
    • AWS Lambdaでコアロジックを実行
    • ウェブサイトをAmazon S3上でホスト
    • フロントエンドをReact Nativeで実装
    • QuickSight mobileでダッシュボード表示

COVID-19によって、サプライチェーンと既存ビジネスに関する再考を強いられた

  • COVID-19前より受注量が20倍増加
    • 突然想定していたプロセスが完全に変わってしまった
  • COVID-19前の呼吸器生産数が1日6個だったのが、1日750個を必要とされるように
    • 製造をスケールアップする必要が発生
    • 売上の観点からは喜ばしいことであるが、最大のミッションは数千の命を守ること

  • オペレーションの立場より、そう簡単に工場をスケールアップすることはできない
    • 航空機製造で知られるジョイントベンチャー、Spirit社が協力
    • 数日、数週間で工場を拡張に成功
    • → データ分析サービスが寄与した
  • 写真: Spirit社の製造工場
    • 数百、数千の人が一列に並んで作業する
    • ただの空き倉庫を人工呼吸器工場へ転換した

データドリブンな意思決定の影響

  • Vyaire Insightは意思決定に革命を起こした
  • グローバルなサプライチェーンの観点
  • 3ヶ月で60,000の人工呼吸器の生産を達成
  • 日次のExecutive Briefing
    • 生産計画
      • 数時間で継続的に変化する、大規模な生産計画に寄与
    • 歩留まり分析(Yield analytics)
      • 生産スループットだけでなく、どこに問題があったのかをドリルダウンして詳細まで把握する
    • グローバル生産・出荷
    • 在庫トラッキング
    • 日次の生産レビュー

  • 機械学習によってテストの効率性が改善した
    • 機械学習によって、最終テスト前に再製造・再加工する部品数の40%が削減された
  • 呼吸器は完成までに数回のテスト行う必要がある
    • 73%の人工呼吸器の部品は、最終テストの最初の段階で落とされている
  • SageMakerを使用し、最終テスト前に部品の欠陥予測できるようになった
    • 通気口の測定や過去の結果に基づいて、テストをパスするための有効性や信頼水準を予想
    • 初回で落とされていた部品のうち、60%を削減した

次のステップ

  • AWS Glue
    • データ準備層をTalendからAWS Glueへ移行
    • 高い柔軟性、必要な時だけ実行できる
    • TCOが低い、メンテナンスしやすい
    • 2021年1月に本番にローンチする予定
  • Amazon SageMaker
    • 機械学習を予測まで拡張
    • 売上データからインサイトを得たい
    • 消耗品の精度の高い予測
    • AWS Data Exchangeのデータを活用

私たちは混沌としていた過去から、今、本当のデータドリブンにいる。

by Ed Rybicki, CIO Vyaire

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AWS re:Invent | Amazon Web Services

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