Google Workspace Flowsアルファ版がリリースされたので試してみた

Google Workspace Flowsアルファ版がリリースされたので試してみた

2025.11.10

はじめに

こんにちは。
クラウド事業本部コンサルティング部の渡邉です。

2025年11月上旬から、Google Workspaceのアルファ版にて、【Google Workspace Flows】がリリースされて使用できるようになっているとSNSで話題になっていました。

私個人でGoogle Workspace Business Standardを契約しているため、個人Workspaceを利用して【Google Workspace Flows】を試してみました。

Google Workspace Flowsとは

Google Workspace Flowsは、2025年4月のGoogle Cloud Next '25で正式発表された、Gmail、Googleドライブ、Google ChatなどのGoogle Workspaceアプリケーション間を連携、自動化するワークフローを簡易的なUIを利用して作成することができるノーコードワークフロー自動化プラットフォームです。

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Google Workspace Flows

Geminiによる自律的ワークフロー実行

Google Workspace Flowsの最大の特徴は、Geminiをワークフローエンジンの中心に据えた設計にあります。これにより、従来の自動化ツールでは実現できなかった、高度な判断と柔軟な処理が可能になっています。

ノーコード/ローコードインターフェースの真価

Google Workspace Flowsでは、複雑なワークフローを構築するために、コードを書く必要は一切ありません。
Google Workspace Flowsのトップページから以下のように、自然言語でやりたいことを入力すると、自動的にワークフローを作成してくれます。

「新しいサポートフォームの回答が届いたら、内容を分析して緊急度を判定し、
過去の類似ケースを検索して、適切な回答案を作成してサポートチームに通知してください」

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自然言語によるワークフローの作成

この指示を受け取ると、Google Workspace Flowsは以下のような複雑なロジックを含むワークフローを自動的に構築します

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ワークフロー

  1. Google Formsの新規回答をトリガーとして設定

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Step 1: When a form response comes in

  1. Google Formsから情報の抽出

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Step 2: Extract

  1. Geminiによる内容分析と緊急度スコアリング
  2. Geminiによる過去の類似ケースとの照合
  3. 回答案のドラフト作成

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Step 3: Ask Gemini

  1. Google Chatでの通知

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Step 4: Send a message

上記のプロセスのワークフローが自然言語によって作成されます。
後は、どのフォームを利用するのか、どのチャットに通知するのかなど細かな設定を行うだけで利用することができます。

また、Google側が事前に、よくある自動化ワークフローをあらかじめテンプレートとして用意してくれているので、テンプレートを利用してワークフロー作成の工数を削減することもできます。
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テンプレート群

Gemini & Gemsとの統合

Google Workspace Flowsは、Geminiをワークフローのステップとしてシームレスに組み込むことができます。さらに、Gems(カスタムAIエージェント)を活用することで、組織固有のビジネスルールやブランドガイドラインを適用した専門的な処理をすることも可能です。

対応アプリケーション

現在サポートされているGoogle Workspaceアプリケーション

Google Workspace Flowsは、Google Workspaceの主要なアプリケーションとネイティブに統合されています。

Gmail

  • 受信メールのトリガー(送信者、件名、本文内容による条件設定)
  • メールの自動分類とラベル付け
  • 返信メールの自動生成と下書き保存
  • 重要メールの通知と転送

Google Drive (Docs, Sheets, Forms)

  • ファイルの作成、更新、移動をトリガーとして使用
  • ドキュメント内容の自動分析と要約
  • Sheetsへのデータ自動入力と集計
  • Formsの回答に基づく自動処理

Google Chat

  • メンションやキーワードによるトリガー
  • 自動応答とボット機能
  • チャネルへの通知配信

Google Calendar

  • イベントの作成、変更、削除をトリガーとして使用
  • 会議の自動スケジューリング

Gemini & Gems

  • ワークフロー内での分析・推論処理
  • カスタムAIエージェントによる専門タスク実行
  • ドキュメント生成と編集
  • 意思決定支援

やってみた

アルファ版Gemini機能の有効化

Google Workspace Flowsを利用するにはAdmin Consoleで、Gemini for Google Workspaceの設定をからアルファ版機能を「オン」にする必要があります。 この機能はデフォルトでは「オフ」になっています。この機能は、Google Workspaceの管理者が管理コンソールにログインし、「Gemini for Workspace の設定」ページで、「アルファ版機能」のトグルを明示的に「オン」に切り替える必要があります。この設定がOFFのままでGoogle Workspace FlowsのURLへアクセスすると、以下の画面へ遷移し、Gemini for Google Workspaceのアルファ版を有効化することを促されます。

