2025年9月にリリースされたSnowflakeの新機能・変更点のまとめ #SnowflakeDB
2025年9月にリリースされたSnowflakeの新機能・変更点のまとめ記事になります。
※注意事項:本記事ではすべての情報についての記述はせず、特筆すべきだと感じた情報だけピックしております。基本的には以下の情報を参考にしておりますので、全ての最新情報を確認したい場合は下記のURLからご確認ください。
Sep 30, 2025: GRANT OWNERSHIP ON NOTEBOOK が一般提供
ノートブックの所有権の付与が一般提供となりました。
詳細は以下をご参照ください。
Sep 29, 2025: Cortex Powered Object Descriptions が一般提供
生成 AI によるテーブルまたはビューの説明を生成して返す AI_GENERATE_TABLE_DESC が一般提供となりました。
これにより、SQL から生成 AI を用いた Description を生成できます。オプションを指定することで、カラムの説明も生成できます。
詳細は以下をご参照ください。
9.29 Release Notes: Sep 24, 2025-Sep 26, 2025
Cortex Agent のモニタリングがパブリックプレビュー
Cortex Agents のリクエストをモニタリングできるようになりました。
スレッドに関連付けられた会話履歴やエージェントの実行トレース(LLM計画、ツール実行、SQL 実行、チャート生成)などがログとして含まれます。
Snowsight 上で「AI & ML » エージェント」より会話ログの確認や、SNOWFLAKE.LOCAL.AI_OBSERVABILITY_EVENTS イベントテーブルより、監視ログを確認できます。
詳細は以下をご参照ください。
AI_COMPLETE 関数の構造化出力の指定をSQLの具体的なデータ型構造の記述(リテラル)を用いて定義できるように
AI_COMPLETE 関数は、その出力を指定の JSON スキーマに準拠させる機能が提供されています。
SELECT review_text,
AI_COMPLETE(
model => 'mistral-large2',
prompt => '次の旅行レビューから国名と旅行の目的をJSON形式で抽出し、"extracted_info"というキーを持つオブジェクトを返してください: ' || review_text,
response_format => {
'type': 'json',
'schema': {
'type' : 'object',
'properties' : {
'extracted_info': {
'type': 'object',
'properties': {
'country': {'type': 'string'},
'purpose': {'type': 'string'}
},
'required': ['country', 'purpose']
}
},
'required': ['extracted_info']
}
}
) AS extracted_json_output
FROM travel_reviews;
これまでは、上記のように出力フォーマットを定義する形でしたが、今回のアップデートで、SQLのデータ型でこの構造を指定できるようになりました。
先の構造は以下のように指定できます。
SELECT review_text,
AI_COMPLETE(
model => 'mistral-large2',
prompt => '次の旅行レビューから国名と旅行の目的をJSON形式で抽出し、"extracted_info"というキーを持つオブジェクトを返してください: ' || review_text,
response_format => TYPE OBJECT(
extracted_info OBJECT(
country STRING,
purpose STRING
)
)
) AS extracted_info_literal
FROM travel_reviews;
詳細は以下をご参照ください。
CREATE OR ALTER DYNAMIC TABLE がパブリックプレビュー
CREATE OR ALTER 構文でダイナミックテーブルのサポートがパブリックプレビューとなりました。
対象のダイナミックテーブルが存在しない場合は、CREATE 文が実行され、すでに存在する場合は、定義に従ってダイナミックテーブルが更新されます。
詳細は以下をご参照ください。
Data quality: FRESHNESS の機能改善
FRESHNESS データメトリック関数を列引数を指定せずにテーブルに関連付けることができるようになりました。
これにより、DML コマンドがテーブルに対して最後に実行された時刻を特定できます。
詳細は以下をご参照ください。
