固有の情報に関わるAIのやりとりにおいて情報源を準備する

固有の情報に関わるAIのやりとりにおいて情報源を準備する

この記事では、固有の情報に関わるAIのやりとりにおいて情報源を準備することについてまとめます。
2026.01.12

こんにちは。組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。

生成AIとのやりとりにおいて、内容が企業の前提など固有の情報に依存する場合、相談をする前に前提となる情報として何を提供するか検討するのが有効です。この記事では、固有の情報に関わるAIのやりとりにおいて情報源を準備することについてまとめます。

固有の情報と相談の流れ

固有の情報がない場合、特に前提情報がなくても一般的な質問に対して一般的な回答を得ることができます。
一方で、やりとりしたい内容が前提となる固有の情報に依存する場合、前提情報を添えることで回答が適切なものになります。

specific-context-question

固有の情報の量

固有の情報はプロンプトに数行補足する程度で収まる場合もあれば、個別のファイルにまとまった既存の資料など大きな場合もあります。なお、生成AIのやりとりにおいて "ゴミを入れたらゴミが出てくる" という特性があり、それっぽい資料を手当たり次第に添付すればいいとは限らず、適切な資料を限定して添付する必要があります。

  1. 固有の状況が必要か
  2. 必要な場合
    • 2-1. 情報量が小さい : テキストで補足する
    • 2-2. 情報量が大きい : ファイルで添付する
  3. 不要な場合
    • 3-1. 質問のみで実行する

サンプル

2-1. の情報量が小さいケースについて、固有の情報を添えない場合と添えた場合の結果を比較してみます。
お題としては、クラスメソッドのカルチャーを踏まえた組織文化の適応に関する相談をします。

固有の情報が必要なケースで質問のみをする

入力

自社の文化に即した行動をするために重要な点について教えてください。

出力

固有の文化とは関係なく、企業文化の扱いに関する一般的な回答になります。

自社の文化(企業文化・カルチャー)に即した行動をとることは、単に「ルールを守る」ことではなく、「会社の価値観を自分自身の判断基準に落とし込む」プロセスです。

文化に沿った行動を習慣化し、組織の一員として価値を発揮するために重要なポイントを4つのステップで解説します。

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## 1. 言語化された「バリュー」の真意を理解する

多くの企業には「行動指針(バリュー)」がありますが、言葉だけを覚えても意味がありません。その裏側にある背景や意図を深く理解することが第一歩です。

* 「なぜこの言葉なのか?」を問う: その指針が作られた背景(創業者の想いや、過去の失敗経験など)を知ることで、納得感が生まれます。
* 具体的シーンに置き換える: 「誠実」という言葉一つとっても、会社によって「嘘をつかない」ことなのか「期待以上の成果を出す」ことなのか定義が異なります。自分の業務における「誠実な行動」とは何かを具体化しましょう。

## 2. 「意思決定のモノサシ」として活用する

文化が最も試されるのは、マニュアルにない事態が起きた時や、難しい判断を迫られた時です。

* 判断の優先順位を知る: 例えば「スピード」と「品質」のどちらを重視する文化なのか。迷った時に「わが社らしい選択はどちらか?」と自問自答する癖をつけます。
* 日常の小さな選択に宿らせる: 会議での発言の仕方、メールの文体、同僚へのフィードバックなど、些細な行動の中に文化を反映させることが、文化を「形骸化」させないコツです。

## 3. 「共通言語」を積極的に使用する

文化はコミュニケーションを通じて強化されます。社内で使われている独特のキーワードやポジティブなフレーズを、意識的に会話に取り入れましょう。

* 称賛の基準にする: 同僚が良い動きをした際、「今の行動、うちの〇〇(行動指針)を体現していて素晴らしいね」と、文化に紐づけて褒めることで、周囲にも文化が浸透します。
* 心理的安全性の構築: 共通の価値観をベースに会話することで、メンバー間の「阿吽の呼吸」が生まれ、チームとしての結束力が高まります。

