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「エンジニアの評価ってどうやるねん?」エンジニアのマネージメントで悩んでいる人が集まる会 #EM集会

「人間が人間を評価する」というある種残酷なテーマを真正面から扱ったあっついイベントのレポートです。
2019.05.27

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最近、にわかにマネージメントに興味がでてきたハマコー。

組織のことを考えることも増えてきたんですが、そんなときに、あのでっかいそーだいさんが主催するエンジニアの評価をテーマに据えたイベントがあると聞いて、参加してきました。

エンジニアのマネージメントで悩んでいる人が集まる会 #3 - connpass

評価ってある意味残酷ですよね。でもマネジメント陣はそれを真正面から取り組んで、メンバーに説明して納得してもらえるように死ぬ気で努力する必要がある。そんな苦悩するマネージャーの本音がいろいろ聞けたすっげぇ楽しい会でした。

(祭) ∧ ∧
 Y  ( ゚Д゚)
 Φ[_ソ__y_l〉     エンジニア評価マツリダワッショイ
    |_|_|
    し'´J

会のアジェンダ

開始時間 終了時間 タイトル 講師
18:30 19:00 受付 ヴァル研究所
19:00 19:10 オープニング そーだい
19:10 19:40 技術力評価会の話 @katzchang
19:40 20:00 評価について @kubot64
20:00 21:00 意見交換会 みんな
21:00 21:20 振り返り(YWT?) みんな
21:20 21:30 クロージング そーだい

「技術力評価会の話」

講演者はVOYAGE GROUPの武田あやな(@katzchang)さん

講演資料はこちら。

技術力評価会のこと – @katzchang – Medium

VOYAGE GROUPにおける技術力評価会についてのお話でした。技術力評価会自体の内容については、こちらのスライドが詳しいです。

評価方法について

全職種共通の評価の考え方は以下の通り。

  • 半年に1度実施
  • 以下の3つの掛け合わせ
    • 実績
    • 能力
    • CCFB(360度評価的なもの)

技術力評価会とは

半年に一回実施する、エンジニアによるチームを超えた能力(技術力)評価の仕組み。評価結果は昇格に大きく影響するもので、2011年から実施している。

90分セッションで被評価者がプレゼン、評価者と質疑応答。評価結果をレポートし、本人にフィードバックする。フィードバックは口頭でしている。昔は、レポート形式でそのまま結果を伝えてそれで、それだと、本人がそれをそのまま受け入れるしかなくなってしまうため、本人と対話をすることで納得性をあげるようにしている。

社外評価会

いわゆる社外の「強いエンジニア」を招聘し、評価者として参加してもらう。狙いとしては、人数が少ない技術領域についての新しい視点の導入や、自分たちでは気づけないバイアスを知りたいため。

評価会を通じて以下のことを知る。

  • 被評価者50人になるともう、わけがわからなくなる
  • 知らないコンテキストの人たちに説明することが重要→これがないと転職できない
  • チームメンバーに対して説明能力があることを証明する

よくある状況とその対応

「半年間、俺、なにもやってないわ」

そんなことない。なんかネタはあるはず。掘り下げてきく。

「結局プレゼン上手い人が評価されるんじゃね?」

最終的にはそれも含めて能力として評価と考えている。ただ、評価者側も簡単に評価会自体をハックされてはならないため、評価会で細かく質問などして、本当にプレゼン通りの内容なのかをきちんと確認するように心掛けている。

「疲れる」

確かに疲れる。時間も長い。けどやる前はだるいけど終わったら楽しかった。

気をつけたポイント

被評価者は、以下を説明できるようにしておく。

  • そもそもの評価会の目的をわすれないように
  • なぜその手法を採用したのか、理由をきちんと説明する
  • よく見せる必要はない。普通に回答し、議論する場でよい

評価者は、以下をきをつけておく。

  • 被評価者のストーリーを理解するよ
  • 対案があればちゃんとぶつけて議論する
    • 評価のフィードバックで納得感をえるために、かならず疑問点はぶつけてコンテキストを合わせる
  • 評価結果レポートは評価会の中で議論したことをまとめる
    • 評価結果のコンテキストを合わせて、被評価者と認識をあわせたほうがフィードバックに納得感がでる

