AWS受験体験記: 3回目の受験でようやくANS-C01に合格したので勉強の仕方を振り返る

AWS受験体験記: 3回目の受験でようやくANS-C01に合格したので勉強の仕方を振り返る

個人的には Solution Architect - Professional より難しいと感じました
2025.12.05

この記事は アノテーション株式会社 AWS Technical Support Advent Calendar 2025 | Advent Calendar 2025 - Qiita 5 日目の記事です。

はじめに

こんにちは。アノテーションの watabo です。

弊社のブログは re:invent 一色ですが、今回はそれとは関係のない受験体験記です。
この度、AWS Certified Advanced Networking - Specialty(ANS-C01)に3回目の挑戦で合格することができました。
正直3回も受験することになるとは思っていませんでしたが、その分多くの学びがありました。
これから受験される皆さんへのエールを込めて、ブログにします。

https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-advanced-networking-specialty/

受験者のSpec

まず、簡単に私のバックグラウンドを紹介します。
AWS歴は約3年で、現在はカスタマーサクセスエンジニア(CSE)として運用支援・改善業務を担当しています。
元々はインフラエンジニアとして基幹システムの運用監視業務に従事していましたが、当時はオンプレミス + シングルアカウント環境での運用ばかりで、Transit Gateway などのマルチアカウント環境特有のサービスを使う機会はほとんどありませんでした。
ちなみに、Direct Connect は1度だけセットアップする機会に恵まれました。

記事執筆時点でANSを除いた7個のAWS資格を取得しています。
(CLF, SAA, SOA, DVA, SAP, DOP, SCS)

受験の経緯

私の3回の受験結果は以下の通りです。

  • 1回目:2025/10/13 スコア 627点(不合格)
  • 2回目:2025/10/29 スコア 696点(不合格)
  • 3回目:2025/12/3 スコア 752点(合格)

3回目にして、ギリギリで合格できました。
ANS2

それぞれの挑戦で考えていたことを振り返ります。

1回目:見切り発車で挑戦

1回目の受験は、正直なところ「敵を知る」ことが目的でした。
ちょうど社内で試験バウチャーの有効期限が迫っていたこともあり、「やらないよりはやった方がいい」という考えで準備もあまりせずに挑みました。

やったことと言えば、後述のUdemyの模擬試験を解き、その解説をざっと見たくらいです。
結果は予想通りの不合格でしたが、試験の雰囲気や出題傾向を掴むことができました。

2回目:間髪あけずに再挑戦

2回目も1回目と同様に有効期限の関係で、あまり時間を空けずに挑戦しました。
しかし、準備期間が短かったため、学習も十分にできていませんでした。

この時点で、PrivateLinkの実体だったり、経路によってMTUが違うことも理解していないレベルだったので、むしろ落ちて良かったと今では思います。

3回目:学習方法を根本から見直し、合格

2回目の不合格後、約1ヶ月間しっかりと学習時間を確保し、学習方法も根本から見直しました。
特にTransit Gatewayやルーティングについての理解を、AWS Black Beltなどの公式資料で深めてから臨んだことが功を奏しました。

1〜2回目の失敗から学んだこと

振り返ってみると、1〜2回目の失敗には明確な理由がありました。

模擬試験の解説に頼りすぎていた

最初は「問題を解いて、解説を読めば理解できる」と考えていました。
実際、それで乗り切ってきた資格もあったためです。

しかし、ANSのような高度な資格では、問題の背景にある概念やサービスの仕組みを理解していないと、解説を読んでも「なぜそうなるのか」が腹落ちしません。
結果として、暗記に頼る学習になってしまい、少し問題の切り口を変えられると対応できなくなっていました。

基礎概念の理解が不足していた

MTU、BGP、IPSecなどといったAWS環境に限らないネットワークの概念や、PrivateLink や Transit Gateway、Site-to-Site VPN や Direct Connect が絡んでくるルーティングなど、頻出する概念の理解が浅かったことも大きな問題でした。
模擬試験だけでは、これらの概念を体系的に理解することはできません。

