[アップデート] Amazon FSx for NetApp ONTAPの第二世代ファイルシステムを東京リージョンでも使えるようになりました
超ハイパフォーマンスなストレージが欲しい
こんにちは、のんピ(@non____97)です。
皆さんはAmazon FSx for Netapp ONTAP(以降FSxN)の第二世代ファイルシステムを使用したいなと思ったことはありますか? 私はあります。
FSxNの第二世代ファイルシステムはスケールアウト型のファイルシステムであり、HAペアを追加することでスループットとIOPSを増加させることができます。
第二世代ファイルシステムGA時の情報は以下記事をご覧ください。
しかし、東京リージョンでは長らく使用できませんでした。
ふとPricing Calculatorを眺めていると、東京リージョンでFSxNのデプロイタイプで第二世代ファイルシステムを選択できるようになっているではないですか。
What's Newにも来ていました。
となると、第二世代ファイルシステムを使うべきか悩むかと思います。
以降第二代ファイルシステムと従来の第一世代ファイルシステムの使い分けについて紹介します。
第二世代ファイルシステムと第一世代ファイルシステムの使い分け
使い分けのポイントは一言で言うと、性能とコストです。
FSxNの各種デプロイタイプごとに変動する料金項目は以下のとおりです。
項目 | Single-AZ 1 | Single-AZ 2 | Multi-AZ 1 | Multi-AZ 2 |
---|---|---|---|---|
SSD storage capacity | $0.15 per GB-month | $0.15 per GB-month | $0.30 per GB-month | $0.30 per GB-month |
Standard capacity pool storage consumed | $0.0238 per GB-month | $0.0238 per GB-month | $0.0476 per GB-month | $0.0476 per GB-month |
Throughput capacity | $0.906 per MBps-month | $2.013 per MBps-month | $1.511 per MBps-month | $3.148 per MBps-month |
SSD IOPS | $0.0204 per IOPS-month | $0.0204 per IOPS-month | $0.0408 per IOPS-month | $0.0408 per IOPS-month |
参考 : Amazon FSx for NetApp ONTAP Pricing – AWSに記載の東京リージョンFSxNの料金
以下項目についてはSingle-AZ ↔︎ Multi-AZでは異なりますが、世代間の差はないものです。
- SSD storage capacity
- Standard capacity pool storage consumed
- SSD IOPS
一方、スループットキャパシティについては、新世代になると2倍ほど単価が増えています。
また、スループットキャパシティのミニマムは以下のようになっています。
- 第一世代ファイルシステム : 128MBps
- 第二世代ファイルシステム : 384MBps
そのため、スループットキャパシティの最低金額は
= 第二世代ファイルシステムのミニマムのスループットキャパシティ × 第二世代ファイルシステムSingle-AZのスループットキャパシティ単価 - 第一世代ファイルシステムのミニマムのスループットキャパシティ × 第一世代ファイルシステムSingle-AZのスループットキャパシティ単価
= 384MBps × $2.013 - 128MBps × $0.906
= $657.024 (ドル円150円の場合、¥98,553.6)
となり、約10万円ほど増加しています。
そのため、資料を共有するためといった一般的なファイルサーバーなどそこまでスペックが要求されないものについては、継続して第一世代ファイルシステムを使用すると良いでしょう。
現状、第一世代ファイルシステムのリタイアメントの情報はありません。
ちなみに参考までにFSx for Windows File Server(以降FSxW)の第二世代ファイルシステムは少なくとも2022年には存在していますが、2025年現在でも第一世代ファイルシステムは使用できます。
「FSxWの第一世代ファイルシステムがまだリタイアメントされていないからFSxNも第一世代ファイルシステムも当分先」という理論はこじ付け感もありますが、ファイルシステムという特性上、シームレスな移行方法が確立されるまで強制的なリタイアメントが行われる可能性は低いと予想しています。
第二世代ファイルシステムを使う場面はいつか、ということですが、これは以下のようなパターンです。
- 単一の名前空間で192TiB以上のSSDをプロビジョニングしたい
- 4,096MBps以上のスループットキャパシティを設定したい
- SSDおよびネットワークのバースト性能を重要視したい
総じて
- HPC
- EDA
- AI/ML
- 画像、映像レンダリング
- データ分析
といったハイパフォーマンスなストレージが求められるワークロードが向いていそうです。
性能とコストのバランスを鑑みて
Amazon FSx for NetApp ONTAPの第二世代ファイルシステムを東京リージョンでも使えるようになったアップデートを紹介しました。
性能とコストのバランスを鑑みて、使用するファイルシステムの世代を選択しましょう。
個人的には多くが第一世代ファイルシステムで事足りるのではないかと考えています。
この記事が誰かの助けになれば幸いです。
以上、クラウド事業本部 コンサルティング部の のんピ(@non____97)でした!