効能と蛇足

  • 自分がやったことについて客観的に振り返ることができる
  • 次に何をしたらよいかの評価がもらえる
  • 給料とは直接結びつかない

質問コーナー

セッション終了後、QAがいろいろ盛り上がりました。

Q1「本当に90分も被評価者は一人でやるのか?若手がやるとプレッシャーがかかるし精神的に強い人じゃないときついのでは ?」

A1「60人ぐらいはやる。最初の評価会はもちろん緊張するが乗り切ってもらっている」

Q2「被評価者はどの程度準備に時間をかけるのか?」

A2「人によって、だいぶばらつきがある。短い人は3時間ぐらい。長い人は3日間ぐらいかけていると思う」

Q3「評価者ガチャはあるのか?たとえば、被評価者の話を引き出す力は、だいぶばらつきがありそう」

A3「正直ある。ただ、フィードバック時の説明時に反論する時間は設けている。また、半年に1回実施され評価者は代わるので、そのなかで平準化を図っている」

Q4「組織が小さいときにやると、弊害がありそうだがどうか?」

  A4「人数規模が少なかったらうまくいかない。評価者が偏ると主観的になってしまい、あまりうまくいかない気がする。そもそも面識がない人やグループがあるぐらいの規模が良いかも」  

Q5「評価する人のスキルはどのようにのばすのか?」

A5「評価者は2人なので、評価慣れしている人とそうでないひとを組ませたりする」  

Q6「評価者の評価スキルはどうやって向上させているのか?」

A6「評価者の評価コメントは全て可視化されている。例えば、評価された側が納得できない!!ということも含めて可視化されるので、それらを参考に評価スキルを向上させる素地となっている」

ハマコー感想

これだけ徹底して評価制度として、評価にコストをかけていることが素直に驚きでした。最終的に給与に結びつくのがその評価であり、そこを納得性をできるだけ高めてエンジニアのモチベーションにつなげようと真正面から取り組んでいる赤裸々な話が印象的です。

社外評価者のメンツもすごかった。一言「つぇぇ」と言いたくなるメンバーでした。

「いやいや、実際どうなんすか?それ回るんすか?」的な、現実の運用を目指したときにきになるポイントが多々有ったのか、QAも盛況でした。やり方は同じじゃなくてもその考え方はできるだけ吸収してみたいと思います。

「評価について」

講演者は、kubot64(@kubot64)さん

本題に入る前にオススメのスライド。これめっちゃ良いスライドです。

仕事と給与と評価の関係 - Speaker Deck

では中身に入っていきまっしょい。

  1. 評価についての一般的な話
  2. 評価で良かった事、辛かった事
  3. 評価で心掛けていること
  4. より良くする為に
  5. まとめ

1. 評価についての一般的な話

評価の目的ってなんですかね。皆さん、真正面からん考えたことありますか?

スキルアップすると給与が増える?成果を出すと給与が増える?それもありますが、一番の目的は成果を出してもらうことです。

  • スキル向上
  • モチベーション向上

良い評価制度とは、上の目的を達成できる仕組みとなっていることです。

  • 自分の成長が感じられる
  • モチベーションが向上する

2. 評価で良かった事、辛かった事

自分が評価していてよかったことは、その被評価者のスキルがアップしたり、モチベーションが向上したりすることです。メンバーの成長を感じると素直に嬉しいですね。

逆に評価で辛かったことは、会社の利益が少なかったため給与が増えないどころか減るパターンもあります。これは辛いので転職しました。

3. 評価で心掛けていること

前提として、人を正しく評価するのは困難ということです。これを真正面から意識したうえで実際にどうするかということです。そのために心がけているのは納得感のある評価。日頃からのコミュニケーションは非常に大事です。

