地理空間情報を扱おう – 今日からはじめるAlteryx再入門アドベントカレンダー

2020.12.09

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こんにちは。

データアナリティクス事業本部ソリューション部プリセールススペシャリストの兼本です。

当エントリは2020年アドベントカレンダー『今日からはじめるAlteryx再入門』の09日目のエントリです。

このアドベントカレンダーの企画は、Developers.IOにてAlteryxの情報をお届けしてきたメンバーによるAlteryxを1から学べるシリーズになっています。Alteryx触ってみたい!という方の入門記事として、Alteryx使っているけど改めて基礎から学びたい!という方の再入門記事としてご活用いただければ幸いです。

9日目の今日は「地理空間情報を扱おう」ということで、空間分析系ツールの使い方をご紹介します。

そもそも地理空間情報ってなに?

いつも空間データを探すときにお世話になっている国土地理院のGSIサイトから説明を引用します。

地理空間情報とは、空間上の特定の地点又は区域の位置を示す情報(位置情報)とそれに関連付けられた様々な事象に関する情報、もしくは位置情報のみからなる情報となる。

Alteryxでは、緯度経度の情報から空間ポイントやポリライン・ポリゴンを作成し、商圏分析や最近傍分析に利用することができます。

緯度経度はどうすれば入手できる?

お手元に緯度経度情報があれば、そのデータをAlteryxで読み込むことで、すぐに空間データを作成することができます。もしデータをお持ちでない場合、住所から緯度経度情報を生成するジオコーディングを行う必要があります。

残念ながら2020年12月時点でAlteryxは日本の住所や地名に対するジオコーディングに対応していないため、サードパーティのWebサービスを利用する必要があります。
私は個人的にインクリメントP社さんのMapfan APIを利用させていただいています。

ほかにもMapBoxGoogle Geocoding APIでも同様の機能が提供されていますので、お好みのサービスを探していただくといいかもしれません。

ちょうど2020年12月3日に行われたAlteryx User Groupの事例紹介で武田薬品工業の清水さんがGoogle Geocording APIを利用した緯度経度情報の取得について紹介されてますので、興味のある方はAlteryx Communityのセッションスライドをご確認ください。

空間分析ツールの紹介

それでは実際のツールについてご説明します。以下はAlteryx Designerの空間タブの内容です。

全部で14個のツールが提供されていますが、それぞれの機能について簡単にご紹介します。

空間ポイントの作成

ポイント作成

  • ポイント作成ツールは緯度経度情報を渡すことで、空間ポイントを作成することができます。

  • 空間ポイントを作成するにあたって必要なデータは緯度経度情報です。

  • 緯度経度情報をポイント作成ツールに渡します。

  • 作成した空間ポイントを地図上で確認するには、閲覧ツールを使用します。

ポリゴンの操作

ポリビルド

  • ポリビルドツールを使うと、複数の空間ポイントを組み合わせたポリゴンやポリライン、凸包(すべての空間ポイントを含む最小の凸集合)を作成することができます。

  • 空間ポイントからポリゴンを作成した例

ポリゴン分割

  • ポリゴン分割はポリゴンから空間ポイントを取り出したり、複数のポリゴンを含む可能性のある複雑な領域を構成要素ごとに分割するために使います。

  • ポリゴンを空間ポイントに分割した例

空間プロセス

  • 空間プロセスツールを使うと、2つの空間オブジェクトを結合したり、カットすることができます。

  • 設定可能なオプション
    オプション名 結果
    オブジェクトを結合する
    #2から#1を切り取る
    #1から#2を切り取る
    交差オブジェクトを作成する
    逆交差オブジェクトを作成する

空間情報の取得

  • 空間オブジェクトの面積や長さなど、さまざまな情報を調べることができます。

  • 実行結果

距離

  • ポイントからポイント、ポイントからエッジ、または空間オブジェクト間の移動距離や方角を求めます。

  • 2地点間の距離と方位を求めた例

商圏分析

  • 指定した空間ポイントを中心とした半径、ドーナツ、またはドライブタイムのトレードエリア(商圏)を作成します。なおドライブタイムは別途ドライブタイムライセンスが必要で日本国内のデータには対応していません。

  • 商圏は半径を数値で指定します。「5, 10, 15」のように数値をコンマで区切ることで同心円の商圏を作成したり、「5-10, 15-20」のようにダッシュで区切ることでドーナツ商圏を作成できます。商圏同士が重複しないようボロノイ多角形で描画することもできます。

最寄り地点(最近傍)検索

  • 複数の空間オブジェクトの中からターゲットとなる空間オブジェクトに近い空間オブジェクトを検索します。ランキングや距離、方位に関する情報を付与されます。

  • 実行結果の例

空間マッチ

  • 2つの空間オブジェクト間の空間的関係(包含、交差、接触など)を調べます。

  • 実行結果の例

その他のツール

ヒートマップ

  • 空間ポイントをグリッド化されたエリア内のホットスポットとして位置関係からデータの濃淡を求めたヒートマップを作成します。

  • 入力データ

  • 入力データのマップデータ

  • ヒートマップツールの設定

  • ワークフローの実行結果

  • 実行結果のマップデータ

グリッド作成

  • 指定したポリゴンをグリッド分割したポリゴンを作成します。

- 実行結果の例

スムージング

  • オブジェクトを構成する線に沿ってノードを追加することで、ポリゴンまたはポリラインの鋭角を丸めます。

  • 実行結果の例(緑ラインがスムージング処理後のポリゴン)

一般化

  • ポリゴンまたはポリラインを構成するノードの数を減らして単純化します

  • 実行結果の例(緑ラインが一般化処理後のポリゴン)

バッファ

  • ポリゴンまたはポリラインに対して、指定した値で範囲を拡張または縮小します。

  • 実行結果の例(緑ラインがバッファリング後のポリゴン)

まとめ

Alteryxを使って地理空間情報を扱う方法と地理空間系ツールに関するご紹介でした。明日は「Excelユーザーのための話」をお届けする予定です。

以上、最後までお付き合いいただきありがとうございました。