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Gemini for Google Workspaceのアルファ版を有効化することを促される

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Gemini for Google Workspaceのアルファ版を有効化

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Gemini for Google Workspaceのアルファ版を有効化

ワークフローの作成

ワークフローの基本は、以下の2つの項目をつなぎ合わせることで作成していきます。

  • Starter : ワークフローの起動条件
  • Actions : ワークフローのアクション

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Starterで利用できる項目

Starterで利用できる項目の一覧は以下の通りです。
Actionsと比べると項目は少ないですが、いろいろなことができそうです。

英語 日本語 対応Googleアプリケーション
On a schedule スケジュールに基づいて -
When I get an email メールを受信したとき Gmail
When someone joins a space 誰かがスペースに参加したとき Google Chat
When someone posts in a space 誰かがスペースに投稿したとき Google Chat
When I'm mentioned 自分がメンションされたとき Google Chat
When an emoji reaction is added 絵文字のリアクションが追加されたとき Google Chat
When a sheet changes シートが変更されたとき Google spreadsheet
When an item is added to a folder アイテムがフォルダに追加されたとき Google Drive
When a file is edited ファイルが編集されたとき Google Drive
When an item in a folder is edited フォルダ内のアイテムが編集されたとき Google Drive
Based on a meeting 会議に基づいて Google Calendar
When a form response comes in フォームの回答が届いたとき Google Forms

Actionsで利用できる項目

Actionsで利用できる項目の一覧は以下の通りです。
アルファ版ですが、SaaSに対するアクションも実行することができます。今後のGAに期待です。

カテゴリ 英語 日本語
AIエージェント Ask Gemini Geminiに尋ねる
AIエージェント Ask a Gem Gemに尋ねる (GemはGoogle WorkspaceにおけるカスタムAIエージェントの機能の一部です)
Geminiの活用 Recap unread emails 未読メールを要約する
Geminiの活用 Extract 抽出する
Geminiの活用 Decide 判断する
Geminiの活用 Summarize 要約する
ツール Check if 条件を確認する (条件分岐などに使用)
ツール Filter フィルタリングする
ツール Send a webhook Webhookを送信する
Gmail Send an email メールを送信する
Gmail Draft a reply 返信メールを下書きする
Gmail Add labels ラベルを追加する
Gmail Remove labels ラベルを削除する
Gmail Mark as read 既読にする
Gmail Mark as unread 未読にする
Gmail Star an email メールにスターを付ける
Gmail Remove star スターを削除する
Gmail Forward an email メールを転送する
Gmail Archive an email メールをアーカイブする
Chat Post in a space スペースに投稿する
Chat Send a message メッセージを送信する
Chat Notify me in Chat Chatで自分に通知する
Sheets Add a row 行を追加する
Sheets Update rows 行を更新する
Sheets Clear rows 行を消去する
Sheets Get sheet contents シートの内容を取得する
Drive Add email attachments to Drive メールの添付ファイルをドライブに追加する
Drive Create a folder フォルダを作成する
Calendar Set up a meeting 会議を設定する
Calendar Add guests to a meeting 会議にゲストを追加する
Docs Create a doc ドキュメントを作成する
Docs Add to a doc ドキュメントに追加する
Tasks Create a task タスクを作成する
Asana(アルファ) Create project プロジェクトを作成する
Asana(アルファ) Create section セクションを作成する
Asana(アルファ) Create task タスクを作成する
Asana(アルファ) Create subtask サブタスクを作成する
Asana(アルファ) Add comment to task タスクにコメントを追加する
Confluence(アルファ) Create page ページを作成する
Jira(アルファ) Create issue 課題を作成する
Jira(アルファ) Create issue comment 課題にコメントを作成する
Mailchimp(アルファ) Add subscriber 購読者を追加する
Mailchimp(アルファ) Create campaign キャンペーンを作成する
Quickbooks(アルファ) Create customer 顧客を作成する
Quickbooks(アルファ) Create vendor 仕入先を作成する
Quickbooks(アルファ) Create payment record 支払い記録を作成する
Salesforce(アルファ) Create lead リード(見込み客)を作成する
Salesforce(アルファ) Create contact 取引先責任者(連絡先)を作成する
Salesforce(アルファ) Create account 取引先(アカウント)を作成する
Salesforce(アルファ) Create opportunity 商談を作成する
Salesforce(アルファ) Create case ケース(サポート案件など)を作成する
Salesforce(アルファ) Create notes メモを作成する
Salesforce(アルファ) Create task タスクを作成する

