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実践超入門・自炊 〜在宅勤務の食事を楽にカイゼンする手羽野菜スープの設計と実装〜

2020.03.14

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事業開発部の塩谷 (@kwappa) です。

新型コロナウイルスの感染は引き続き拡大傾向で、クラスメソッドでも基本的に全社員が在宅勤務を継続しています。

在宅勤務が長くなると聞こえてくるのが、コミュニケーションの問題、運動不足の問題、さらには公立小中高の休校に伴う育児の問題などです。もちろんこれらも解決すべき課題なのですが、「食事の問題」についてもよく聞くようになってきました。

クラスメソッドのSlackでも、 #misc-lunch というチャンネルが作られて毎日のお昼ご飯写真を投稿したり、家庭料理について話す #misc-home-cookingが盛り上がったりしています(ちなみに社内ルールで雑談チャンネルには misc のプレフィクスをつけるようになっています)。

「食事の問題」といってもメニューから手間からいろいろありますが、今回は自炊の経験がない、もしくはあまり積極的にやらない人に向けたメソッドを紹介します。フットプリントが小さく導入が容易、費用対効果が高い、再利用性に優れる、スケーラビリティがある、などの特徴を備えた、「手羽野菜スープ」のご紹介です。

この記事から得られるもの

  • ごく簡単な自炊を始めるために必要な道具と材料についての知識
  • 簡単かつ安価で栄養のバランスもよい「手羽野菜スープ」を鍋1杯作る知識
  • 多めに作った「手羽野菜スープ」を翌日以降もアレンジすることで飽きずに食べることができるアイデア

導入編

道具

ゼロから揃える場合に、最低限必要なものをあげてみます。もちろん手持ちがあればそれを使いましょう。

  • コンロ
    • 今回は1口でも十分できるメニューです。カセットコンロでも構いませんし、鍋が対応していたらIHでも問題ありません。
  • 包丁
    • 料理道具において、刃物だけはケチってはいけません。といっても高級品を何本も揃える必要はなくて、2,000円ぐらいの「三徳包丁」があれば十分でしょう。ついでにシャープナー(刃を当てて引っ張ると簡易に研ぐことができる道具)も準備しておくと、次回の自炊のストレスを減らすことができます。
  • まな板
    • 直径18cm、蓋つきの片手鍋が使いやすいでしょう。テフロンなどで加工してあると、ちょっと炒めてから煮るなんてこともできて便利です。
  • ザル
    • 金属を編んだものではなく、細かい穴をあけた「パンチングボウル」が洗いやすくておすすめです。大中小3つぐらいあると使い勝手がよいでしょう。
  • ピーラー
    • 根菜類の皮むきにはピーラーがあると便利です。今回のメニューでもニンジンの皮むきに使っています。
  • その他
    • 菜箸(調理中の作業用)、木べら(調理中の作業用)、お玉(盛り付け用)、計量スプーンなどがあると作業がスムーズになります。
    • 食材をぴったり使い切るのはなかなか難易度が高いので、食品ラップ、ジッパー付きポリ袋などの保存グッズもあると安心です。

調味料

今回のメニューはとてもシンプルなので、以下のものがあれば作ることができます。

  • 必須
    • コンソメ(顆粒)
    • サラダ油
    • 黒胡椒
    • ローリエ
  • あれば
    • ショウガ、ニンニク(チューブでも可)
  • アレンジ用
    • カレールウ / カレー粉
    • トマト(水煮缶、ピューレ、ジュース、ケチャップ、生、など)

調達編

前述の調味料に加えて、以下の食材を購入しましょう。夕方になるとスーパーなどの店舗は混雑するので、少し早めの時間帯に行くのがおすすめです。日差しがあるうちに散歩がてら買い物するのは、在宅勤務の気分転換にもなります。

