Tableau Server プレビルド管理ビューの種類

Tableau Server のプレビルト管理ビューで確認できることをまとめました。
2022.12.09

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Tableau Server では、監視ツールとしてプレビルト管理ビューという機能が提供されています。
非常に強力なツールですが、ビューの種類が多いので、それぞれ何を確認できるか把握しておきたく、記事としました。

前提条件

下記の環境で検証しています。
・Tableau Server バージョン: Windows 2022.1.9
・Tableau Desktop バージョン: 2022.1

管理ビュー

Tableau Server 上で提供されている、監視ツールです。
サーバー管理者・サイト管理者の権限で閲覧することができ、ユーザーによるTableauコンテンツや各種リソースの使用状況を把握するのに役立ちます。
管理ビューは、Tableau Server リポジトリのデータから作成されており、あらかじめ用意されているプレビルド管理ビューと、ユーザーが自由に作成できるカスタム管理ビューに分類されます。
本記事では、プレビルド管理ビューについて見ていきます。

プレビルド管理ビュー

プレビルド管理ビューとして、下記が用意されています。
管理者権限を持つユーザーのみビューを閲覧できます。サイト管理者の場合、管理者権限を有するサイトの情報にのみアクセスできます。

このうち、下記のビューはサーバー管理者のみ閲覧可能です。
・ビューのパフォーマンス
・バックグラウンド タスクの遅延
・サーバーのディスク容量
・デスクトップ ライセンスの使用率
・デスクトップ ライセンスの有効期限

プレビルド管理ビュー


ビューのパフォーマンス

サーバー全体やサイト単位で、ビューの読み込み時間やセッション数に関する情報が表示されています。
構成は下記の通りです。

ビューの合計読み込み時間
ビューの読み込み時間を分類(3秒未満、3-5秒、5-10秒、10秒超過)し、それぞれのビューがどの程度あるかを、100%積み上げ面グラフで表しています。横軸は時系列なので、サーバー全体やサイト単位で、ビューの読み込み時間の傾向を把握することができます。

セッション数
日時単位でサイトへのセッション数を把握できます。一日のどの時間にサーバーやサイトごとにセッション数が多くなるか、といった傾向の把握が可能です。

個別のビュー
ビューごとの読み込み時間が表示されています。読み込みに最も時間がかかるビューを確認できます。

ビューのパフォーマンス


フロー実行のパフォーマンス

フローの開始/終了時間が可視化されたものです。
下記の条件でフローの絞り込みが可能なので、実行時間の要するフローの特定や、フローの実行が重なる時間帯の特定が可能です。

フローの絞り込み項目
・フロー名称
・フローの出力ステップ
・フローの所有者
・実行タイプ
・開始時間
・ジョブの時間(分)

フロー実行のパフォーマンス


ビューへのアクセス量

サーバー全体やサイト単位で、ビューに対するアクセス情報が可視化されています。
構成は下記の通りです。

プロジェクトあたりの表示回数
プロジェクト単位で、ビューの表示回数が確認できます。複数サイトで同名称のプロジェクトがある場合、積み上げ横棒グラフとして表示されます。

1日あたりの合計表示回数
日付単位の時系列で、ビューの表示回数が可視化されています。フィルタで絞り込み可能なので、特定のサイト/ワークブック/ビューごとの表示回数も確認可能です。

時間あたりの合計表示回数
時間単位の時系列で、ビューの表示回数が可視化されています。1日あたりの図と同様に、フィルタで特定のサイト/ワークブック/ビューごとの表示回数に絞り込み可能です。

最もアクセスされるビュー
指定の期間内で、表示回数が多い順に、ビューの名称が表示されます。パラメータとして[最小表示回数]が用意されているので、表示回数の基準を設定し、基準を上回るビューを特定することができます。

最も頻繁にビューにアクセスするユーザー
指定の期間内で、ビューの表示回数が多い順にユーザーが表示されます。こちらも[最小表示回数]のパラメータを変更すれば、表示回数の基準ごとに、頻繫にアクセスするユーザーを絞り込むことが可能です。

ビューへのアクセス量


データソースへのアクセス量

サーバー全体やサイト単位で、データソースの使用回数が可視化されています。
構成やパラメータで最小操作回数を設定可能な点は、ビューへのアクセス量と同様です。ただし、こちらでは時間あたりの合計使用量は可視化されていません。

データソースへのアクセス量


すべてのユーザーによるアクション

サーバー全体やサイト単位で、すべてのユーザーが実行しているアクションの回数が時系列で確認できます。アクションは、下記の3種類に大きく分類されています。

アクション
アクセスと操作 ログイン、ビューへのアクセス、データソースの使用
サブスクリプション フローの実行
ワークブック/ビューへのサブスクリプションメール
パブリッシュとダウンロード ワークブック/データソース/フローのパブリッシュ
ワークブック/データソース/フローのパダウンロード

すべてのユーザーによるアクション


特定のユーザーによるアクション

サーバー全体やサイト単位で、特定のユーザーが実行しているアクションの回数を時系列で確認できます。すべてのユーザーによるアクションとの違いは下記の通りです。

・フィルタで特定のユーザーのアクションへの絞り込みが可能
・アイテム単位で、アクション回数が多い順に可視化されている
※アイテム:ビューの名称、データソースの名称

これにより、特定のユーザーの利用回数が多いアイテムを確認できます。

特定のユーザーによるアクション


最近のユーザーによるアクション

サーバー全体やサイト単位で、現在サインインしているユーザーのアクティブ状況を確認できます。

アクティブ状況は、下記の通り定義されます。

アクティブ状況 定義
アクティブ 直近の 5 分間にアクションを実行したユーザー
最近アクティブ 直近の 30 分間にアクションを実行したユーザー
アイドル 最後にアクションを実行してから 30 分以上が経過したユーザー

