TiDB Cloud Essential(パブリックプレビュー)を起動して、StarterやDedicatedと比較してみた
こんにちは、ゲームソリューション部のsoraです。
今回は、TiDB Cloud Essential(パブリックプレビュー)を実際に起動し、StarterやDedicatedと比較して見えてきた違いをまとめます。
はじめに
TiDB Cloudの新プランとして、Essentialが登場しました。
ドキュメントもEssential用のページが作られていました。
料金表も公開されていました。
※パブリックプレビュー版の料金表であり、GA時は変更される可能性があります。
クラスタの作成画面
まずはクラスタの作成画面です。
StarterやDedicatedと並んで、Essentialが追加されています。

次に設定項目を見ていきます。
Cloud ProviderはAWSのみが選択可能、RegionはStarterと同様で5リージョンが利用可能です。
Capacityについて、Starterの場合は、Monthly Spending Limitを設定して月額利用料の制限を指定することで、どの程度利用するかを設定していました。
Essentialの場合は、最小と最大のRCUsを設定することで、オートスケールの幅を設定することができます。
最小は2000 RCUsで、100 RCUs単位で設定可能です。(最小設定は、min 2000 RCUs・max 2100 RCUs)

Dual-layer Data EncryptionやHigh Availability(Zonal or Regional)の部分は、StarterもEssentialも同様の設定が可能です。
テキストの部分は異なっていましたが、設定値は同様です。

作成したクラスタの確認
クラスタを作成してみました。
起動時間はStarterと同様ですぐに使えるようになりました。
初期のメタデータは1.08MiB入っていました。(キャプチャでは1.07MiBとなっていますが後に増えました。)

バージョンについて、Dedicatedより古く、Starterと同様のバージョンになっています。
Starterと同様でユーザ指定のタイミングでのバージョン変更はできず、自動でバージョンアップされます。

接続方法
接続方法はStarterと同様で、パブリック接続とPrivateLink接続が可能です。
Dedicatedで使用可能なVPCピアリング接続は使用できません。

PrivateLink接続時のエンドポイントについて、サービス名・ホスト名がStarterと同じでした。
そのため、EssentialもStarterと同様でマルチテナントだと思われます。
この部分が引っかかる場合は、Dedicatedの利用検討をおすすめします。

その他の機能比較
Essentialクラスタのサイドバーのメニューをメインに見ていきます。

データ移行・変更データキャプチャ機能
Dedicatedで使用可能なTiDBのデータ移行機能であるDM、変更データキャプチャ機能であるTiCDCは、Starter同様ありませんでした。
ただし、以下の公式リリースを確認してみると、Essentialでも使用可能になるとのことです。
変更データキャプチャのためのTiCDC (近日提供予定) をご利用いただけます。ウェブコンソールに組み込まれたデータ移行 (DM) 機能も追加され、これはDedicatedプランで提供されている機能と同様です。
エクスポート機能
エクスポート機能について、Starter同様に使用可能でした。
エクスポート速度について、StarterでSpending Limitを0より大きくした場合と同様で最大100 MiB/sとなります。
Dedicatedにおいては、エクスポート速度の制限の記載がありません。
バックアップリストア
バックアップリストアについて、Starter同様に利用可能ですが、Essentialの場合はPITRも使用可能です。
Starterだとグレーアウトで選択不可ですが、Essentialの場合は選択可能となっています。

バックアップの期間については、Starterと同様でEssentialも30日まで設定可能でした。

Dedicatedで使用可能なものの、Essentialでは使用不可な主な機能
以下機能はクラスタのメニューに表示されておらず使用不可でした。
- Recovery Group
- クラスタ間でデータベースを複製し、フェールオーバーを可能にする機能
- CMEK
- ユーザーの持っている暗号化鍵を使用したデータ暗号化機能
- Database Audit Log
- ユーザーアクセスの詳細な履歴を記録するデータベース監査ログ機能
- Dedicatedではチケットリクエストで利用可能なものの、Starter・Essentialでは利用不可
- SQL Editor
- TiDB Cloudコンソール上でSQLを実行する機能
- Starterではデフォルトで利用可能、Dedicatedではチケットリクエストをすることで利用可能
- Essentialではデフォルトで表示されておらず、チケットリクエストで利用可能かなども公式ドキュメントに記載なし
- https://docs.pingcap.com/ja/tidbcloud/explore-data-with-chat2query/
- 3rd Party連携
- DatadogやNew Relicと連携する機能
- Monitoring > Alerts
- ノードのメモリ使用率やCPU使用率、DMジョブのエラーなどを監視して通知する機能
- Essentialでは、DMやChangefeedがなくノードを個別に意識しない
- Monitoring > Nodes
- Dedicatedにて各ノードの状態を確認するNode Mapの機能
- EssentialではStarter同様、ノードを個別に意識しない
調査・触ってみての感想
Essentialは、Starterと異なりRCUをプロビジョニングすることで、急なトラフィック増加に対してオートスケールが間に合わないことを軽減できそうだと思いました。
RCUのminとmaxを指定可能なため、Dedicatedよりも柔軟にスケールしやすく、オートスケールができることも特徴です。
気になる点としては、プライベートエンドポイントのサービス名やホスト名がStarter含めて同じであること、最小のRCUが2000RCUsであり最小料金でそれなりに料金がかかってしまうことです。
料金について、東京リージョンでの単価が$0.24/RCU 月なため、最小の2000RCUsで計算しても$480/月かかることになります。(実際はここにストレージ費用がプラスでかかります。)
表記として月単位ではあるものの、起動して数時間後に以下のようにBiilingのUsage Detailsに表示されていたため、少し起動しただけで1か月分の料金が発生する形ではなさそうです。
こちらについて、公式ドキュメントなどには記載がありませんでしたが、正確な情報は別途確認して追記しようと思います。

気になる点も記載しましたが、これからEssentialにも色々な機能追加が予定されているため、今後期待できそうだと感じました。
最後に
今回は、TiDB Cloud Essential(パブリックプレビュー)を起動して、StarterやDedicatedと比較してみたことを記事にしました。
どなたかの参考になると幸いです。