## 4. 盲従ではなく「自分らしさ」と掛け合わせる

文化に即した行動とは、個性を消してロボットのように振る舞うことではありません。

* 自分なりの解釈を加える: 会社の文化を「OS」とし、自分の強みや個性を「アプリケーション」として乗せるイメージです。
* 違和感を大切にする: もし自社の文化と自分の価値観がどうしても衝突する場合は、それを「文化のアップデート」が必要なサインとして捉え、建設的な提案を行うことも重要な貢献の一つです。

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### まとめ:文化に即した行動のためのチェックリスト

| 観点 | 具体的なアクション |
| --- | --- |
| 理解 | 指針の言葉を自分の言葉で説明できるか? |
| 実践 | 迷った時に「わが社らしい判断」を選んでいるか? |
| 伝播 | 共通言語を使って周囲とコミュニケーションしているか? |
| 進化 | 文化をより良くするために、自分なりの工夫を加えているか? |

文化は「知っている」状態から「無意識にやっている」状態へ移行した時に、最も個人の力になります。

次の一歩として、まずは貴社の「行動指針」の中から、ご自身が最も共感できるものを一つ選んでみませんか? その指針を「今日1日の業務でどう体現するか」を具体化するお手伝いも可能です。よろしければ教えてください。

固有の情報が必要なケースで補足しつつ質問をする

入力

自社の文化に即した行動をするために重要な点について教えてください。

弊社の文化は以下です。

リーダーシップ
– Leadership –

全ての社員がリーダーであるという考えのもとで、指示待ちや他責にならず自ら進んで前向きに行動し、周囲を巻き込み協力しあいながら、妥協せずに最高の結果が出るように尽力します。

パートナーシップ
– Partnership –

雇用(社員・アルバイト・業務委託)、会社(親会社・子会社)、役割(上司・部下)、職務(エンジニア・バックオフィス)など、立場に関係なく、全て共に働くパートナーとして等しく接し、互いを尊重します。

ダイバーシティ
– Diversity –

年齢・性別・国籍・人種・宗教・性的指向・障害の有無など、多様な価値観があることを学びます。
また、出産・育児・介護などのライフステージに寄り添い、互いに助け合い、これを強みとします。

プロフェッショナル
– Professionalism –

専門知識を持つ者として、おごらず・威張らず・謙虚に、高いアンテナを張って継続的に学習し続け、優れた能力を発揮し続けます。
さらに、周囲の成長や変化を助ける触媒として貢献します。

感謝
– Appreciation –

相手を尊敬し・信頼し・感謝する発言や行動をします。すべての仕事は信頼関係の上で成り立っています。
まず先に相手に見返りを求めるのではなく、自ら進んで周囲に良い影響を与えられるように努力します。

顧客視点
– Customer Obsession –

お客様を起点に深く考え、相手が本当に必要なものは何か、心地良い体験は何か、それらを発展及び継続的に提供するためにはどうしたら良いか考えて物づくりをします。

フィードバック
– Feedback –

お客様やチームからのフィードバックを大切にします。
相手にフィードバックを求め、内容を前向きに捉えて高速に改善を繰り返します。
相手にフィードバックする際には、具体的な行動に繋がるように分かりやすく伝えます。

情報発信
– Output –

知識のアウトプットは最大のインプットに繋がり、その人の成長に繋がります。
全ての人々の創造活動に貢献し続けるために、具体的かつ分かりやすい情報を社会に発信し続けます。
自らの経験や知見が誰かの役に立つと信じ、次の世代に繋げる活動として続けます。

やってみる
– Start small –

検討に時間を掛け過ぎたり、できない理由を探したり、何もしないことは大きな機会損失です。
過去の経験や知識のみを判断基準にせず、好奇心を持って、まずは小さく直ぐにやってみます。
より早く始め、より多く失敗し、高速に改善を繰り返すことが私たちの最大の生存戦略です。

楽しむ
– Enjoyment –

とても難易度の高い仕事、人の嫌がる仕事、大きな環境の変化を好み、成長の機会として楽しみます。
これらを楽しめるように心身共に健康な状態を保ちます。皆が楽しく仕事ができるように、発言し行動します。

