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[レポート]沖縄の小売業が挑んだデータ基盤内製化 〜データエンジニア未経験者のSnowflake AI活用事例〜 #SWTTokyo26
2026年9月10日(木)・9月11日(金)に、「SNOWFLAKE WORLD TOUR 2026 - TOKYO」が開催されました。
本記事はセッション
【沖縄の小売業が挑んだデータ基盤内製化 〜データエンジニア未経験者のSnowflake AI活用事例〜】
のレポートブログとなります。
セッション概要

登壇者
- 株式会社サンエー 情報システム部 コーポレート開発課長 兼 DX推進室長 丸山 海理 氏
- クラスメソッド株式会社 データ事業本部 大濵 長真 氏
サンエーは1950年創業、沖縄本島・宮古島・石垣島に合計78店舗(2026年2月末現在)を展開する沖縄の小売企業です。
クラスメソッドはSnowflakeの国内初ソリューションパートナーとして、導入から運用までを一気通貫で支援する立場から本プロジェクトに伴走。
あなたの会社のデータ、SELECT一発で出せますか?
セッションは、こんな問いかけから始まりました。
あなたの会社のデータ、SELECT 一発で出せますか?
弊社は、出せませんでした・・・・
サンエーの基幹システムは35年以上に渡り内製化されてきましたが、その中身は1990年代からのIBM i(AS400)が3割、2010年代からのユニケージ(シェル+テキストによる独自開発手法)が7割を占め、2024年からのモダン開発はまだこれからという状況。当初はスピーディに要求へ応えてきたこの内製システムも、近年は肥大化しモノリスになって鈍重になってきていました。
その結果、次の2つの課題が顕在化していました。
- データのサイロ化:AS400・ユニケージ・POS・EC/SaaSにデータが分散し、ユーザーがExcelに手作業でまとめる「分析の前工程」に時間を取られていた
- 内製BIパイプラインの聖域化:属人化したモノリスなパイプラインが「動いているが変えられない」状態になっていた
メインフレームと技術負債から、脱却する!
これらを解決すべく、Snowflakeによるデータ基盤の内製化に着手します。Snowflakeを選んだ理由は、容易さ(マネージド運用で少人数でも回せる)、マルチクラウド(現状AWS中心だが将来の自由度を残す)、データ連携(マーケットプレイスでの外部データ活用)の3点。まずはAS400・ユニケージ・SaaSに散らばるデータをAmazon S3のデータレイクに集約し、そこからSnowflakeへ連携する構成としました。
支援体制としては「丸投げ」でも「自力のみ」でもなく、作りながら学ぶ「伴走」型を選択。内製化をゴールに据え、クラスメソッドとともにプロジェクトを開始しました。
9ヶ月のマイルストーン

プロジェクトは2026年1月〜4月で基盤の初期構築(要件定義・DWH設計構築・ダッシュボード2テーマ)、5〜8月で基盤拡充(パイプライン拡充・ダッシュボード2テーマ追加)を実施。並行してSnowflake CoWork(Semantic View)のPoC・トライアル活用、開発標準策定から本番運用への移行も進めるという、かなりタイトなスケジュールで進行しました。
あなたなら、このプロジェクトにどういう人財をアサインしますか?

短期間で成果を出せた最大の鍵は「人選」でした。サンエーがアサインしたのは、AS400を知り尽くすベテランエンジニアと、ユニケージ経験を持ちコミュニケーション能力に長けたエンジニアの2名。SQL経験はほぼ無い状態からのスタートでしたが、共通していたのはドメイン知識の豊富さでした。
- 業務ドメイン:小売りの現場や、次のアクションにつなげるべき観点を理解している
- システムドメイン:自社システムのどのデータをどう組み合わせれば価値が出るか判断できる
この両方を兼ね備えた2人だからこそ、「データエンジニアの経験がなくても、AIの力(Snowflake CoCo)を借りればSnowflakeで価値を出せるのではないか」という仮説のもとプロジェクトが進みました。エンジニアリングの壁をAIが埋めてくれる時代だからこそ、ドメイン知識の価値が高まる、というメッセージが印象的でした。
2人が9カ月で作った成果物
9ヶ月間で、食品の欠品分析・衣料の重点商品分析(店舗向け)、バンドル販売分析(営業企画向け)、全社損益の可視化(経営企画向け)の4つのダッシュボードと、自然言語で分析できるSnowflake CoWorkが実装されました。店舗の現場から経営層まで幅広くカバーし、BIはAmazon Quickで構築しています。
▼成果物例