日時でGoogle Cloudのアップデート情報を通知する

毎日特定の時間で、Google Cloudのアップデート情報をGoogle Chatへ通知するワークフローを作成してみたいと思います。

作成したワークフロー全体は以下になります。
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日時でGoogle Cloudのアップデート情報を通知するワークフロー

まず、ワークフローを開始するStarterの部分を作成していきます。特定の日時で実行したいので、On a scheduleを選択し、開始日:Daily時間:Time繰り返し:Repeatの値をそれぞれ入力していきます。
以下の場合は、

  • 2025年11月09日から
  • 毎日
  • PM 1:05に

ワークフローが起動します。
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Step1 : On a schedule

次に、ワークフローのアクションを設定していきます。Ask Geminiを選択すると、Geminiを呼び出して、任意のプロンプトを実行させることができます。その際に、前のステップ(この場合はStarter)の変数を利用することもできます。
この場合は、開始時刻 PM 1:05 を変数として利用することができます。

Geminiには、Google Cloudに関する情報を検索してもらっています。

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Step2 : Ask Gemini

次のアクションで、Notifiy me in Chatを選択するとGoogle Chatへ任意のメッセージを送ることができます。
メッセージには、先ほどと同様の変数を埋め込むことができます。
今回は、以下の変数を埋め込みました。

  • Starterの開始時刻 PM 1:05
  • 前のアクションで実行したgeminiからの回答

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Step3 : Notifiy me in Chat

設定した時刻 PM 1:05になると、ワークフローが起動し、Geminiへのプロンプトが実行され、実行結果がGoogle Chatへ通知されることが確認できました。

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Google chatへGoogle Cloudのアップデート情報が通知

メールに添付されたPDFをGoogleドライブに保存し、スプレッドシートへ転記する

メールに添付されたAppleからの請求書データのPDFをGoogleドライブに保存し、内容を読み取って特定の項目を抽出し、スプレッドシートへ転記するワークフローを作成しました。

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メールに添付されたAppleからの請求書データのPDFをGoogleドライブに保存し、内容を読み取って特定の項目を抽出し、スプレッドシートへ転記するワークフロー

まず、ワークフローを開始するStarterの部分を作成していきます。今回は、メールを受信したことをトリガーにワークフローを起動したいので、When I get an emailを利用します。すべてのメールを対象にすることもできますし、特定の送信元のメールを対象にしたり、その他にも様々なルールを設定することができます。今回は、特定の送信元のメールを対象にします。

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Step1 : When I get an email

次に、メールに添付されているファイルをGoogleドライブに格納したいので、Add email attachments to Driveを利用します。ファイルを格納する格納先のドライブを選択します。今回は、請求書フォルダを指定します。
Gmail attachmentsにはStep 1: Email Attachmentsを指定します。

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Step2 : Add email attachments to Drive

次に、請求書フォルダに格納した添付ファイルをgeminiを利用して読み込み、特定の項目を抽出するExtractを利用します。
geminiで読み込む対象のコンテンツを選択するために、Content to analyzeに Step 2: Links to the filesを指定します。What to extactには、添付ファイルから抽出したい項目を列挙していきます。

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Step3 : Extract

次に、添付ファイルから抽出した特定の項目をスプレッドシートに転記するために、Add a rowを利用します。転記するスプレッドシートとシートを選択し、追記する項目に対応するカラムを指定します。

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Step4 : Add a row

メールを受信するとワークフローが起動します。メールに添付されているAppleからの請求書ファイルがGoogleドライブの請求書フォルダに格納されていました。
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Googleドライブの請求書フォルダ

そして、スプレッドシートに請求書ファイル内の特定の項目が転記されていることが確認できました。
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スプレッドシート

作成したワークフローはMy agentsという項目で確認することができます。
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My agents

また、Activityからはワークフローが起動して正常終了しているのか、異常終了しているのかというステータスを確認することができます。
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Activity

最後に

今回は、11月上旬にリリースされたGoogle Workspace Flowsを試してみました。

Google Workspace Flowsは、単なる「便利な自動化ツール」の範疇を超えていると感じました。Geminiによる推論能力とWorkspaceエコシステムの深い統合により、従来の自動化ツールを大きく超える可能性を持っている思います。

現在はアルファ版で限定的な提供ですが、今から検証を重ねることで、利用者は、正式リリース時に大きなアドバンテージを得ることができると思います。

個人でGoogle Workspaceを契約している人はもちろん、会社で契約している方は一部の方にアルファ版を有効化して検証して触っていただくことをお勧めします。

この記事が誰かの助けになれば幸いです。

以上、クラウド事業本部コンサルティング部の渡邉でした!

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