ZendeskのAdvanced AIのインテリジェンス機能で、問い合わせの目的、言語、感情の自動分析を試してみた

2023.07.23

こんにちは、ゲームソリューション部の入井です。

先日、Zendeskの新機能であるAdvanced AIが日本語に対応されたことを紹介しました。

このAdvanced AIの機能について、実際に手元で検証を行うことができましたので、その結果を書いていきます。

Advanced AIとは

高度なAI技術を活用したZendeskの新機能で、アドオンとして提供されています。

こちらのページでは、以下のような機能が紹介されています。

インテリジェントトリアージ 目的、使用言語、印象(ポジティブまたはネガティブ)を検出・分析して問い合わせを自動分類します。またこれらの予測情報にもとづいてインテリジェントワークフローを最適化し、レポートを作成します。

Advancedボット メッセージングとメールに最適化された学習済のボットが、顧客の目的に沿って広範なデータベースを参照しながら、業界の慣習にもとづく的確でパーソナライズされた回答を提示し、自動で問い合わせを解決します。

マクロ提案(管理者向け) AIがサポート担当者のコメント、チケット、よくある回答を自動で学習し、新たなマクロ(回答テンプレート)の提案や既存マクロのギャップの特定と修正、承認プロセスの合理化を実行し、マクロの作成や使用状況分析の時間を短縮します。

また、ChatGPTで有名なOpenAIと連携し、以下のような機能も搭載しています。

チケットの要約 AIがチケット内容を瞬時に要約し、解決までの時間を短縮することで担当者の業務時間を削減します。

文章のトーン変更 AIが担当者が作成した文章のトーンを変更して、よりカジュアルで親しみやすくしたり、よりフォーマルなビジネス寄りの文章に修正します。

文章の詳細化 担当者が入力した文章や単語をもとに、ワンクリックで詳細な文章をAIが作成します。

この記事では、上記のインテリジェントトリアージ機能を活用し、エージェントへAIの分析結果を知らせるインテリジェンスという機能をご紹介します。

インテリジェントトリアージとは

公式ヘルプでは以下のように記載されています。

「インテリジェントトリアージ」は、受信したリクエストを目的の検出、言語の検出、印象分析を使用して分類し、これらのインサイトに基づいてチームがワークフローを強化することを可能にします。

Zendeskの高度なAIについて

上記のように、インテリジェントトリアージによって問い合わせ内容の目的言語印象が分析されます。そして、その結果をエージェントに向けてチケット詳細画面で表示するのが、インテリジェント機能です。

インテリジェンスは、チケット内のパネルにチケットの目的、使用言語、印象をエージェントに示し、カスタマーへの対応に役立つコンテキスト情報を提供します。

インテリジェントトリアージの設定

インテリジェンスを使用するには、インテリジェントトリアージ機能を有効にする必要があります。

インテリジェントトリアージの設定画面は、Advanced AIアドオンが有効になった状態で管理センターを開き、オブジェクトとルール→インテリジェントトリアージとクリックすることで開くことができます。

設定画面では分析対象毎に更に画面が分かれています。それぞれの対象毎に、有効無効を切り替えたり、どのチャネルで自動分析を実行するかを設定することができます。

また、各設定画面ではどのような分析結果が出力されるのかについても確認ができます。以下は、目的の設定画面内の状態です。問い合わせの内容から、様々な目的がAIによって自動的に推測されることがわかります。これらは全体の一部です。

問い合わせ内容の分析を試してみる

実際に、ユーザーからの問い合わせがどのように分析されるのかを試してみます。

今回は、以下のような文章を用意しました。

サービスにログインをしようとしたところ、この前までと同じIDとパスワードを入力しても、
上手くログインができなくなってしまいました。
解決方法を教えてください。

こちらのテキストをエンドユーザーとしてZendeskに送信し、作成されたチケットをエージェントとして確認したところ、画面右側のインテリジェンスのパネルで以下のように分析結果が表示されました。

目的の欄に「正しいパスワードが受け付けられません」と表示されており、AIがエンドユーザーの送信したテキストから問い合わせの目的を適切に理解したことが分かります。

また、言語は「日本語」と正しく理解しており、テキストが要件のみを簡潔に書いていることから印象についても「普通」であると分析されています。

次に、同じ問い合わせ内容であっても、エンドユーザーが少し感情的な言葉をテキストに書いていた場合どうなるのかを見てみます。以下のように、最初に作成したテキストにサービス品質への不安を追加したテキストを用意しました。

サービスにログインをしようとしたところ、この前までと同じIDとパスワードを入力しても、
上手くログインができなくなってしまいました。
解決方法を教えてください。

この前もこんな事がありましたが、このサービスは本当に大丈夫なのでしょうか。
こういうことは二度とないようにしていただきたいです。

こちらのテキストから作成されたチケットのインテリジェンスでは、以下のように表示されました。

目的は1回目と同じく「正しいパスワードが受け付けられません」と正しく理解した上で、印象は「ネガティブ」となっています。AIが、テキストからエンドユーザーの感情を適切に把握していることが分かります。

まとめ

Advanced AIのインテリジェンスによって、問い合わせ内容の分析結果がエージェントへどのように提供されるのかを確認し、AIによるテキストの分析が正確に行われていることが分かりました。

今回紹介した範囲だけでもエージェントには有用な機能ですが、この分析結果を元にトリガや自動化を実行することも可能で、それによって例えば以下のようなことができます。

  • 英語の問い合わせチケットには英語スキルを持っているエージェントを自動的に割り当てる
  • エンドユーザーが怒っている問い合わせチケットにはリーダークラスのエージェントを自動的に割り当てる
  • どのような目的の問い合わせが頻繁に来ているのか集計する

このように、Advanced AIを使いこなすことで、これまでのZendeskでは実現できなかった様々な業務効率の仕組みを構築することができるようになります。

なお、これらの仕組みの具体的な構築方法については、また別の記事で取り上げていきたいと思います。