評価制度の改定を現場で受け入れた話
AWS事業本部コンサルティング部の阿部です。 クラスメソッドでは2022年10月に評価制度を大きく改定しました。 人事側で推進された田部井さんがクラスメソッドの評価制度を改定した話を書いています。 部門側でどのように受け入れ運用したかを紹介します。
なにもわからない期
評価制度はNotionと一部がスプレッドシートにまとめられ、誰でも確認できる状態で展開されました。 人事と経営メンバーから、現場マネージャー向けにQA会を実施してもらいました。 概念を理解しましたが、実際何をどうすればいいのかわからない状況でした。
評価基準には、人事が決めた1層と2層と、部門で決める第3層があります。 現場では、3層の基準を作りつつ、メンバーに評価制度を説明する必要がありました。
- 1層 - 全社共通基準
- 2層 - 職種グループ共通基準
- 3層 - 個別職種の基準
とりあえず、言葉にする期
運用開始に伴い、様々なところで情報が出ていたと思います。 資料や説明用の動画のリンクを作成し、メンバーに資料の確認などを着手するようお願いしました。
マネージャー間での相互理解が課題でした。 他のマネージャーや上長に対して、私がなにを考えアクションしているかを言葉にしました。 発言に反応してくれた他のマネージャーと制度についての認識をあわせたり、お互いの状況をシェアする会を行いました。 言葉にしていく中で、自分が理解できていること、理解できていないことがわかってきました。
人事の力を借りた期
マネージャー間で会話しても、腹落ちできないことがでてきました。 率直にわからないことをSlackで聞いたところ、人事の田部井さんが常に納得感のある回答をしてくれました。 理解が進んだことと「人事関連のことをよくわかっている田部井さんが関わっているのであればいい制度なのでは?」と思えたことで、制度に対してポジティブに思えるようになりました。
制度を自分の言葉で語れるようになってきた期
理解が進んだため、部門の3層基準を作成できました。上長に提案しそのまま受け入れていただきました。 制度について、資料をベースにしつつ自分の言葉に説明できるようになってきました。 アンチパターンとしては、「上が言ってるからやらないといけない」など他責にしながらメンバーと会話することだと思います。自分の言葉で語れるようになったことは非常にポジティブでした。
人事と他のマネージャーを応援したい期
制度を運用していく中でなにかあれば、人事メンバーに確認をとっていました。 人事からは納得できる返答があり、信頼が蓄積されていきました。 ふと、「人事を信頼しているのに、ネガティブなやり取りが多いな」と感じました。 困ったときに、不明点や不備について問い合わせるため、必然的にネガティブなやり取りが多くなっていたのでした。 私以外のマネージャーと人事とのやり取りも基本的にネガティブなものが多かったと思います。 そこで、制度が開始してよかったと思う点をシェアしました。
- なにをしたら昇給するのかわかりやすくなった
- グレードがあがるアクションをできると他社でも求められる人になるため、キャリアアップにつながる
- 自由に目標設定していると、自分の想像の範囲の目標しかたてられない。厳しすぎる目標を適正に、ゆるすぎる目標に対して視座をあげられる。
- OKRを考えるのは、理想の状況をみんなで考えたいから。現場のメンバーにしか見えない理想の状態がある。みんなで理想の状況を考える土壌ができた。
初年度の振り返り
目標設定が大変だったが、良い目標設定ができたと言ってくれるメンバーが多かったです。 反省点としては、目標設定に時間がかかり、期中支援がほとんどできなかった。初年度ということもありメンバーに負荷をかけてしまった。OKRをあまり活用できなかった。 ジュニアメンバーにとっては、組織の理想の状況(Objective)を考えるのは難しかったなどがありました。
これからについて
クラスメソッドでは、経営理念とカルチャーは社内に浸透し、好意的に受け入れられています。 毎週月曜日の昼礼で社長が30分話してくれるのですが、経営理念とカルチャーの浸透に役立っていると感じています。 先日はタイヤを買い替える必要になった。ディラーやいくつかの小売店を比較した。ホームページや価格、サービスに違いがあることを紹介されました。 私は顧客のサービスを利用することで顧客視点を持とうという話だと受け取りました。クラスメソッドのカルチャーの1つとして顧客視点があります。 一般論ではなく、個人としての言葉を聞くことでカルチャーへの解像度があがります。
評価制度も日々のコミュニケーションを通して理解していくと感じています。制度が書かれているだけでは、本質的に制度やその効果を理解することはできません。 現場のマネージャーが制度で可視化されたポジティブなアクションや考えを率先すること、メンバーとの会話の中で自分の言葉で伝えることが必要だと思います。
最後になりますが、評価制度の目的は「事業に向き合う時間を最大化するため」だと考えています。 働く側からすると、待遇やキャリアなどに納得した上で働くと成果を最大化できます。結果的に評価制度と向き合ったほうが事業に向き合う時間を最大化できます。 私としては、個人の成功と事業の成功が交わるWinWinなポイントを見つけることで、事業の成功に貢献したいと思っています。 記事の趣旨の関係上制度の話が多くなりましたが、制度は1つの要素にすぎません。