AWSの新たなMedia Services!? AWSマネジメントコンソールに追加されたElemental Appliances & Softwareについて確認してみた!

AWSマネジメントコンソールにAWS Elemental Appliances and Softwareが追加されたことを発端に、動画処理、配信用のオンプレミス向けソリューション、AWS Elemental Live、AWS Elemental Server、AWS Elemental Delta、AWS Elemental Conductorそれぞれの概要をまとめてみました。
2019.08.31

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はじめに

清水です。AWS Media Servicesの細かなアップデートを追っていくコーナーです。本エントリで紹介するのはこちら、AWS Elemental Appliances and SoftwareがAWSマネジメントコンソールで利用可能になりました!(2019/08/07にアップデートされた内容になります。)

具体的にはAWSマネジメントコンソールの下記の部分ですね!

さてこのサービス!?は何でしょうか、Elementalと名が付くからには2017年11月に登場したMedia5兄弟2018年11月にはMedia6兄弟となりました)に兄弟が増えたのでしょうか!? そうではなく、AWS Elementalが提供しているオンプレミス向けの動画処理と配信のソリューションの見積や購入などができる機能、とのことです。本エントリではこのAWS Elemental Appliance and Softwareで扱っているオンプレミス向けの動画処理と配信のソリューションについての概要をまとめてみたいと思います。

AWS Elemental Appliances and Software

まずはAWSの製品ページの「AWS Elemental Applicance & Software」を確認してみましょう。

AWS Elemental Live、AWS Elemental Server、AWS Elemental Delta、AWS Elemental Conductorと4つのソリューションががあることがわかります。いずれかのページを見てみると、下記のようにAWSのログが入ったラック向けのサーバが紹介されています。AWSの製品ページでオンプレミス製品情報がまとめられているのは少し新鮮ですね。(もちろん、AWS SnowballやAWS Snowball Edge、AWS Snowmobile、そしてAWS Outpostsなどもありますが。)なお、この写真のようにアプライアンス製品としても存在しているようですが、独自のアプライアンスにインストールするライセンスソフトウェアとしても存在するそうです。

https://aws.amazon.com/elemental-live/ (拡大しています)

これらの各ソリューションを確認する前に、いちどAWS Elementalについておさえておきましょう。そもそもはElemental Technologies社というソフトウェアベースの動画処理、配信アライアンスを扱うソフトウェア開発会社でした。

そして2015年9月にAmazon Web ServicesがElemental Technologiesを買収します。

さらにその後、2017年4月にAWS Elementalと名称を変更します。Elementalの企業のイメージカラーは緑で、Elemental Technologies時代からAWS買収後もしばらくは緑のままでした、アライアンス製品や資料などにも緑が使われていたかと記憶しています。そしてこの名称変更のころからAWSと同じオレンジ系のイメージカラーを用いるようになり、また上記のようなAWS(AWS Elemental)のロゴが入ったラック製品がラインナップされていたかと思います。AWS Elemental Appliances and Softwareページで紹介されている4つのソリューションについては、(正確な時期は定かではないですが)この名称変更よりも以前から存在していたかと記憶しています。そこからおそらく機能アップデートなどはされているかとは思いますが、2017年11月に発表されたAWS Elemental Media5兄弟よりも以前から存在していたことになりますね。

つまり今回のアップデート、兄弟が増えたのではなく親が出てきたって感じでしょうか!? そんな私の勝手なイメージはさておき、以下がそれぞれのソリューションの概要になります。

AWS Elemental Live

オンプレミスのライブエンコーダ製品になります。ものすごく雑に説明すれば、OBS Stuidoなどのエンタープライズ版、でしょうか。ただしAWS Elemental LiveにはHD-SDIなどの入力インターフェイスも付随します。映像制作機材の横に並べ、制作した映像をHD-SDIなど専用規格で受け取り、リアルタイムでの映像処理、クラウドへのアップロードが可能です。AWS Elemental MediaLiveとは別物なので注意しましょう。

映像ソースを受け取った後、AWS Elemental MediaLiveなどに映像を伝送することもできます。さらにはAWS Elemental Live自体で配信形式となるHLSなどに変換、クラウド側ではAWS Elemental MediaStoreなどライブオリジンのみを用意する、という使い方も可能です。

https://aws.amazon.com/elemental-live/

AWS Elemental Server

ファイルベースの動画変換のためのオンプレミス製品になります。AWS Elemental MediaConvertのオンプレミス版と言えるでしょう。構成例図ではAmazon S3との連携も記載されていますが、特にオンプレミス内、ローカルストレージとの連携に利点があるかと考えます。

https://aws.amazon.com/elemental-server/

AWS Elemental Delta

ライブ、VODそれぞれのパッケージングを行うオンプレミス製品です。HLSやMPEG-DASHなどへの変換、DRM規格の適用などがジャストインタイムで実現でき、AWS Elemental MediaPackageのオンプレミス版と言えるかと思います。例えば映像ソースをAWS Elemental Liveで受けて配信フォーマットに変換、さらにAWS Elemental DeltaでパッケージングしAmazon CloudFrontなどCDNを介してユーザに配信する、といったアーキテクチャが例示されています。

https://aws.amazon.com/elemental-delta/

AWS Elemental Conductor

AWS Elemental Liveのオンプレミス動画ネットワーク管理システムとのことです。AWS Elemental Live、冗長性を考慮すれば複数台構成となり、また複数の動画エンコードや配信を行う、ということもあるかと思います。この際にこれらAWS Elemental Liveのクラスタ管理や設定、モニタリングなどが行えます。

https://aws.amazon.com/elemental-conductor/

まとめ

AWSマネジメントコンソールにAWS Elemental Appliances and Softwareが追加されたことを発端に、AWS Elementalの動画処理、配信用のオンプレミス向けソリューション、AWS Elemental Live、AWS Elemental Server、AWS Elemental Delta、AWS Elemental Conductorそれぞれの概要をまとめてみました。

私個人としては、なるべくなら可能な限りクラウドに寄せていきたいという考えを持っていますが、動画配信等の場合はどうしてもオンプレミスとの連携が必要になることがあります。ただ今回のアップデート自体は、見積もりや購入などがAWSマネジメントコンソール上で可能になったとのことで、ソリューションとしてのクラウド(AWS)との親和性がさらに高まったのではないでしょうか。引き続き、AWS Media Servicesの機能アップデートに注目してきたいと思います。