Alfresco Community Editionを使ってみた
佐々木です。今回はAlfresco Community Editionを使ってみました。
Alfrescoとは
AlfrescoはECM(Enterprise Content Management、エンタープライズコンテンツ管理)製品の1つです。Alfresco Softwareによって開発されており、商用版であるAlfresco Oneと、有志が開発したオープンソース版であるAlfresco Community Editionがあります。AWSで言えばAmazon Zocaloっぽいものですが、Zocaloはユーザー同士のコラボレーションにフォーカスを置いているのと違い、Alfrescoは共同編集だけでなく配布(読み取り専用)など、様々なアクセスコントロールを行うことができます。
今回はAlfresco Community EditionをEC2にセットアップしました!使ったOSはAmazon Linuxです。
セットアップ
最新版のLinux版インストーラを入手し、EC2上に配置します。また実行権限を付与しておきます。現在の最新版はalfresco-community-5.0.b-installer-linux-x64.binでした。
$ chmod 755 alfresco-community-5.0.b-installer-linux-x64.bin $ ls -alF 合計 739072 drwx------ 3 ec2-user ec2-user 4096 11月 7 02:14 ./ drwxr-xr-x 3 root root 4096 11月 7 02:08 ../ -rwxr-xr-x 1 ec2-user ec2-user 756773200 10月 6 09:00 alfresco-community-5.0.b-installer-linux-x64.bin*
インストーラを実行します。
$ sudo ./alfresco-community-5.0.b-installer-linux-x64.bin
最初に[Language Selection]になりますので、日本語を選択します。
Language Selection Please select the installation language [1] English - English [2] French - Français [3] Spanish - Español [4] Italian - Italiano [5] German - Deutsch [6] Japanese - 日本語 [7] Dutch - Nederlands [8] Russian - Русский [9] Simplified Chinese - 简体中文 [10] Norwegian - Norsk bokmål [11] Brazilian Portuguese - Português Brasileiro Please choose an option [1] : 6
セットアップウィザードが開始されます。[インストールの種類]では、今回は「簡易」を選択します。
---------------------------------------------------------------------------- ようこそ Alfresco Community セットアップウィザードへ。 ---------------------------------------------------------------------------- インストールの種類 [1] 簡易 - サーバーをデフォルトの設定でインストールします。 [2] アドバンスド - サーバーのポートとサービスのプロパティを設定します。: 追加でインストールするコンポーネントも選択できます。 オプションを選択してください [1] : 1
[インストールフォルダの設定]ではデフォルトのままとします。
インストールフォルダ Alfresco Communityをインストールするフォルダを選択してください。 インストール先フォルダ: [/opt/alfresco-5.0.b]:
[管理者パスワード]では任意のパスワードを2回入力します。
管理者パスワード Alfresco管理者アカウントのパスワードを入力してください。 管理者パスワード: : パスワードの再入力: :
[サービスとしてインストール]では、サービスとするためYとします。
サービスとしてインストール 必要に応じて、Alfresco Communityをサービスとして登録できます。サービスとして登録すると、コンピュータを起動するたびに、Alfresco Communityが自動的に開始されます。 Alfresco Communityをサービスとしてインストールしますか? [Y/n]: y
今回はt2.mediumインスタンスを使っていたのですが、以下のような警告画面が表示されました。そのままEnterキーを押します。
Warning! This environment is not configured optimally for Alfresco - please carefully review this list before continuing. While these issues will not prevent Alfresco from functioning, some product features may be unavailable, or the system may not perform optimally. Insufficient system RAM (4.0GB+): 3.86GBSMTP TCP port in use: 25 続けるには [Enter] キーを押してください :
インストールの準備完了と表示されるので、Yを入力して続けると、インストールが実行されます。
お使いのコンピュータに Alfresco Community をインストールする準備が整いました。 続けますか? [Y/n]: y ---------------------------------------------------------------------------- しばらくお待ちください。 Alfresco Community をお使いのコンピュータにインストール中です。
インストールが完了すると、Readmeファイルの表示を聞かれます。今回はNで。
セットアップウィザードによる Alfresco Community のインストールが完了しました。 Readme ファイルを表示 [Y/n]:
最後にサービスの起動を選択しますので、Yとし、サービスを起動します。
Alfresco Community Shareの起動 [Y/n]: y waiting for server to start....