Sep 25, 2025: AI_COUNT_TOKENS がパブリックプレビュー
以前は COUNT_TOKENS として提供されていた、入力トークンの合計数を計算できる AI_COUNT_TOKENS が一般提供となりました。
入力トークンの使用量に基づいたコストの見積もりに使用できます。COUNT_TOKENS は LLM モデルごとのテキストベースでの入力トークンをカウントできますが、アップデート版の AI_COUNT_TOKENS では、トークンカウントの基準とする AI SQL 関数を指定したカウントや、Finetuning された LLM モデルも対象とできます。
詳細は以下をご参照ください。
Sep 25, 2025: Page filtering for AI_PARSE_DOCUMENT
AI_PARSE_DOCUMENT 関数にページフィルタリング機能が追加され、ドキュメント内の特定のページまたは範囲を解析できるようになりました。
以下は公式ドキュメントからの引用ですがpage_filter
オプションにより、開始点と終了点を指定することで、特定のコンテンツのみをターゲットとできます。
また、ページインデックスは「0」から始まり、終了値は含まない仕様のため、以下の設定ではドキュメントの最初のページのみが処理対象となります。
SELECT AI_PARSE_DOCUMENT(
TO_FILE('@my_documents', 'ResearchArticle.pdf'),
{'mode': 'LAYOUT', 'page_filter': [{'start': 0, 'end': 1}]} );
詳細は以下をご参照ください。
Sep 25, 2025: FILE データ型が一般提供
非構造化データを処理する際に使用できる FILE データ型が一般提供となりました。
FILE データ型はステージ上のファイルを表しメタデータなどのファイルへの参照が保持されます。ステージ上のファイルに対して TO_FILE または TRY_TO_FILE 関数を使用することで、ファイル型として作成できテーブルカラムとして保持できます。
--ファイルデータ型のカラムからなるテーブルを作成
CREATE TABLE file_table(img FILE);
--TO_FILEでステージ上のファイルをファイル型に変換しテーブルに追加
INSERT INTO file_table SELECT TO_FILE(FILE_URL) FROM DIRECTORY('@docs');
--テーブルをクエリ:メタデータを参照できる
>SELECT * FROM file_table;
+---------------------------------------------------------+
| IMG |
|---------------------------------------------------------|
| { |
| "CONTENT_TYPE": "application/gzip", |
| "ETAG": "9f6343f7a70beca0decdd3e521ad2760", |
| "LAST_MODIFIED": "Sat, 03 May 2025 09:50:17 GMT", |
| "RELATIVE_PATH": "Premium_Bicycle_User_Guide.pdf.gz", |
| "SIZE": 48326, |
| "STAGE": "@SAMPLEDB.PUBLIC.DOCS" |
| } |
+---------------------------------------------------------+
マルチモーダルに対応する AI SQL 関数もあるため、 Snowflake テーブル内で直接、構造化データと同じ方法で扱えるようになります。
マルチモーダル機能については、以下の記事で詳しく紹介されています。
Sep 25, 2025: Cost management — 予算(Budget)で設定可能な時間間隔の短縮
予算(Budget)で設定化可能な時間間隔が最短1時間となりました。
デフォルトの更新間隔は最大6.5時間なので、アカウントのクレジット消費をより注意深く監視することが可能となります。
注意点として、時間間隔を短くするとその分本機能向けの消費クレジットが高くなります。
詳細は以下をご参照ください。
予算については以下をご参照ください。
Sep 23, 2025: Snowpipe Streaming with high-performance architecture が一般提供
Snowpipe Streaming の High-Performance Architecture が一般提供となりました。
High-Performance Architecture では、テーブルあたり最大 10 GB/秒の取り込み速度と、取り込みからクエリまで5 ~ 10 秒のレイテンシを実現できます。