  • 鶏手羽元
    • ドラムスティックなどと呼ばれる骨付きの鶏肉です。安価で手に入り、骨からはダシが出るというメリットがあります。
  • 野菜
    • キャベツ
      • 日持ちし、応用範囲が広く、安くて低カロリー。自炊の強い味方です。多めに買っても、ざく切りにしてジッパー付きポリ袋に入れておけば使い回しがききます。
    • タマネギ
      • 甘みと旨味を出してくれる、汁物には欠かせないやつです。ラップして冷蔵すればそこそこ保存できます。
    • ニンジン
      • 彩りをよくし、こう見えて緑黄色野菜なので栄養バランスにも貢献します。1本単位で購入できる店舗を見つけておくと便利です。
    • キノコ
      • エリンギ、ブナシメジ、マイタケなど、なんでもいいです。今回はエリンギを使いました。
  • 調味料
      • こればっかりはないといかんとも…。いわゆる食卓塩より、精製度の低い「粗塩」のほうが使い勝手がよく、味もよくなるような気がします。
    • コンソメ(顆粒)
      • 1食分にも使いやすい小分けされたものが便利です。これだけでスープを作ったり、カレーに使ったりと応用範囲が広い便利なやつです。
    • ローリエ
      • ローレル、ベイリーブスとも呼ばれる葉です。コンソメを使うような時はだいたい1枚入れておくと香りがよくなります。ジッパー付き袋に入ったものは日持ちがするので、思い出した時に使えば無駄になりません。
    • 黒胡椒
      • 基本の調味料なので1本あると便利です。ミルつきのものを買っておくと、食卓で仕上げにガリガリ、なんていう使い方もできます。
    • サラダ油
      • 「炒める」工程には必要です。原材料によって味や香りが違い、ものによっては料理のキャラクターを変えてしまったりもするので、最初の1本はいわゆる「サラダ油」(キャノーラ油、コーン油などクセの少ないもの)がよいでしょう。慣れてきたらオリーブオイル、ごま油なども欲しくなると思います。

実装編

それでは材料も道具も揃ったので、順に実装していきましょう。

なお、メイン食材である「鶏手羽元」は、軟骨部分をある程度加熱してゼラチン化させるとよりおいしくなります。ですので、直前よりはある程度余裕を持って作った方がよりおいしく食べることができます。今回は夕方作って翌日の昼から食べ始めました。

野菜を切る

  • キャベツ
    • ざく切りにします。3cm角ぐらいの正方形を目指すのですが、どうせ煮えてしまうので精度はまったく気にせず、一口で食べられる大きさになっていればok。切ったらザルにあげてざっと洗っておきましょう。多く切ってもジッパー付きポリ袋などに入れて保存しておけば、次の自炊の機会にでも使えます。
  • タマネギ
    • 茶色い皮をむきくし切りにします。これもざっくりでok。ちょっと量が多くても、世代を重ねるごとに煮溶けて甘みに変わっていきます。
  • ニンジン
    • ピーラーで皮をむき、小さめの乱切りにしていきます。大きさによって火が通るまでの時間が変わるので、急ぐ時は小さめにするかいちょう切りにするとよいでしょう。
  • キノコ
    • 石突き(根元のぼえぼえして堅いところ)を切り落とし、エリンギなど大きいものは乱切りにしておきます。スーパーなどでパックに入って売られているものは、洗う必要はないそうです。
  • そのほか
    • だいたいなんでも入れればおいしくなります。ゴボウ・レンコンなどの根菜類、ジャガイモ・カボチャなどホクホク類、セロリが入っても味わいがよくなります。ものによっては煮溶けてしまいますが、それも甘み・旨味になってくれるので気にせずガンガン入れましょう。

肉を焼く

あればフライパン、なければ鍋に油を薄くひき、鶏手羽元の皮を下にして焼いていきます。ここでは火を通すのではなく焼き目をつけるのが目的なので、強めの中火であまりいじらず加熱し、きつね色になったら裏返します。

テフロン加工の鍋でない場合はこびりつきやすいので、多めに油を入れ、しっかり鍋を熱してから肉を入れるようにします。

肉を焼く目的はメイラード反応による旨味を引き出すためです。ざっくりやるならこの工程はパスしてもそれなりに成立したりします。

煮込む

鍋に湯を沸かします。鍋で肉を炒めたなら、そのまま水を入れて加熱してもかまいません。

煮立ったら中火にして、ローリエとコンソメを入れます。コンソメは指定の量(水400mlに1袋、とかパッケージに書いてある情報)の半分を目安にしましょう。あればニンニクとショウガ(千切り・みじん切り・すりおろしなど / チューブのものでもよい)を好みの量入れます。

写真のローリエは50gの大袋で、自炊頻度の高い我が家でもなかなかなくなりません。もっと小さいパッケージのものを購入するとよいでしょう。

野菜を入れます。基本は火の通りにくいものから順に入れる…のですが、ある程度の時間煮ることが可能なら順番はどうでもいいです。煮込みすぎて煮崩れるのも、このメニューに関しては味のうちなので、煮溶けた野菜の甘みを楽しみましょう。

