[レポート] 同時8プロダクトの立ち上げと新PdMチームの構築をどう両立したか戦記 #pmconf2021
2021年10月26日(火)、プロダクトマネジメントに携わる人たちが共に学び、切磋琢磨するイベント『プロダクトマネージャーカンファレンス2021』がオンライン形式で開催されました。
当エントリでは、ブレイクアウトセッション『同時8プロダクトの立ち上げと新PdMチームの構築をどう両立したか戦記』の参加(視聴)レポートをお届けします。
目次
セッション概要
セッション概要は以下の通りです。
同時8プロダクトの立ち上げと新PdMチームの構築をどう両立したか戦記
[登壇者]
・山口 隆広氏(ユニファ株式会社 / プロダクトデベロップメント本部 プロダクトマネジメント部 部長代理)
[セッション概要]
PdMとして採用されたのだけど、PdMなんてなかった。
2021/9にリリースされた保育のICT・研修サービス"ルクミー"は園・施設の業務を担う特徴から、8つものプロダクトを同時開発する必要がありました。そんな中トップダウンで「プロダクトマネージャー(PdM)」という立ち位置が急遽生まれ、開発現場内でもそれに混乱していた時期に登壇者が入社した所からこの戦記は始まります。
本セッションでは入社直後で周囲からの信頼残高がない中、目の前の0→1を進めながら既存メンバー(先輩方)とどのようにPdMチーム構築の試行錯誤を進めていったのか「プロダクトを作るには良いチームづくり」の泥臭い内訳をお話しします。
(※以上、公式サイトより引用)
セッションレポート
はじめに
- 今日話すこと
- フルリモート環境下におけるプロダクトマネジメント組織の立ち上げ方について
- 今日話さないこと
- 個人のプロダクトマネジメントスキルに関する話
前提と謝辞
- その時にはその時なりの正しさがあり、あとから見たら合っていなかった、改善しよう...というお話
- 今日話す内容は現PdMメンバー含め、過去に至るまでの様々な方々のお陰です
自己紹介・サービス紹介
- 2児の父
- 人間中心設計(HCD)の専門家
- ルクミー:保育ICTのサービス。サービス自体は今年の9月にリリース
ルクミー | 保育施設専用の総合ICT・研修サービス-累計導入数11,000件以上
- 関連するサービスについて、同時8サービスをリリースする形となった。実際はもっと多かったかも
【画】
- 出来る限り一つのサービスで解決出来ることは園や施設だけでなく保護者にとっても分かりやすい、ということでまとめて開発・リリースしようという流れに
01 スタート位置と課題特定までのステップ編
- 所属部署:プロダクトマネジメント部、氏は部長代理でPdMとQAが在籍している
- PdMの部署だけど氏はPOでは無く、別途POとして開発部長が携わっていて、プロダクトの意思決定はそちらが受け持つ
- 入社してから現在までのタイムライン:MGR着任と同時に試用期間終了、正式リリース時には定時業務キャパシティを大幅に超えたが、現在は落ち着いている
- MGR着任当時起こっていたこと:「この会社に入社して良かったんだよね...?」となるようなカオスな状況だった
- HCDサイクルを組織開発に当てはめ、組織・チーム改善を推進していけそうだ、と判断
- ユーザー観察しましょう!とは言いつつも、このコロナ禍でなかなか実践もままならない。いかにキャッチアップするかというのが大切だった
02 組織のことをしりたい!編
- リモート下におけるキャッチアップでやってみたこと
- Slackに100ch入る
- 1on1で「あの話ですよね」と言える引き出しを増やした
- Twitterだと思えば100チャンネルも大したことない(個人の感想です)
- 社内Wikiのフィードを読む
- フローのSlackに対し、ストックとなるWikiを読んで知識の裏付けを行った
- 新人にとって「過去の経緯」の理解は大事。過去をリスペクト出来ない発言は相手に聞いてもらえない。
- 関連する人との1on1
- 「何かやりにくいことは無いですか?MGR会にも持っていけます」「今ならわからないことを武器に色々聞ける」というスタンスで課題を拾い上げる
- Slackに100ch入る
- 結果として以下のような課題を拾い上げることが出来た
- 人員不足
- 曖昧なPdM期待値
- あちこちにあるネガティブな雰囲気
- 自分に対する信頼残高不足
- 人員不足の課題を分解し、本来欲しかった「ユニファにおけるPdMに求められるスキル」人材を整理した
- 本来欲しかったのは「開発リーダータイプ」
- マネジメントの認識していたのは「事業リーダータイプ」
- 整理内容を受けて、求人広告の現状と改善提案を実施
- 結果「採用母集団」の件が解決し、採用後の育成・戦力化へ好影響を及ぼす形となった
03 課題の分解と施策の検討・実行 / 組織と信頼残高 編
- 課題把握のため、信頼残高をショートカット:元々組織にいて信頼残高が高く、ファシリテーションの高いメンバーと協力して情報を集めた
- 言いたいけど言い出せなかった課題をみつけ、それらを改善チームで解決していった
- 大小様々な組織課題を明確化し、「実際に変わる経験」を共有。本部長陣と週次レビューを行い「汲んでくれるなら意見を出しても良いかな」という空気に変えていった
- そして最後はプレイヤーとしての仕事も地道にやる/出来る振りをせず、前のめりに取りに行く
- 悲しみ駆動開発
- 地道な行動と時が解決
- 信頼残高の足りない正論では人は動かない事実
- 「それは合っているのかもしれないけど、あなたのことはまだ信頼していないので聞きません」
- ↑これは当たり前。理屈ではないし、信頼はすぐには積み上がらない
- 勿論、いい顔だけでは出来ない
04 人の出入りがある前提でのチーム設計 編
- 新人受け入れや退職者からの引き継ぎコストを下げる
- 課題:人の仕事に触れる機会が、その人が退職を表明したとき
- 2〜3サービス1固定チームの耐性変更を行った。多少の兼務は残るが、デザイナーやアプリエンジニアもある程度固定化しやすい
- チームメンバーを組む上での重要な視点
- メンバーのwill, canを把握する
- 現状
- 組織改善とプレイヤーの両立はやっぱり大変
- うまくいかなかったことは多数。トータルだと負けている体感
- 様々なサイクルを回しつつ、組織という「ユーザー」理解を進めている。
総括
まとめ
という訳で、プロダクトマネージャーカンファレンス2021のセッション『同時8プロダクトの立ち上げと新PdMチームの構築をどう両立したか戦記』視聴レポートでした。
単純に同時8プロジェクトを回す、ってだけでも「すげぇな...」と思いましたが、同時にPdMとして様々な課題や困難に直面し、解決していく様を非常に濃密な情報量で参照出来たとても実りのあるセッションでした。