アイドルユーザの例

あわせて、各ユーザーがどのようなアクションを実行したかが、ビューの下部に表示されるので、直近の各ユーザーの動作を把握したい場合に利用できます。

最近のユーザーによるアクション


抽出でのバックグラウンド タスク

サーバー全体やサイト単位で、抽出に関するタスクの実行履歴(実行途中のタスクがあれば実行途中の様子)を確認できます。
各抽出の実行時間帯が時系列で表示されるので、各タスクがどの程度時間を要するか、タスクが重なる時間帯が存在するか、などを一目で確認できます。

抽出失敗時は、エラーメッセージの一部を確認することができます。

抽出でのバックグラウンドタスク


抽出以外のバックグラウンド タスク

サーバー全体やサイト単位で、抽出更新に関係のないタスクが表示されます。

抽出以外のバックグラウンド タスク


バックグラウンド タスクの遅延

サーバー全体やサイト単位で、スケジュールされたフロー、抽出の更新やサブスクリプションタスクが、実際に実行される時刻と、どの程度差があるかが表示されています。時系列で確認できるので、遅延が多い時間帯があれば、スケジュールを分散させる等の措置を検討するのに役立ちます。

バックグラウンドタスクの遅延


ロード時間の統計

ビュー単位で、読み込みに要する時間が表示されます。
構成は下記の通りです。

ビューの平均読み込み時間
時間単位の時系列で、ビューの読み込み時間が表示されます。特定のビューのみ表示するようにフィルタ可能で、複数ビューを選択した場合、読み込み時間の平均となります。

ビューの正確な読み込み時間
ビューごとに、読み込み時間の分布を確認できます。指定期間における、読み込み時間のポイントと統計情報(平均、中央値、四分位範囲)が図示されています。
ビューごとに読み込み時間の分布を確認できるので、ある時間だけ読み込みに時間がかかっているのか、または常に読み込み時間がかかるビューのなのか、といった原因の探索に役立ちます。

ロード時間の統計


領域使用量の統計

ディスク容量を最も多く使用している コンテンツが表示されます。ユーザー、プロジェクト、コンテンツ(ワークブック、データソースなど)別の使用量が確認でき、サーバー全体やサイト、プロジェクトやユーザー別などの単位でフィルタも可能です。

領域使用量の統計


サーバーのディスク容量

サーバー管理者のみが閲覧可能で、Tableau Server がインストールされているパーティションのディスク容量が表示されます。ディスク容量の低下が時系列で確認できるので、急激な容量低下があった場合、それがいつ起こったか判断できます。ディスク容量が低下してきたら、ファイルを削除して空き容量を増やす等の措置も検討可能となります。

サーバーのディスク容量


バックグラウンダーダッシュボード

バックグラウンドジョブも含む、ジョブの実行にかかる時間が表示されます。

バックグラウンダーダッシュボード


古いコンテンツ

指定した期間([古いしきい値]としてフィルタ)に使用またはアクセスされていないコンテンツを識別できます。期間は日数で設定できます。ビューにも記載されていますが、コンテンツの使用率は、現時点のディスク使用量に対する古いコンテンツの割合として表示されるのでご注意ください。

古いコンテンツ


「データに聞く」 (Ask Data) の使用状況 ビュー

サイトを選択時に閲覧できるサイトのステータスより確認できます。
「データに聞く」機能を使用したユーザーや対象となったデータソースが表示されます。この機能がよく用いられるデータソースに関して新たなビュー作成を検討するなどの用途で使用できそうです。

「データに聞く」 (Ask Data) の使用状況


データ品質に関する警告履歴

環境内でTableau Catalog が有効になっており、データ品質に関する警告の設定がなされている場合、サイトごとに、アクティブな警告数と警告の変更数が日付単位の時系列で表示されます。ビューの下部には警告の詳細(アセットタイプ、警告のタイプ、メッセージ等)も表示されるので、サイト上でデータ品質に関する警告がどのように使用されているか把握できます。

データ品質に関する警告履歴

Tableau Catalog の有効化、データ品質に関する警告の設定は下記を参照ください。

データカタログ機能・Tableau Catalogにできること | Developers IO

データ品質に関する警告を設定する


ライセンス使用状況

ライセンス使用状況に関するビューには下記があり、それぞれ閲覧の条件があります。

・ログインベースのライセンス使用状況
閲覧方法

ログインベースのライセンス管理 が Tableau Server で有効になっている場合、このビューは、サイト管理者とサーバー管理者のみが使用できます。

概要
ログインベースのライセンス認証の使用状況を表示でき、ライセンス数の追加や削減の判断に役立ちます。

・デスクトップ ライセンスの使用率、デスクトップ ライセンスの有効期限
閲覧方法

ライセンスに関するデータを取得するには、Tableau Server にデータを送信するよう Tableau Desktop バージョン 10.0 以降の各コピーを設定する必要があります。ライセンス データを表示するには、Tableau Server でデスクトップ ライセンス レポートを有効化する必要があります。
Tableau Desktop レポートの有効化と構成

概要
Tableau Desktop ライセンスの使用量データより、ライセンスの種類、特定のユーザーのライセンス使用状況、メンテナンス期限に関する情報を確認できます。

ログインベースのライセンス使用状況
デスクトップ ライセンスの使用率
デスクトップ ライセンスの有効期限

さいごに

以上、簡単ではありますが各ビューで確認できることをあげてみました。サーバー管理に役立つ多くの情報がデフォルトで提供されていますし、カスタム管理ビューを作成すれば、違った切り口で利用状況を可視化できるので、強力なツールと改めて感じました。

参考

Tableau Serverの管理ビューを使用してみる | DevelopersIO