採用活動の問題点と対策

2022.08.16

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こんにちわ。従業員体験( EX ) の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
難しいと話題のITエンジニアの採用。
採用活動のどこにどのように手を入れていいものか迷うこともあるかと思います。
そこで、採用活動の問題点ごとの対策例についてまとめます。

認知, 興味の不足

 

症状

  • 面談、選考への応募が少ない

問題点

  • 企業が知られていない
  • 企業が知られているが、魅力が伝わっていない
  • 企業が知られているが、魅力が不足している
採用競争が激化する中、知られていない企業への応募をする人は少なくなりやすいです。
認知を得ていく活動が必要になります。
ただし、知られているだけでは、応募をする人は少なくなります。
認知されている上で、転職先として魅力的な企業として見られる必要があります。
  • 採用枠が知られていない
認知され、企業としての魅力が伝わっているが、相手が応募する職種の求人が存在することが知られていない場合も応募が得られません。インフラに強い会社がウェブエンジニアを採用しようとしているが、ウェブエンジニアの募集枠が存在することが知られていない、というような状態です。

対策

認知を得ること。興味を持ってもらうこと。
そのために、以下のような手段を組み合わせて対策します。
  • 会社・部門・職種・働き方などに関する発信をすること
  • 継続的に発信をすることで認知を得ること
  • 組織の魅力を伝えることで興味を得ること
  • 社員の外部発信を奨励すること
  • 社員が外部発信に時間を使う余力を作ること
  • 社員が自ら自社のことを発信したくなるような魅力的な環境にすること
  • 自社主催勉強会など、社外との接点を作る。増やすこと
  • イベントのスポンサーをすること
  • リファラル採用を促進し、社員経由で直接会社を知ってもらうこと

透明性の不足

症状

  • 入社した人が「事前に聞いていたのとは違う」「思っていたのと違う」などと感じて早期退職する

問題点

  • 組織のポジティブな点しか発信されていない
  • 組織の本来の状態よりもポジティブに発信しすぎている
  • 内定オファー時に必要な点を伝えていない / 嘘とも取れる内容を伝えている

対策

  • 無理に飾らず等身大に伝える。嘘を伝えない
  • ポジティブな面だけではなく、ありのままの実態の部分も伝えること
    • 特に組織や事業の課題は、入社したら取り組むことができる経験としてみれば魅力に映ることもあります
    • 伝え方の例としては「採用ウィッシュリスト」がある

スカウトの返信不足

症状

  • スカウトの返信率が低い

問題点

  • テンプレスカウトしかしていない
  • ある程度カスタムしているが, 事実上テンプレに等しいスカウトになっている
  • 相手が求める部分を満たしていない or 満たしているかどうか伝えていない
  • スカウト媒体として選定した媒体が、自社が求める候補者層とズレている

対策

  • 候補者さんそれぞれに応じたスカウト分の個別化をすること
  • 相手が求める部分が事前に把握できる場合は、その点を満たせるかどうかを伝えること
  • 相手が求める部分を満たす魅力がない場合は、魅力を磨くこと
  • 社内メンバーが他社からもらっているスカウトを見せあって、魅力的なスカウト文の参考を共有すること
  • 自社にマッチしたスカウト媒体を選定しなおす

カジュアル面談からの選考不参加

症状

  • カジュアル面談から選考参加が少ない
大前提としてカジュアル面談は転職潜在層相手の実施が多くなるため、選考参加は少ないのが基本です。

問題点

  • 面談にて相手が求める情報を提供できていなかった
  • 組織, 求人が相手が求める魅力を持っていなかった
  • カジュアル面談の体験が悪い。無礼があった
  • 採用競合と比べた場合に、魅力が不足していた
  • 求人票の情報が不足していた

対策

  • カジュアル面談は定義がないため、スタンスを確認すること
  •  カジュアル面談に参加した方がキャリア、転職において求める要素を確認すること
    • 確認した要素のうち、自社が満たしている点をお伝えすること
  • カジュアル面談で相手が知りたがっていた情報のうち、面談中には提供できなかった情報を面談後のメール連絡時に添えること
  • カジュアル面談の体験を継続改善するためにカジュアル面談参加アンケートを実施すること
  • カジュアル面接を担当した面談担当者が「一緒に働きたい人」と思ってもらえるようなやりとりをできていること
  • カジュアル面接に参加した候補者さんにとっての足切り条件になるような前提をクリアすること
    • 例 - 年収、残業時間、リモート勤務の可否等
  • 他社比でここなら秀でている、という独自の魅力を作り込むこと
  • 求人票の情報を整えること

選考途中での辞退

症状

  • 1次選考開始〜最終選考までの間に辞退する人が多い

問題点

  • 魅力が低いと判断された
  • 併願中の採用競合と比べて魅力が不足していた
  • 選考の体験が悪かった
    • 無礼がある
    • 選考関係者で情報が引き継がれていない
    • 選考期間が長い