また、ネガティブなフィードバックは、半期に1回などためてやるのではなく、1on1や鼎談などを利用して、こまめにするのが良いです。いきなりネガティブフィードバックを評価のときだけにされても、普通は納得がいかないはず。

4. より良くする為に

評価の方法として、大きく分けると2つある。レイティングとノーレイティング。

レイティング

目標をたて(MBO)、半期や通期でS〜Cなどの記号で評価結果がフィードバックされる。が、一般的な課題としていかがある。

  • 中間の評価になる人が多い
  • 設定した目標が評価時期には意味のないものになっている場合がある
  • モチベーション向上はつながらない場合がある
  • 過去の行動をまとめている

その他、コンピテンシー評価、360度評価、バリュー評価などと組み合わせて使われる場合もある。

ノーレイティング

いわゆるランク付けや年次評価はせずに、評価自体は行う。目標は随時見直すもので、今期や期間の概念がない。随時フィードバックを行い、より動機づけや人材開発に重点を置いている。

一般的な課題として、マネジメント側の負担が増え、またマネジメント側に能力が必要となりやすい。

おすすめ参考資料

1on1を上達するために - Speaker Deck

1on1にファシリテーターを加えた「鼎談(ていだん)」のススメ - 宮田昇始のブログ

Google re:Work - ガイド: OKRを設定する

ハマコー感想

「評価の目的」とか、自分まったく意識していなかったので、その部分をきちんと深掘りできたのが良かったです。また、評価方法の違い(レイティングとノーレイティング)という単語があること自体も知らなかったので参考になりました。

参考資料もいろいろ紹介されていてすごい役に立ったので、いまからそれぞれ確認しながらみてみたいと思います。

「意見交換会」という名の飲み会

2人のセッションが終わったあと、3テーブルに分かれてそれぞれのテーブルで、意見交換会という名の飲み会が始まりました。なんなんだこれとおもいながらも、初対面の方々とあれこれ喋ってたんですが、参加者メンバーがそれぞれ自分なりの仮説や悩みや取り組みを持っているため、めっちゃ盛り上がりました。

最後に、それぞれのテーブルで話し合ったことを「YWT」として付箋に書いて発表して終了。その後、主だったメンバーで2次会に行きつつ、なんかむっちゃ喋ったんですが、ほとんど記憶がなくまぁ無事に帰ってこれてよかったです。

イベントの主だったツイート集

ハッシュタグも盛り上がりました。#EM集会 - Twitter検索 / Twitter

参加者の素の意見がモロに出ていて、面白いです。

まとめ「マネジメントには唯一の正解が無いだけに、意見交換できる場としてものすごい貴重」

会の冒頭、主催のそーだい(@soudai1025)さんより、以下の主旨の発言がありました。

「ここは、勉強会というより意見交換の場です」

その雰囲気がよくでているイベントだと思います。参加者数が多すぎないのが逆に良いのか、良い意味でアットホーム、発表者へのQAも活発で、グループごとのディスカッションもすごい盛り上がっていました。

新米マネージャーの自分ですが、マネジメントって、想像するにおそらく凄い孤独だと思うんですよ。正解がわかりにくいというか、暗中模索を続けているというか。そういう正解がないものをネタにしているだけあって、参加者の「うちはこうやってるけど、あんたんところはどないやねん?」という問題意識が、この活発なイベントの場を支えているんだなぁと感じます。

このイベントに興味がある方は、#EM集会 のテーマ募集フォームも設定されているので、話したいテーマや、話して欲しい人など自由に応募すると、次回以降のテーマのネタになるようです。是非奮って、応募してみましょう。次回開催通知を見逃さないためには、イベントページへの登録をオススメします。

エンジニアのマネージメントで悩んでいる人が集まる会 - connpass

自分も都合がつく限り、次回も必ず参加してみようと思ってます。

それでは、今日はこのへんで。濱田(@hamako9999)でした。

他の参加者の方のイベントレポート

VOYAGEさんの「技術力評価会」がすぐにでも取り入れたいくらい面白かった! #EM集会 - エンジニア的なネタを毎週書くブログ