これでセットアップは完了です。
使ってみる
ログイン
Alfrescoにアクセスするためには8080/tcpポートが開放されている必要がありますのでセキュリティグループを調整してください。
Webブラウザから"http://IPアドレス:8080/share/"にアクセスすると、以下のようにログイン画面が表示されます。[ユーザー名]欄は"admin"、[パスワード]欄はインストール時に指定したものを入力し、[ログイン]ボタンをクリックます。
ログインすると、以下のようにダッシュボードが表示されます。
サイトを作成する
Alfrescoでは、情報共有される一番大きなグループを"サイト"と呼びます。最初にサイトを作成します。メニューバーの[サイト]-[サイトの作成]をクリックします。
[サイトの作成]画面が表示されます。ここでサイトの情報を入力します。[公開レベル]は2種類あって、サイトのメンバー以外の人もサイトの存在を知ることができて、自由に参加できる[公開サイト]と、サイトマネージャから招待されたメンバーだけがアクセスできる[非公開サイト]です。今回は非公開サイトとして作成します。
作成すると、そのサイトのダッシュボードが表示されます。
ユーザーを作成する
ではユーザーを作成してみます。[管理者ツール]-[ユーザー]を表示し、[新規ユーザー]ボタンをクリックします。
新規ユーザ画面が表示されます。必要な情報を入力し、[ユーザーの作成]ボタンをクリックします。
ユーザー画面に戻るので、ユーザ名で検索してみると、ちゃんとユーザーが登録されていることがわかります。
サイトにユーザーを招待する
では次にサイトにユーザを追加します。サイトダッシュボードで、[サイトメンバー]欄の[招待]ボタンをクリックします。
招待画面が表示されます。[ユーザーの検索]で先ほど作成したユーザを検索して表示させ、[追加]ボタンをクリックします。
すると、追加したユーザーが[ユーザーの招待]欄に表示されます。次にそのユーザーの役割を設定します。役割は4つあり、ざっくりと説明すると以下のような権限を持っています。
- マネージャ ... フルアクセス権限
- 共同作業者 ... コンテンツの追加、編集、閲覧が可能。またカスタム属性の設定が可能。
- 投稿者 ... コンテンツの追加、閲覧が可能。
- 利用者 ... コンテンツの閲覧が可能。
今回は利用者の役割を与え、[招待]ボタンをクリックしました。
ユーザーがサイトの招待を承諾する
さて、追加したユーザーでAlfrescoにログインします。すると[タスク]欄に、先ほどサイトへの招待が登録されています。
招待のリンクをクリックすると、以下のようなタスク画面が表示されます。[承諾]をクリックします。
すると所属しているサイトに、先ほど承諾したサイトが追加されます。
サイトダッシュボードを開くと、そのユーザーがサイトメンバーとして登録されていることが確認できます。
ドキュメントを登録する
ではAdminユーザーでドキュメントを登録してみます。メニューバーの[リポジトリ]をクリックします。
リポジトリブラウザ画面が表示されます。初期状態から用意されたリポジトリがいくつかありますが、ここでは[共有]を選択します。右ペイン部分にファイルをドラッグアンドドロップします。
アップロードが終わったら、以下のようにドキュメントが登録されます。
ドキュメントを参照する
利用者として登録されているユーザーでログインします。同じようにサイトのリポジトリにアクセスすると、Adminユーザが登録したドキュメントが表示されます。
ドキュメントをクリックするとプレビュー画面が表示されます。もちろんダウンロードすることも可能です。
スマートフォンから使ってみる
僕の私物(Galaxy note SC-05D)からアクセスしてみたところ普通に使えました。ただプレビュー画面は画面サイズに左右されてしまいそうなので、ダウンロードしてから見るのが良いかも知れません。
まとめ
オープンソース版には商用サポートなどがあるわけではありませんが、これだけ高機能なものがオープンソースとして公開され利用可能であるというのはとてもすごいことだなと思います。マルチリンガル対応しているので日本語表示もばっちりです。TomcatやPostgreSQLなどがオールインワンのインストーラで提供されているため、セットアップも非常に簡単ですし、ドラッグアンドドロップで使えるような簡易なインターフェースは多くの人にとって使いやすいのではないかと思いました。