[レポート] Amazon Managed Blockchain:いつブロックチェーンを使用するべきか #BLC201 #reinvent
いわさです。
AWS re:Invent 2021で行われた、「Amazon Managed Blockchain: When to use blockchain」のセッションレポートです。
この記事では、要点・見どころ・ポイントについてまとめてみました。
セッション概要
DESCRIPTION
Building enterprise blockchain applications on your own infrastructure is often expensive, complicated, and time-consuming. Amazon Managed Blockchain makes it easy to build scalable blockchain applications by eliminating the need to set up and manage infrastructure, allowing you to focus on writing applications for your business. This session helps you identify if blockchain is a good solution for you and what type of blockchain is best suited for your use case. Also, hear customer stories from decentralized finance, financial services, automotive, aviation, gaming, public sector, sustainability, and more. Also hear from AWS customer Global Rockstar about their use case of non-fungible tokens (NFTs).
SPEAKERS
- Christof Straub
- John Liu
SESSION LEVEL
- 200 - Intermediate
レポート
アジェンダ
本セッションでは、前提知識としてブロックチェーンがどういうものなのかを理解している必要があります。
その上で、実際のソリューションへ適用する際の考え方として以下を紹介しています。
- ブロックチェーンを使うべきかの判断
- プライベート型チェーンのユースケース
- パブリック型チェーンのユースケース
- Amazon Managed Blockchainで何を解決出来るのか、アップデート情報
- Global Rockstar社の事例
ブロックチェーンを採用するかの判断
ブロックチェーンを採用するべきかの判断として、まずは以下の4つの基準を満たしているかを判断することを提案しています。
満たしている場合はブロックチェーンが良い解決策になる可能性があります。
- データの改ざん耐性と自動化が必要か
- ワークフローは複数のエンティティに跨っているか
- ブロックチェーンへの参加メンバーの権利は平等か
- パフォーマンス要件を満たしているか
セッション内では上記1つづつの基準の説明やなぜ必要かなどをブレークダウンしています。
また、前者の2つを基準にすることは一般的だが、後者2つもしっかり考慮しなければならないという話にも触れています。
プライベートブロックチェーン
Hyperledger、Corda、Quorumなどのプライベートブロックチェーンを背景に、プライベートチェーンの特徴とメリットを説明しています。
ちなみに、このセッション内ではコンソーシアムとプライベートの区別をしていません。
その特徴などを踏まえた上で複数のプライベートチェーンの利用ユースケースを紹介しています。
ユースケースの中では、解決出来る問題に加えて課題にも触れています。
パブリックブロックチェーン
BitcoinやEthereumなどのパブリックブロックチェーンを背景に、同じように特徴とメリットを説明しています。
パブリックブロックチェーンの一般的なユースケースについて取りあげています。
その中でもNFTについて特に注目しており、この後事例として紹介されるGlobal Rockstar社ではERC-1155をAmazon Managed BlockchainとPolygonサイドチェーンを組み合わせたアーキテクチャーで構築しています。
Amazon Managed Blockchain
ここからは、Amazon Managed Blockchainに関するお話です。
まず、一般的にアーキテクチャーにブロックチェーンを採用するとして、いくつか課題が出てきます。
Amazon Managed Blockchain(AMB)を使うと、それらの課題を解決することが出来ます。
そして、2021年に追加された機能の振り返りと、2021年12月末にはHyperledger Fabric 2.2に対応予定であることが紹介されていました。(現在はv1.4)
Global Rockstar社の事例
先程までが前半、ここから後半という感じです。
この事例、とても技術的に濃い内容でした。
Global Rockstar社がビジネス要件からなぜブロックチェーンを採用したのかを最初に紹介しています。
Amazon Managed Blockchainを採用したアーキテクチャーを紹介し、どういうコンポーネントで実現しているのか、AWSにどういう技術サポートをしてもらったのかなどを説明しています。
さらに、ブロックチェーンを単純に導入したというだけではなく、ブロックチェーンにて一般的に生じる課題(ガスが必要、ハードフォークさせるのか、応答性はどうするのか)などをどのようなアプローチで解決していったのかを紹介しています。(個人的にはここが一番おもしろかったです)
ガスレス承認(実現方法に触れていなかったですがメタトランザクション署名を使っていそう)と更新可能な構成でスマートコントラクトを構築しています。
また、Polygonサイドチェーンの併用をパフォーマンス問題解決のアプローチにしています。
まとめ
Amazon Managed Blockchain要素は予想していたより少なめでした。全体の1~2割でしょうか。
トピックとしては、今月末にHyperledger Fabric 2.2がサポートされる予定という点ですね。
逆に、汎用的なブロックチェーンのセッションという感じだったので、AWSを使っていなくてもブロックチェーンを使ったワークロードを設計する方は、このセッション見ておいたほうがいいんじゃないかなって個人的には思いました。
よくありがちな、「それって本当にブロックチェーンの必要ある?」に触れていて、かつブロックチェーンは選定しただけ課題を解決してくれるソリューションじゃないんだよと、ブロックチェーンのレイヤーで様々なデメリットもあるのでそれをどういうアプローチで対処したのか、グローバルロックスターの実際の事例を交えて必要性を感じることが出来ます。
セッション動画では上記の詳細部分を深堀りしています。是非動画をご視聴ください。