対策

  • 本当は魅力があるが、魅力が低いと判断されている場合は、魅力を確実に伝えること
  • 魅力が不足している場合は、魅力を作ること
  • 選考関係者での情報連携を徹底すること
  • 選考に参加した面接官が「一緒に働きたい人」と思ってもらえるようなやりとりができていること
  • 選考の体験を継続改善するために選考参加アンケートを実施すること
  • カジュアル面接に参加した候補者さんいんとっての足切り条件になるような前提を一つ一つクリアすること
    • 例 - 年収、残業時間、リモート勤務の可否等
  • 他社比でここなら秀でている、という独自の魅力を作り込むこと
  • 選考期間を短縮すること。選考ステップを短くすること
  • 選考に参加する予定の担当者の役割、職種を事前にお伝えすること
    • お伝えすることで心の準備ができる
    • もし、出席者がアウトプットしている情報があれば、日程調整の連絡時に URL を添えて送っておくこと
      • 全く未知の相手と選考当日にやりとりするよりも安心し、興味を持って参加しやすくなる

内定オファーからの辞退

症状

  • 内定オファー時に辞退する人が多い

問題点

  • 絶対的な魅力不足 - オファー条件に不足があった
  • 相対的な魅力不足 - オファー条件の魅力が他社を下回っていた
  • 内定オファー時の熱量に不足があった
  • 入社判断をする上での不安解消をできていなかった

対策

  • 相手が求める条件を満たせていない場合は、満たせるように諸条件を整えていくこと
  • 他社比でここなら秀でている、という独自の魅力を作り込むこと
  • ぜひ入社してもらって、一緒に働きたいということを率直に伝えること
  • 内定オファーからの辞退者に率直な理由を確認すること
    • 経験上、ここまでの選考体験がよければ率直な理由を教えてもらえることが多かったです
  • 不安を解消する情報を提供すること
    • 例えば、入社後に立ち上がれるかどうかを不安に思う候補者さんに手厚いオンボーディングの存在を知らせるなど

まとめ

採用活動の問題点と対策についてまとめました。
1行に集約すると「条件を変えずにそのまま採用活動を続けてもだめ」ということです。
採用活動はそれ自体が忙しくなりやすく、改善をスキップしがちです。また、関係者が複数組織に分かれていて、根本的な問題を協力して話し合って解決する、という活動も省略されがちです。
関係者で問題がある点を特定し、継続して改善することで採用の成功率は高まります。
採用関係者で採用の一部だけではなく、全体を見回し、問題のボトルネックについて話し合い、改善方法を検討し、改善を実施し、結果を確認する。
これを継続しましょう。

おまけ - 候補者集めをする前に

採用活動を強化するとき、とにかく候補者さんを集めることに注力しがちです。
一方で、実際のところは、以下の順での整備が好ましいと考えています。
  1. 組織の質の改善
  2. 面談・選考の質の改善
  3. 候補者集めの質の改善

組織の質

組織の質が低いと、入社しても定着しにくくなってしまいます。
採用の前提として、健全な組織状態を強化しておきたいところです。
これは回り回って候補者集めの際のアトラクト要素にもなります。
一方で、組織が良くなるのを待っていてはいつまでも採用できない、という状況もあるかと思います。
目安として、少なくとも継続的に少しずつ良くなっている状態があればよいと思います。
改善されている様子を発信できていると外部からその状況も確認しやすくなります。
面談、面接を担当する立場としても、所属組織や所属部門が胸を張っておすすめできる場所になっていないと気持ちを入れてアトラクトしにくいものです。

面談・選考の質

面談・選考の質が低いまま応募者を増やしていると2つの問題が発生します。
1つ目はアトラクトの質が低いことによる、辞退の増加です。
アトラクトの質が低いと、いくら面談・選考参加してもらっても魅力を感じずに辞退されてしまいます。
採用競争が激しい昨今、候補者さんは有限です。手当り次第スカウトしていたら、あっという間に声がけ対象がいなくなってしまいます。
そのため面談・面接官の振る舞いや、「組織の質」の部分で磨いておいた組織の魅力を適切に伝えて行く必要があります。
2つ目は選考の質が低いことによる、見極めの失敗です。
選考の質が低いと、本来採用基準に満たない人を採用してしまう可能性があります。
その際に、既存メンバーの負荷が大きくなり、場合によっては採用前より状況が悪くなります。

候補者集めの質

組織の質、面談・選考の質を一定高めたらいよいよ候補者さん集めの質を強化するタイミングです。
ここまで来ると、
  • 組織に魅力がある
  • 魅力を適切に伝える
  • 実力を適切に見極める
という流れで、応募者は増え、選考辞退減り、内定承諾率は上がり、マッチした方が入社し、質・効率のよい採用活動になっていきます。結果的に魅力的な方が入社し、組織の魅力がさらに高まりやすくなります。