#tc18 [レポート] データリテラシー:『批判的思考の能力』を養う – Tableau Conference 2018 at New Orleans

2018.10.27

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2018年10月22日〜25日の期間、米国ニューオーリンズで開催された「Tableau Conference 2018」。

キーノートやブレイクアウトセッションの幾つかはLiveストリーミングでの視聴が可能となっていました。

当エントリでは、その中からブレイクアウトセッション「Data literacy | Skills of critical thinkers(データリテラシー| "批判的思考の能力"を養う)」の内容をレポートしたいと思います。

目次

セッション概要

本セッションの概要は、下記の通りです。

<セッションタイトル> Data literacy | Skills of critical thinkers (データリテラシー| 重要な思想家のスキル)

<講師> Mac Bryla, Tableau

<レベル> Intermediate

<セッション概要> Data literacy is a critical skill in the 21st century. We believe this new skill will change the world in the same way that literacy transformed access to knowledge in the centuries after the printing press. However, just having access to new technology is not enough. The printing press automated the publishing process, but that still required people to learn to read and write.

Similarly, the broad availability of data and analytical tools needs a fundamental change in human behavior. Data literacy is not just about consuming and understanding data visualizations but more importantly about applying the genuinely human traits of curiosity and critical thinking to your data. (データリテラシーは21世紀の重要なスキルです。 我々は、この新しいスキルが、リテラシーが印刷出版後何世紀にもわたって知識へのアクセスを変えたのと同じように世界を変えると信じています。 しかし、新技術へのアクセスだけでは十分ではありません。 印刷機は出版プロセスを自動化しましたが、それでも人々は読み書きを学ぶ必要がありました。

同様に、データと分析ツールの幅広い利用可能性は、人間の行動に基本的な変化を必要とする。 データリテラシーは、データの視覚化を消費し理解するだけでなく、真に人間の好奇心や批判的思考の特徴をデータに適用することについても重要です。)

セッションレポート

以降、セッションの内容となります。

ガートナーによると2020年までには組織の80%が、データリテラシーが非常に重要なスキルであると認識し、教育プログラム等を通じてスキル向上を図っていくと予想される。

Literacy(リテラシー)とは、その書かれた内容から情報を得る能力。そしてここで述べる「data literacy(データリテラシー)」とは、"データから意味のある情報を引き出し、データで議論する能力"と言える

天気予報を例に挙げてみます。これは典型的な天気予報の情報です。ここでは降水確率に着目してみましょう。「60%」という数字は何を意味しているのでしょうか。60%が指し示すのは時間でしょうか。それとも地域でしょうか。

データの量は遥かに膨大・複雑です。"本当に"知りたい事を得るためには、リテラシーが必要となるのです。

ここに悲しい統計情報があります。C-Level(CEOやCFOなど、経営を司っているレベルの経営幹部)の52%は、データを理解していないがためにそのデータを捨ててしまっています。

ノーベル物理学賞を受賞しているドイツの物理学者、マックス・プランクは「新たな科学の発展は、(科学で)相手を説得し、光を見せる事によってではなく対抗勢力が死に絶え、科学に慣れ親しんだ新しい世代が成長する事によって為される言い換えれば、科学は一連の葬儀によって進歩する。」と言っています。

これは言い換えれば「科学は葬式のたびに進歩する」ということでもある。

何だか身も蓋も無い言い方ですが、これも真理なのでしょう。ただ、我々にはそれを待てるだけの時間があるでしょうか。

我々はどうしても情報を複雑にしがち、盛り込みがちです。これは人として多かれ少なかれ、持っている部分かと思います。「人間は怠惰である」ことを予め踏まえておき、人にデータを理解させるために今あるものを分かりやすく、新たに想像しなおしてみましょう。(余計な事を考えさせてしまってはいけません)

以下は米国での路上での死者数を州別に表したものです。小さなブロックは1時間を表します。こうしてみると情報が一目瞭然ですね。金曜日・土曜の夜が目立つ形となっていますが、これはきっと皆飲んでるんでしょう。そして一番下のワイオミング州はより一層大変な事になってます。思わず質問せずには居られません。

データリテラシーには「データを読んで正しく理解する能力」「書き出して答えを見つけていく能力」「好奇心と批判的思考」が求められます。

データリテラシーとは:データが有用かどうかを疑う能力である

こういった力を養うのにちょうどいい題材があります。

この「MakeoverMonday」というサイトでは、以下のサイクルを通じてデータに触れ、Viz(可視化成果物)を作り上げていく事で、データを見る目を養い、データリテラシーを向上させて行く事が出来ます。

  • 1.データを入手し、記事を読む
  • 2.データを分析し、可視化
  • 3.可視化した成果物を公開(Publish)
  • 4.成果物を共有
  • 5.可視化レビューに参加
  • 6.学びを得て改善し、共有するサイクルを繰り返す

MakeOverMondayに関する日本語参照記事はこちら。ちょっと取り組んでみようかな...

書籍も出ているようです。今月(2018年10月)出たばかりなんですね!

データリテラシーとは:データが正しいかどうかを疑う能力である

データリテラシーとは:集計の計算方法を理解する能力である

1984年に於ける米国の大学のStarting Income(初任給?で合ってるのかな)の平均値と中央値の比較。平均値で見るとノースカロライナ大がかなり飛び抜けた値となっています。一方で中央値で比較してみると違った見え方に。

これはどういうことか。実はこの年のノースカロライナ大にはこの人がいた(1984年のドラフトでシカゴ・ブルズに入団)ため、数字が釣り上がっていたのでした。ヒストグラムで情報を見てみるとその並外れ感も一発で分かりますw

以降、この展開で「データリテラシーとは何か」及び「そのワードを裏付ける解説」が続きます。以下ワードだけを抽出したものを列挙します。

データリテラシーとは:基本的な統計を理解する能力である

データリテラシーとは:読み手に誤認させることなく、事実を使って複雑なアイデアを伝達する能力である

データリテラシーとは:欠落しているデータを含むすべての事実を使用する能力である

データリテラシーを鍛える場所として、登壇者からはTableau社とAVADO社で推し進めている教育プログラムの情報が挙がっていました。

また、関連書籍も合わせて紹介されていました。前述の「MakeOverMonday」と合わせて、興味のある方は是非読んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

という訳でTableau Conference 2018のブレイクアウトセッション、「Data literacy | Skills of critical thinkers(データリテラシー| "批判的思考の能力"を養う)」の動画視聴レポートでした。より正確な、正しい気付きを得るためにはまず何よりこの「データリテラシー」が必要となるのだなぁという部分が身にしみる内容でした。このスキルがあるのと無いのでは大きな違いですね。重要なスキルではありますが一朝一夕に身に付くものでもありませんので、ここは少しずつ積み重ねて行くしかないかなと思います。このエントリを書き上げた勢いでMakeOverMondayの書籍(Kindle版)も勢いで購入してしまいました。読み進めて&Tableauで実践しながら力を養って行こうと思います。