「一人から始めるユーザーエクスペリエンス」出版記念イベント参加レポート #ux_team_of_one

2015.08.27

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丹内です。 掲題のとおり、「一人から始めるユーザーエクスペリエンス」出版記念イベントに参加してきたのでレポートします。

このイベントについて

Yahoo株式会社で行われたこのイベントは、タイトルの通り一人から始めるユーザーエクスペリエンスという本の発売イベントです。 後々スライドが公開されたタイミングで、この記事に追加します。 以下、内容よりも私見を中心に書いていきます。

UX Team of Oneの時代

株式会社コンセント 長谷川 敦士様の発表です。 長谷川様が参加しているIA Summitは、IA(情報設計)に関する研究成果などのセッションが行われる世界規模のイベントだそうです。 株式会社コンセント様では、このIA Summitでポスターセッションを継続的に行っているそうです。

JobからRole

UXデザイナの立場についての日米比較が興味深かったです。 アメリカはJob Descriptionにより職責が明文化されていて、その中で「UXデザイナー」があるのですが、日本ではそれが曖昧になっているそうです。 この話だけ聞くと

  • UXデザイナーの職責が明文化されているアメリカのほうがUXデザイナとして活動しやすそう
  • 日本ではUXデザイナの責務が過多になって、成果を出すづらくなりそう

という印象を私は受けました。

ただ、ここらへんは考え方次第で、後で出てきますがUXデザイナの職務はユーザ体験の面で成果を出すことで、そのためにはJob Descriptionにこだわらないで、事業推進責任者に近い立場でUXデザイナが入ったほうが成果を出しやすい、という旨のお話をされていました。

また、「UX」という単語の指すものも、海外では暗黙的にデジタル媒体を指していますが、日本ではサービスから受ける文字通り「体験」全般を指すことが多いです。

したがって、日本では事業推進担当者にUXスキルが必要になるし、そのほうが成果が出しやすいのではないかと思いました。
あと、IAサミットに行ってみたいと思いました。

一人から始めるユーザーエクスペリエンス概要紹介

ヤフー株式会社 深澤 大気様の発表です。深澤さんは翻訳チームのリーダーです。
深澤さんがこの本を翻訳するきっかけから始まりました。
もともと「一人から始める」というのは、仲間が集まらないからそうせざるを得ない、という意味です。 深澤さん自身もそうだったらしく、悩んで本と出会ったのが翻訳のきっかけだそうです。
この本を私はまだ読んでいないのですが、実践志向が特徴とのことでした。 内容はもちろんですが書き方も実践志向で、例えばプラクティスの紹介には想定所要時間が併記されており、実践時のイメージを持ちやすくなっています。

質疑応答:UXデザインの必要性を感じていない人の説得方法は?

  • 難しい言葉(専門用語)を使わない。
  • 全体を見てボトルネックを事前に調べておいて、提案
  • UX改善効果(実績)の事例紹介

Yahoo! JAPANのUX Team of One

ヤフー株式会社 瀧 知惠美様の発表です。 ヤフーでのUX実践事例の紹介です。

組織での広め方が具体的に紹介されていました。 UXデザインを身につけるためのマインドが紹介されていたのが良かったです。
その中で「当たり前のものを疑う」というマインドが「好奇心」と名付けられていて、印象的でした。

質疑応答:一人ではできなくて仲間が居るとできることとは何か?

もともとプロジェクトは課題意識をもって始まるもので、複数人でやると問題に対する多様な価値観からたくさんの解を得られたり、調査の時に実践を多くできたりするので良い、とのことでした。

質疑応答:UXに数字的な成果を求められた場合は?

UXの目的も結果としてはプロジェクトの効率化ですが、でも最初は理解を得るところから始まります。
ゴールが明確化すればKPIがはっきりするため、「UX改善によってユーザの行動が変わったかどうか」を測定できるKPIが測定できることで、UX活動の効果を数字で説明することができます。

UXデザイナーとフロントエンドエンジニアの付き合い方

ヤフー株式会社 森本 恭平様の発表です。 UXエンジニアからみたUXデザイナという発表です。
UIデザイナが作った価値にたどり着くUIをUIデザイナは実現する
「プロジェクトにはUXが必要」というのがさくっと出るのがすごいと思いました。
発表にあった「エンジニア視点からUXデザイナに期待される事」を見ていると、UXは事業推進担当者に必要とされるスキルなのかなと思いました。

質疑応答:UIとUXは別な仕事と捉えるべきなのか

一緒にやるとUXを高い位置から見られないので、別な方が良い、とのことでした。

まとめ

一番感じたことは、Yahooの方々が話す「UX」が、別な観点から話をしていても意味が一貫しているところです。
私はUXは、成果物とか利益といった「名詞」にちかいものだと思っていたのですが、Yahooの方々は「UX活動」といったように「動詞」に近い話し方を3人とも行っていました。
また、UXデザイナーという職務が独立して存在するくらい重要な責務だという認識も共通していました。
これらのことから、Yahooでは本当にUXデザイナーが活動して成果を出している風土が、組織として定着しているのだなと感じました。

それと、UXデザイナとUIデザイナの違いも、なんとなくですがわかった気がします。

  • UXデザイナはユーザが得るべき利益や体験を考えて(もちろんサービスの利益も)、それらを実現できるように説明していく仕事
  • UIデザイナはUXデザイナが想定している体験を実現できる実装を行う仕事

と森本様が発表していましたが、これがわかりやすいと思いました。

また、UXデザイナの成果はサービスとしての成果に似ているので、「UXデザイナとしてのスキルは事業推進責任者に求められている」というのも、一致しているなと思いました。

最近私もwebフロントエンドに興味を持ち手を動かしていますが、その先のUXも考えて実装できるようになりたいです。

最後になりましたが、主催していただいたYahoo様、本当にありがとうございました!!
(あと参加者限定10名が割引で本を買えるジャンケンに負けてしまったので、本は経費か自腹で買います)