実際に触る機会がなかった

シングルアカウント環境での運用経験しかなかったため、マルチアカウント環境特有のネットワーク構成やTransit Gatewayの動作を実感として理解できていませんでした。

3回目で合格できた理由

3回目の受験に向けて、2回目(10月29日)から3回目(12月3日)の約1ヶ月間で学習方法を大きく変えました。
1日1〜4時間、合計で30時間以上は学習に時間を使ったと思います。

試験ガイドベースの学習

まず、公式のANS-C01試験ガイドを見直しました。

恥ずかしい話ですが、いつも斜め読みで済ませてしまっていました。。。
しかし今回は、試験ガイドに記載されている内容でわからない概念があればひたすらObsidianにメモとしてまとめるという作業を行いました。
これまでも分からないことは都度まとめていましたが、より意識して実行しました。
結果として、これまでのメモも大幅に追記することになりました。

これにより、自分が何を理解していて、何を理解していないのかが明確になりました。
シンプルですが、実際一番効いたような気がします。

AWS Black Beltで深掘り

試験ガイドで洗い出した不明点を、AWS Black Beltの資料で深掘りしていきました。

AWS Black Belt - ネットワーキング関連資料

https://aws.amazon.com/jp/events/aws-event-resource/archive/?ams%23interactive-card-vertical%23pattern-data--1962452770.filter=%257B%2522filters%2522%253A%255B%257B%2522id%2522%253A%2522GLOBAL%2523aws-tech-category.and%2522%252C%2522value%2522%253A%255B%2522networking-content-dev%2522%255D%257D%255D%257D

ちゃんと見ることができたのは3本くらいですが、PDFだけでも十分わかりやすいです。
ただし、初めての概念だと頭に入ってこないこともあるので、そういう時はYouTubeに公開されている動画を見ることをお勧めします。PDFには載っていない補足説明が入っていることも多いです。

特に役立ったのは、AWS Transit Gateway deep diveです。

AWS Transit Gateway deep dive(PDF)

"deep dive"というと難しそうに聞こえますが、概要から丁寧に説明してくれますし、実際の構築時の注意点(そのまま試験に出る要素もある)も解説されているので、非常にありがたい資料でした。

ハンズオンで実際に触る

座学だけでなく、実際に手を動かすことも重要だと感じました。

AWS Transit Gateway Workshop (japanese)

このハンズオンでは、Transit Gatewayを実際に構築し、ルーティングの動作を確認できます。
(日本語で提供されています!)

コンソール画面で設定項目を見ることで、「あの問題はここの設定のことを聞いていたのか〜」と腹落ちする瞬間が何度もありました。

なお、ハンズオンのリソースはCloudFormationで構築されており、削除も簡単です。
リソースを消し忘れなければ5ドルもかからないと思いますので、ぜひ試してみてください。

実際にやってみたブログはこちらです。私もこちらを見ながら実施しました。

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-workshop-transit-gateway-handson01/

使用した教材

AWS 公式リソース以外で使用した教材を紹介します。

Udemy: Practice Exam - AWS Certified Advanced Networking Specialty

Practice Exam - AWS Certified Advanced Networking Specialty

正直なところ、この教材には注意点があります。

  • ブラウザの翻訳機能を使うと日本語が不自然になることがある(原文でも一部わかりにくい箇所あり)
  • 解説も前提知識が求められるため、初学者だと何を間違ったのか理解しづらい問題もある
  • しばらく更新されていない(これに関しては他の受講者からもツッコミが入っていた)

ただし、他の教材での学習を経てから2周目以降に挑戦したところ、解説も含めて理解できるようになっていたので、復習教材としては有効だと思います。

最初からこれだけに頼るのはあまりお勧めしませんが、基礎を固めた後の実力試しには使えます。

書籍: AWS認定 高度なネットワーキングー専門知識完全対応テキスト

AWS認定 高度なネットワーキングー専門知識(ANS-C01)完全対応テキスト

公式ドキュメントをそのまま読むよりは読みやすいですが、こちらも初見だと難解な部分が多いです。
しかし、模擬試験が付属しているので、「とにかく問題と解説が欲しい」という方にはマストだと思います。