Snowpipe Streaming Classicとの違いについては、以下をご参照ください。
Sep 19, 2025: Read consistency mode for sessions with near-concurrent changes
セッションをまたいだデータの一貫性が保証できるアカウントパラメータである READ_CONSISTENCY_MODE が追加されました。
通常はミリ秒単位のわずかなクエリ応答時間の遅延を許容できる場合、パラメータの値をGLOBAL
とすることで、データの依存関係が強い複雑なワークロードやパイプラインなどで、システムレベルでデータの一貫性を保証できるようになります。(デフォルトはSESSION
)
詳細は以下をご参照ください。
Sep 17, 2025: Data lineage for tasks
データリネージ画面で、ソースオブジェクトと下流オブジェクトを接続する矢印を選択すると、タスクに関する情報が表示されるようになりました。
Sep 15, 2025: 多要素認証(MFA)におけるワンタイムパスコードをサポート
多要素認証(MFA)におけるワンタイムパスコード(OTP)がサポートされました。
IDプロバイダーの障害など、通常の MFA 認証方法が利用できない緊急事態に、システムへのアクセスを確保するために使用できます。
事前に専用のユーザーを作成し、 ALTER USER … ADD MFA METHOD OTP により、最大10個のパスコードを生成できます。ユーザーのパスワードとパスコードを厳重に管理しておくことで、緊急時にパスコードを使ったログインが可能となります。各パスコードは一度しか使用できず、使用後は無効となります。
パスコードの生成
ログインフローは以下の通りです。
下図ではパスキーによる認証が失敗したとして「戻る」をクリックします。
MFA メソッドとして「ワンタイムパスコード」を選択します。
事前に生成したパスコードを入力するとログインできます。
詳細は以下をご参照ください。
9.28 Release Notes: Sep 15, 2025-Sep 17, 2025
Snowsight 上での Query insights の表示がパブリックプレビュー
クエリ履歴のクエリプロファイル タブで、クエリのインサイトを確認できるようになりました。
対応するインサイトを持つノードはハイライト表示されます。
検出されるインサイトは以下に記載があります。
Query insights については以下の記事をご参照ください。
Sep 11, 2025: ダイナミックテーブルの増分更新モードで Snowflake Cortex AISQL 関数をサポート
ダイナミックテーブルの増分更新モードで、SELECT 句内での Cortex AISQL 関数を使用できるようになりました。これにより、データパイプラインへの AI 機能の組み込みが容易になります。
Sep 11, 2025: Workspaces が一般提供
Snowsight 上で統合開発環境として利用できる Workspace が一般提供となりました。
Git 統合や Copilotinline など Workspace 特有の機能が提供されています。
Workspace については、以下をご参照ください。
Sep 09, 2025: Snowsight でのデータ品質モニタリングがパブリックプレビュー
Snowsight で対象のテーブルの品質に関する統計情報を確認できる Data Quality タブが追加されました。
テーブルカラムごとの統計情報や DMFs を設定している場合には、その実行状況を確認できる画面が提供されています。
本機能については以下で詳しく紹介されていますので、あわせてご参照ください。
Sep 09, 2025: Sensitive data classification に関するアップデート
ビューの自動分類が一般提供
機密データの自動分類をデータベース内のビューに対しても適用できるようになりました。
自動分類からのオブジェクトの除外がパブリックプレビュー
デフォルトでは、分類プロファイルが設定されているデータベース内のすべての機密データが自動分類の対象となりますが、指定のスキーマ、テーブル、またはカラムを自動分類から除外するように構成できるようになりました。
9.27 Release Notes (with behavior changes): Sep 08, 2025-Sep 10, 2025
バインド変数の取得がパブリックプレビュー
INFORMATION_SCHEMA スキーマの BIND_VALUES テーブル関数を使用することで、実行されたクエリ内のバインド変数を取得できるようになりました。
ストアドプロシージャなどでバインド変数を使用している場合に、デバッグなどクエリのトラブルシューティングに役立ちます。