出力

固有の文化を踏まえた回答になります。

素晴らしい企業文化ですね。リーダーシップから始まり、心理的安全性、アジャイルな行動指針、そして社会貢献までが網羅されており、「個の自律」と「他者への敬意」が高度に融合している印象を受けます。

これらの文化を単なるスローガンに留めず、日々の行動に落とし込むために重要なポイントを3つの軸で整理しました。

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## 1. 「自分事化」と「利他」のサイクルを回す

この文化の核心は、「自ら動く(Leadership/Start small)」ことが、結果として「誰かの役に立つ(Partnership/Appreciation/Output)」という循環にあります。

* 「まず自分から」を徹底する:
「感謝」の項目にある「見返りを求めるのではなく、自ら進んで良い影響を与える」という姿勢が重要です。情報共有(Output)やフィードバックを、相手から言われるのを待つのではなく、自分から提供する習慣をつけましょう。
* 「役割」ではなく「目的」で動く:
「パートナーシップ」にある通り、職種や立場に縛られず、「顧客にとって最高の結果(Customer Obsession)」を出すために、今の自分に何ができるかを考え、垣根を超えて巻き込む姿勢が求められます。

## 2. 「学び」を仕組み化し、変化を楽しむ

「プロフェッショナル」「フィードバック」「やってみる」の項目は、変化の激しい現代において最も生存戦略として機能する部分です。

* 失敗を「データ」として捉える:
「Start small」で早く失敗し、改善を繰り返すことが推奨されています。失敗を恥じるのではなく、「改善のための貴重なフィードバックを得た」とポジティブに変換し、それを「情報発信(Output)」として周囲に共有することで、組織全体の知財に昇華させてください。
* アンテナを高く、謙虚であり続ける:
専門性を高める一方で、「おごらず・謙虚に」学ぶ姿勢が強調されています。他者からのフィードバックを、自己否定ではなく「成長のブースター」として歓迎するマインドセットが、プロフェッショナルとしての価値を維持する鍵です。

## 3. 多様性を「強み」に変えるための対話

「ダイバーシティ」や「パートナーシップ」を形式的なものにしないためのポイントです。

* 「背景」を想像し、尊重する:
ライフステージや価値観の違いを単に「知る」だけでなく、互いの状況に寄り添い、助け合うことが明文化されています。これは、「困ったときはお互い様」と言い合える心理的安全性を自分から作っていくことを意味します。
* 「楽しむ」ためのセルフケア:
「楽しむ」の項目に「心身共に健康な状態を保つ」とあるのは非常に重要です。自分が健やかでなければ、他者を尊重したり、難易度の高い仕事を楽しむ余裕は生まれません。自分自身のコンディションを整えることも、立派な「プロフェッショナル」としての仕事だと捉えてください。

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### 実践のためのアクションプラン例

これらの文化を体現するために、明日から以下の3つのアクションを意識してみてはいかがでしょうか。

| 項目 | 具体的なアクション |
| --- | --- |
| まず出す | 会議の議事録や学んだTipsを、未完成でも良いのでチャットや社内Wikiに投稿する(Output / Start small) |
| まず聴く | 意見が対立したとき、否定する前に「その視点は面白いですね、もう少し詳しく教えてください」と背景を聴く(Partnership / Diversity) |
| まず労う | 些細なことでも、助けてもらった際には「〇〇さんのおかげで助かりました」と言葉にして伝える(Appreciation) |

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貴社の文化は、一人ひとりが「表現者」であり「開拓者」であることを求めている非常にエネルギッシュなものです。

もしよろしければ、この10の項目の中で、現在のあなたにとって「最も体現しやすいもの」と「少しハードルが高いと感じるもの」を教えていただけますか?それに応じた、より具体的な振る舞いのアドバイスを提案させていただきます。

補足

多くの固有情報を踏まえて設計した生成AIツールの例が、以下の目標設定支援ツールでもあります。

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【イベントレポート】『Gemini と NotebookLM を組み合わせて 目標設定の負荷を軽減する方法』の登壇と補足 | DevelopersIO

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