ダッシュボードの要件定義では、When・Who・Whyを起点に「誰が・いつ・何のために見るか」から出発する、ツール起点ではなく業務起点の設計を徹底。「必要なデータ」と「リレーション設計」を要件を聞いた瞬間に即答できる、という2人の強みが、開発スピードと品質の両方を支えていました。
この基盤が、どう設計されているか
ここからはクラスメソッドの大濵氏にバトンタッチし、技術的な設計が紹介されました。

基盤はAmazon S3にデータを集約し、Snowflake上でdbt Projects on Snowflakeを用いてBronze(生データ)→Silver(クレンジング済)→Gold(分析用)のメダリオンアーキテクチャを構築。データエンジニアがHorizon Catalogでリネージを管理し、経営層はSnowflake CoWork、店舗・業務ユーザーはAmazon Quickを利用するという役割分担です。Bronze→Silver、Silver→Goldそれぞれの変換ルール(型変換・カラム名付与・NULLハンドリング/テーブル結合・KPI計算・粒度変換など)も標準化されています。
特に効いた2つの活用ポイント
① dbt Projects on Snowflakeの活用
依存関係管理・テスト・ドキュメント化が標準装備され、Snowflake上で開発が完結。SQL経験が浅いメンバーでも早期に戦力化できたといいます。
② Gold層のスタースキーマ設計
当初、BI参照用のGoldテーブルをSemantic Viewからもそのまま参照していましたが、集計ロジック中心の構造だったため参照があいまいで回答精度が伸び悩んでいました。そこでSemantic View専用にFact/Dimからなるスタースキーマを新たに整備したところ、AIが構造を理解しやすくなり回答精度が向上。回答速度も5〜10分から約1分程度まで改善したクエリもあったそうです。
内製化へのステップと、非エンジニアのCoCo活用
クラスメソッドは「初期構築(スピード重視)→自走支援(ノウハウのレクチャー)→継続支援(最新機能の適用、直近はAdaptive Warehouseのチューニング機能を検討)」という3ステップで伴走を継続しています。
直近の取り組みとしては、経営層へのCoCo活用案内も進行中。非線形の分析は個人で行う方が早いケースがあり、Notebook作成やロジックの説明のしやすさ、手元データのアップロードの容易さが評価されているとのことでした。
内製化は、まだ道半ば
現在地点は、要件定義〜テーブル設計・ダッシュボード作成・CoCoを使った開発が「できるようになったこと」、パイプラインの自力構築や運用整備が「いま取り組んでいること」、そして全社のデータ活用を自分たちの手で広げていくことが「これから」。背伸びせず、着実に。それが内製化を続けるコツ、という言葉で締めくくられました。
最後に
御社にもいるはずです。業務とデータを知り尽くした人が。その人こそ、データ基盤内製化の主役になれる時代です——というメッセージで、セッションは幕を閉じました。
メインフレームやユニケージといった「技術負債」になりがちな内製システムを長年支えてきたベテランエンジニアこそが、実は最もドメイン知識を持ったデータ人材であり、AIやSnowflakeによってエンジニアリングの壁が下がった今だからこそ、その知見を活かしてデータ基盤の内製化を推進できる、という好例だと感じました。
サイロ化したデータ、属人化したBIパイプラインといった課題は、多くの企業で共通する悩みだと思います。「丸投げ」でも「自力のみ」でもない「伴走型」の内製化支援のあり方、そして技術力よりもドメイン知識を重視した人選という観点は、これから内製化に取り組む企業にとって非常に参考になるセッションでした。
弊社のSnowflakeの導入支援の提供に興味を持ってくださった方は下記をご確認ください。
https://classmethod.jp/partner/snowflake/
この記事が何かの参考になれば幸いです。






