AWS Managed Microsoft ADを試してみた (2019年版)
しばたです。
AWS Managed Microsoft AD(以後Microsoft AD)を試してみた記事は2015年にサービスがリリースされた直後に弊社トランによって公開されていてるのですが、2019年現在マネジメントコンソールのUIも若干変わっており改めて入門記事を書いてみます。
Microsoft ADとは
AWS Managed Microsoft AD(以後Microsoft AD)はAWSが管理するマネージドなActive Directoryサービスです。
マネジメントコンソールのドキュメントに
AWS クラウド上の実際の Microsoft Active Directory ディレクトリです。
とある様にその実体は基本2台[1]のWidnows Server 2012 R2から構成されています。
フォレストおよびドメインの機能レベルはWindows Server 2012 R2となり、ディレクトリと同時にDNSサーバーもインストールされ利用できます。
前提条件
Micorosoft ADを構築するための前提条件は以下のドキュメントに記載されています。
かいつまんで説明すると、
- 異なるAZにまたがる2つのサブネット
- 基本2台のドメインコントローラーをそれぞれのサブネットに配置します
- VPC にはデフォルトのハードウェアテナンシーが必要
となり、最低限下図の構成が必要となります。
マネジメントコンソールから構築してみる
Microsoft ADの構築は非常に楽で、マネジメントコンソールから行う場合もウィザードの従うだけですぐに作成できます。基本的な手順は以前の記事と変わりませんが、UIが若干変わっているの改めてスクリーンショット付きで説明します。
はじめに、全くの初期状態では下図の様になるので「AWS Managed Microsoft AD」を選択し、「ディレクトリのセットアップ」をクリックします。
「AWS Managed Microsoft AD」を選択したまま「次へ」をクリック。
次にディレクトリ情報を入力します。
設定項目は以下。細かい説明は不要かと思います。
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
エディション | StandardかEnterpriseを選択 | |
ディレクトリのDNS名 | ディレクトリのDNS名をFQDNで指定 | |
ディレクトリのBetBIOS名 | ディレクトリのNetBIOS名を指定 | 最大15文字 |
(Optional)ディレクトリの説明 | マネジメントコンソールに表示するディレクトリの説明文 | |
Adminパスワード | Microsoft ADの管理者ユーザー Admin のパスワード |
続けてVPCと2つのサブネットを指定します。
最後に設定内容の確認画面となり「ディレクトリの作成」ボタンをクリックすればディレクトリが作成されます。
作成完了までにはしばらく時間がかかりますので後は待つだけです。
CloudFormationから構築してみる
Microsoft ADはCloudFormationからも構築可能です。
ほとんど説明することはありませんがざっと以下の様な感じで作成できます。
AWSTemplateFormatVersion: 2010-09-09
Parameters:
VPCID:
Description: "Select VPC used by Microsoft AD."
Type: AWS::EC2::VPC::Id
Subnets:
Description: "Select 2 subnets used by Microsoft AD."
Type: List<AWS::EC2::Subnet::Id>
Edition:
Description: "Directory Edition(Standard or Enterprise)."
Type: String
Default: "Standard"
AllowedValues:
- "Standard"
- "Enterprise"
DNSName:
Description: "Directory DNS name."
Type: String
Default: "corp.contoso.com"
NetBIOSName:
Description: "Directory NetBIOS name."
Type: String
Default: "CORP"
AdminPassowrd:
Description: "Password of Admin user."
Type: String
Default: "P@ssw0rd"
NoEcho: True
Metadata:
AWS::CloudFormation::Interface:
ParameterGroups:
- Label:
default: "Network parameters"
Parameters:
- VPCID
- Subnets
- Label:
default: "Directory parameters"
Parameters:
- Edition
- DNSName
- NetBIOSName
- AdminPassowrd
Resources:
MSAD:
Type: AWS::DirectoryService::MicrosoftAD
DeletionPolicy: Retain
Properties:
Edition:
Ref: Edition
Name:
Ref: DNSName
ShortName:
Ref: NetBIOSName
Password:
Ref: AdminPassowrd
VpcSettings:
SubnetIds:
Ref: Subnets
VpcId:
Ref: VPCID
Microsoft ADは一度作成したあとは削除することが無いでしょうからDeletionPolicyをRetain
にしてあります。
その他パラメーターについては環境に応じて変えると良いでしょう。
AWS Tools for PowerShellから構築してみる
もちろんAWS CLIやAWS Tools for PowerShellからも構築可能です。
本記事ではAWS Tools for PowerShellから試してみます。
AWS Tools for PowerShellではNew-DSMicrosoftADコマンドレットでMicrosoft ADのディレクトリを作成できます。
ざっくり以下の様な感じです。
# 認証情報や既定のリージョン設定は必要に応じて行ってください
$params = @{
VpcSettings_VpcId = 'vpc id'
VpcSettings_SubnetId = ('subnet id1', 'subnet id2')
Edition = 'Standard'
Name = 'corp.contoso.com'
ShortName = 'CORP'
Password = 'Password'
}
New-DSMicrosoftAD @params
コマンドレットを実行すると直ちに処理が終了しディレクトリIDを返します。
作成状況はGet-DSDirectoryから取得できます。
Get-DSDirectory -DirectoryId 'your directory id'| Select-Object Name, Stage
制限事項と運用の基本
Micorosft ADはマネージドサービスであるため幾つかの制約があります。
基本的には弊社にしざわによる以下の記事をご覧いただくのが良いでしょう。
上記で触れている中でも
- 利用者が使える管理者ユーザーは
Admin
ユーザー- Domain Adminの権限は与えられない
- 利用者が利用可能な管理権限は
AWS Delegated Groups
配下にあるAdmins
グループは過去の権限であり現在は非推奨
- 利用者が使えるOUが限定されている
をまずは押さえておけばよいでしょう。
加えて以下の公式ドキュメントを押さえておくのが良いでしょう。
運用の基本
Micorosft ADの運用は通常のドメインコントローラーと同様に行います。
ただ、マネージドサービスのためドメインコントローラーにRDPで接続することはできないため、ドメインに参加したリモート環境からRSATなどをインストールして管理します。
たとえばWindows Server環境から管理する場合はInstall-WindowsFeatureコマンドレットを使い「AD DS および AD LDS ツール」「DNS サーバー ツール」をインストールすれば最低限必要な管理機能は利用可能になります。
# 要管理者権限
# インストールする管理ツールは環境に応じて変更してください
Install-WindowsFeature RSAT-AD-Tools, RSAT-DNS-Server
また、AWSのマネジメントコンソール上では主に以下の操作が可能です。
- ユーザーのパスワードリセット
- ディレクトリを他アカウントと共有する
- ドメインコントローラーの台数を増やす
- 信頼関係の追加
- IPルーティング設定
- 多要素認証設定
- スナップショット(バックアップ)の管理
最後に
ざっとこんな感じです。
過去記事の焼き直しではありますが、様々な方式での作成方法や運用の注意事項などを追加していますので少しは皆さんの役に立つのではと思っております。
これからMicrosoft ADを触る方の役に立てば幸いです。
構築後にドメインコントローラーの数を増やすことが可能 ↩︎