前提として、本機能の使用には 2025_06 バンドルの有効化が必要です。
詳細は以下をご参照ください。
SYSTEM$SET_CATALOG_INTEGRATION システム関数
外部管理の Iceberg テーブルに関連付けられたカタログ統合を置き換えることができる新しいシステム関数である、SYSTEM$SET_CATALOG_INTEGRATION が追加されました。
外部管理の Iceberg テーブルへの書き込み操作を行うには、Iceberg REST カタログ統合を使用する必要があるため、以前のカタログ統合からの置き換えや、元の Glue カタログ統合などへのロールバック時にも使用できます。
詳細は以下をご参照ください。
外部管理の Iceberg テーブルへの書き込み操作については、以下をご参照ください。
9.26 Release notes: Sep 01, 2025-Sep 04, 2025
Filling gaps in time-series data:パブリックプレビュー
時系列データ処理における、欠損値(ギャップ)を補完するための以下の機能がプレビューとなりました。
- RESAMPLE 句
- FROM 句内で使用することで、データセットを特定の時間間隔に「アップサンプリング」または「ダウンサンプリング」できる
- これにより、不規則なタイムスタンプデータから、すべてのレコードが均一な間隔で並んだデータセットを作成できる
- 補間関数
- RESAMPLE句でアップサンプリングされたレコードの観測値はデフォルトで NULL となるので、各補間関数で適切な値で埋め込ことができる
- INTERPOLATE_BFILL
- INTERPOLATE_FFILL
- INTERPOLATE_LINEAR
- RESAMPLE句でアップサンプリングされたレコードの観測値はデフォルトで NULL となるので、各補間関数で適切な値で埋め込ことができる
詳細は以下をご参照ください。
Account Usage: New INGRESS_NETWORK_ACCESS_HISTORY view
過去 365 日間 (1 年) 以内に Snowflake アカウントに対して行われたネットワーク アクセス試行を照会できる INGRESS_NETWORK_ACCESS_HISTORY ビューが追加されました。
アクセスがあったユーザー名・クライアントIP の他、リクエストメソッド・ステータス・エラーメッセージなどを確認できる点が特徴です。注意点として、最大 240 分 (4 時間) の遅延があります。
内部ステージに対して行われたネットワーク アクセス試行を照会できる INTERNAL_STAGE_NETWORK_ACCESS_HISTORY ビューも追加されています。
Behavior Change Log
単一要素パスワードサインインの廃止に向けた計画
セキュリティ体制を強化するため、Snowflake でパスワードを使用するすべてのユーザーに対して多要素認証(MFA)が必須となります。これらの変更は、複数の動作変更リリース(BCR)を通じて展開されます。
単一要素パスワード サインインの廃止のタイムラインと対応する BCR については以下のページにまとめられています。
2025_06 バンドルにて、すべての Snowsight ユーザー(新規および既存)に対する MFA が必須となる変更の導入が予定されています。
※執筆時点で Pending のステータス
新規ユーザーの場合、BI ツールなどから Snowflake サービスへのアクセス時にも適用されます。(バンドルの有効化前に存在していた人間のユーザーは BI ツールなどからの接続時はこの影響を受けません)
※この変更は当初、2025_04 バンドルでの導入が予定されていましたが、延期されました。
2025_06 バンドルが提供開始 ※デフォルトは無効化
9.27 (2025/9/8 - 2025/9/10 リリース)で、2025_06 バンドルが提供開始となりました。先に挙動を確かめたい場合には手動でバンドルを有効化してテスト可能です。
このバンドルは、2025年10月のリリースでデフォルトで有効化される予定となっています。
2025_05 バンドルがデフォルトで有効化
9.27 (2025/9/8 - 2025/9/10 リリース)で、2025_05 バンドルがデフォルトで有効化されました。このバンドルは、2025年10月のリリースで一般的に有効化される予定となっています。
2025_04 バンドルが一般的に有効化
9.27(2025/9/8 - 2025/9/10 リリース)で、2025_03 バンドルが一般的に有効化されました。
おまけ:Modern Data Stack全般の最新情報
Snowflakeも含め、Modern Data Stack 全般の最新情報についても、定期的にブログにまとめて投稿されています!こちらもぜひご覧ください。