試験ガイドや Black Belt で基礎を固めた後、この書籍の問題で実力を測るという使い方が良いでしょう。

DevelopersIO

手前味噌ですが、体系的にまとめていただいている社内ブログが心強いです。
全てを見ることができたわけではないのですが、以下で紹介されている各サービスに関する記事は漁りまくりました。
本当にありがたいです。
https://dev.classmethod.jp/articles/summarize-the-blogs-on-devio-for-ans-c01-exam-202301/

試験当日の様子

試験時間について

ANSの試験時間は170分(約3時間)です。長いです。
途中で集中力が飛んでしまうこともあります。ぶっちゃけ私は休み休み受験していました。

1回目と2回目は見直しも含めて10分も残らないくらいギリギリでしたが、3回目は即答できる問題も多く、時間は余りました。これは、問われているポイントが明確に理解できるようになったことが大きいと思います。

点数はギリギリでしたが、手応えとしては「わかる問題」と「わからない問題」の区別がはっきりしていました。

難しかった分野

具体的な設問内容は記載できませんが、試験全体を通してDirect Connect と Site-to-Site VPN の使い分け、VPCエンドポイント周りの問題が難易度が高かったです。これらは実務で触る機会が少ない上にかなり深いところまで問われるため、意図的に学習時間を確保する必要があります。

準備が活きた分野

一方で、Black Beltでしっかり学習したTransit Gatewayの動作原理やルーティングテーブルの優先順位に関する問題では、自信を持って解答できました。

また、ハンズオンで実際に設定画面を見ていたことで、「この問題はあの設定画面のことだな」とイメージできる問題も多かったです。

これから受験する方へのアドバイス

1. 最初から試験問題をやってもいいけどお勧めしない

私のように試験の傾向を把握する目的で早々に受験するのも一つの手ですが、費用面(受験費用は会社負担でしたが)や時間を考えると、やはり基礎をしっかり固めてから挑む方が効率的です。

模擬試験は理解度チェックには有効ですが、それだけで合格できるほど甘い試験ではありません。

2. わからないサービスは全部自分の手で要約しよう

試験ガイドを見て、わからないサービスや概念があったら、自分の言葉でメモにまとめることを強くお勧めします。

私は Obsidian を使っていましたが、ツールは何でも構いません。もちろん紙とペンでも構いません。
重要なのは、「読んでわかった気になる」ではなく、「自分の言葉で説明できる」レベルまで理解を深めることです。

3. コンソールからリソースを自分の目で確認しよう

特にマルチアカウント環境やTransit Gatewayを実務で触る機会がない方は、ハンズオンで実際に構築してみることが非常に重要です。

コンソール画面を見ながら「ここがルートテーブルで、ここがアタッチメントか」と確認するだけで、問題文の理解速度が格段に上がります。

もし最初からやり直すとしたら

今振り返ってみると、最初からサービス理解のために公式資料やSkill Builder、Black Beltから入った方が良かったと思います。

実務でマルチアカウント環境を触れる機会がほとんどなかったので、これらの資料で環境を理解することで、学習スピードをかなり早められたのではないかと考えています。

まとめ

ANS合格までに3回の受験を要しましたが、その過程で得られた学びは非常に大きかったです。
しかし点数がギリギリだったこともあり、正直まだ十分に理解できた気にはなっていません。
引き続き、実務を通して具体的なユースケースなどを学習していきたいです。

アドバイスとしては、以下の3点を意識するだけで学習効率は大きく変わると思います。

  • 模擬試験だけに頼らず、公式資料で体系的に学ぶこと
  • わからない概念は自分の言葉でまとめること
  • ハンズオンで実際に触ること

ANSは確かに難しい試験ですが、しっかりと準備すれば必ず合格できます。

これからANSを受験される方の参考になれば幸いです。
頑張ってください!

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