野菜(とくにキャベツ)がくたっとして鍋に落ち着いたら火を弱火に落とし、ごく薄く塩味をつけておきます。

そのまま肉が柔らかくなるまで弱火で煮込みます。10分程度煮込めばとりあえずすべての具材に火が通るので、あとは好みと時間の都合で決めましょう。

夕方から夜にかけて作り翌日食べる場合は、鍋をバスタオルなどで包んで保温したまま夜明かしさせると、省エネかつ安全に煮込みを進めることができます。

量を検討する

水の量は、1食につき300mlぐらいを目安にし、慣れてきたら好みで増減しましょう。

肉の量は、1食につき何本食べたいかで検討します。ぼくは3本ぐらいはないと物足りないな〜、という感じで量を決めています。

野菜は、煮ると減るので適当です。残っても保存して別の料理に使えますし、このスープに再投入してもかまいません。

塩は、あとから引くことはできないので少量ずつ慎重にいれていきます。1食分につきひとつまみ(1g程度)だと、「食べられないことはないが物足りない」ぐらいの濃さになるのでアレンジしやすい、というのが経験則です。

できあがり

好きなだけ煮込んだらできあがりです。深めの皿に盛り付け、たぶん味が薄いので食卓で塩を振って調整します。このとき、盛り付け前の鍋に塩を足してはいけません。使い回しの場面で苦労することになります。

好みの味に整えたら、黒胡椒を(できればミルで挽いて)ふりかけたらできあがりです。

自分で食べるものですから、好きなアレンジをして食べましょう。パセリやバジルなどを振ると彩りと風味がよくなりますし、粉チーズをかけるとコク(とカロリー)がアップします。辛いのが好きならタバスコやハバネロソースなどもよいでしょう。

主食が必要な人は、並行して用意しておきましょう。ごはんにも合いますし、カリッと焼いたトーストを沈めながら食べてもおいしいものです。スープスパゲティにしてみる、という手もあります。ぼくは独身時代、中華麺にかけて簡易ラーメンにしたりしていました。

保存と使い回し

このメニューは使い回しがきくのが利点ですから、多めに作って翌日も食べましょう。そのためには安全に保存する必要があります。

冬場は寝る前に鍋ごとひと煮立ちさせておけば、朝いたんでいるということはまずありません。それ以外の季節は、鍋ごとでも大きめの器に移してでも、冷蔵庫で保存しましょう。

翌日以降は1食分を取り分け、鍋で温めて食べます。このときのアレンジひとつで、食事のバリエーションを増やすことができます。

使い回し例 : カレー

カレー粉でもカレールウでも、市販の「カレーになるやつ」を入れればすぐカレーとして成立します。家庭的なカレーの作り方は「肉と野菜を炒めカレールウで煮込む」ですから、当然といえば当然ですね。

この例ではカレー粉をたっぷり入れ(ちょっと辛すぎた)、作り置きの温泉卵とサラダチキンを足しています。

フレーク状のカレールウを用意しておくと、1皿分ずつ使うことができて便利です。もちろんごく普通のカレー粉でもかまいません。

カレールウには塩分が含まれているので、カレーが十分に溶けたら味を見て、不足なら塩を足します。

使い回し例 : トマト

トマト味にしても楽しめます。材料としては水煮缶・ピューレ・ジュース・ケチャップ・生など、どんな状態のものでもそれなりになんとかなるでしょう。

この例では冷蔵庫に残っていたキャベツとベーコンを入れ、トマト水煮缶を加え、目玉焼きをのせています。

水煮缶は1食で使い切るにはちょっと大きすぎるので、残る場合は適切に保存しましょう。小分けされたピューレを見つけることができると便利です。

ジュースや生のトマトは水分が多いため、少し煮詰めてから味を整えます。逆にケチャップは味が濃いので量には注意しましょう。

使い回し例 : そのほか

だいたいカレーとトマトで食べ切ってしまうのですが、ほかにも可能性はいろいろあります。

  • ナンプラー + パクチー
  • 白だし + 小ネギ
  • 牛乳 or 豆乳

アレンジするのは楽しいものですが、攻めすぎて魔性のひと皿を錬成しないようにご注意ください。

おわりに

単純に手間やコスパを考えたら、外食やできあいの食品のほうが優れている場合が大半です。けれども、自分で食べるものを自分で準備しそれを食べるというのは、栄養バランスがよくなるだけでなく、精神のバランスも整えてくれるように思います。

心身の健康にきっとプラスになる「自炊」。その一歩を踏み出すために、この記事が少しでも助けになれば幸いです。

なお、料理自慢から3食カップ麺でオッケーまで多彩なメンバーが在籍している我々事業開発部では、EC / CRMプラットフォーム「prismatix」を一緒に育てていく新しい仲間を求めています。Javaによるクラウドネイティブなマイクロサービスの開発に興味があるソフトウェアエンジニアの方、そのアプリケーションの運用とSREに興味のあるインフラエンジニアの方、そのサービスを顧客企業に導入していくプロジェクトマネジメントに興味がある方(SIerでのPM、SaaSやパッケージ製品のプリセールス、小売 / EC業界でのシステム開発などの経験が活かせます)、一度お話ししませんか?オンラインで参加可能な会社説明会でお待ちしています!