[レポート] ユーザーとともに創るサービス #linedevday_report

2019年11月20日(水)・21日(木)にLINEのデベロッパーカンファレンス「LINE DEVELOPER DAY 2019」が開催されました。本記事ではセッション「【セッションタイトル】」をレポートします。

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【ユーザーとともに創るサービス】

2019年11月20日(水)・21日(木)にグランドニッコー東京 台場でLINEのデベロッパーカンファレンス「LINE DEVELOPER DAY 2019」が開催されました。

本記事は、セッション「ユーザーとともに創るサービス」をレポートします。

スピーカー

古川 健介氏 アル株式会社 代表取締役

セッション概要

スマートフォンも成熟期に入り、作られるサービスの種類も多種多様となっています。そこで、求められているのが、ユーザーが自分のサービスのように、参加できるサービスです。パソコンの時代も、成熟期にはいると、そういったサービスが勃興していきました。一つの物語に参加しているような気持ちで、ユーザーがサービスに参加できる方法などをご紹介します。

スライド

公開され次第共有させていただきます。

レポート

自己紹介

  • 「けんすう」という名前で活動している
  • 何故「けんすう」か
    • 大学生くらいのときにインターネットに触ったときに、ハンドルネームを軽い気持ちでつけたらそのまま20年経過した
  • 何をやっているか
    • ずっと、インターネットでコミュニティサービスを作っていた
  • 16歳:「呪いのサイト」をリリース
    • アクセスカウンターで訪問者数が出るのが面白かった
    • 10人に教えないと呪われるというチェーンメールのような掲示板サービス
    • 掲示板をつけたら、呪いたい人が名前を書くサイトになった
    • 結果的に霊媒師から連絡がきて、良くない人が集まっているので削除したほうがいいという連絡がきた
    • 良くないサイトなので削除した
  • 19歳:学生のためのコミュニティ「ミルクカフェ」をリリース
    • リリースしたら、1日5000件情報が集まるようになった
    • 学生が1人で作ったサービスだけど、関わってくれている人が増えた
    • ボランティアと善意によって盛り上がった
    • 会ったことも無い人とサービスを作れるのはすごい面白かった
  • 21歳:2チャンネル型レンタル掲示板「したらば」の社長に就任
    • 2003年当時で3億PVとアクセス数は伸びたけど、収益性がなくて困った
    • そんなときある人から連絡が来て事業譲渡をした。
    • ある人とは、livedoor時代の堀江さん
  • その後はリクルートに入社
    • リクルートで地域検索のドコイク?というサービスにユーザー投稿を付けたり、ブログを使った社内ベンチャーのブログウォッチャーに関わる
    • コミュニケーションプラットフォームは、当時は反対派が多かった
    • 当時のリクルートは、情報を活用してもらうのがサイト
    • ホットペッパー等の情報サイトにレビューを載せて荒れると、営業さんが嫌がる
    • 2006年位からは、リクルートもレビュー機能などをつけるようになっていった。
  • 2009年:ハウツーサービスの「nanapi」をリリース
  • 2014年:KDDIにM&A
  • 2018年:アル株式会社

「アル」というマンガサービス

  • アルは、漫画ファンのために「次に読むべきマンガ」を発見できるマンガ探しの情報サービス
    • 新刊機能
    • ユーザーによるコマ投稿
    • メディア記事

目指していること

  • マンガファンが、より深くマンガを楽しめるメディア、コミュニティを提供しより多くのマンガが売れるようにすることを目指している
  • アルがあることで、「マンガがより売れるようになる」

どんなことやっているか

  • ユーザーが好きなコマを投稿できる機能があり、読者はコマからマンガを発見することができる
  • 権利関係をしっかりした上で、貼り付けられる2000作品くらい

なぜやっているか

  • 現在の、スマホユーザーは、コンテンツを探す時間が極端に短くなっている
    • TikTokだと0.1秒〜0.5秒でコンテンツを切り替え
    • 気に入ったら10秒の動画をみて、ファンになったらフォローする
  • マンガは、コンテンツ探すのに10〜20分ほどかかる
    • レビューサイトや友だちの紹介でマンガを知る
    • マンガを読み始め、ハマる
  • マンガはエンターテイメントの中では「高級商材であり」かつ「重いコンテンツ」と思われている
    • 例えば、キングダムとかは50巻以上ある。全部揃えて読むのにお金も労力もかかる
  • 軽くてやすいという場所をどう作るか
    • マンガ好きのユーザーのパワーをレバレッジさせて漫画の売上を上げることができるのではないか

提供したい価値

  • アルでは、ファンが好きなコマを投稿することで、スマホ似合ったライトコンテンツ化し、マンガの出会いを増やす
  • ファンには
    • 好きなマンガのコマを投稿したい、言いたい
    • そのコマ好きの人同士で盛り上がりたい
    • いいシーンを言いたい
  • 作品を知らない人には
    • ちょい読みして気になる → 読みたくなる

ユーザーと一緒に作っている部分

アル開発室

  • 月額1000円を払い、アル開発室というコミュニティに参加し開発に少しだけ参加できる
    • 900人位いる
    • 1000円払ってでも開発に関わりたいという熱量ある人が参加してくれている
  • 裏側をお見せしたり、アイデアや意見を頂戴したりイベントを開いている
  • 地方の主婦の方や、スーパーの店長さんなど、マンガ好きな方が関わってくれている
  • 入力フォームだと反応がなくて返ってこないのでサロン型にしている
  • 参加型ではないと、最終的に「お客さん」になる
  • 「お客さん」になると与えられるのを待つ
  • 最初は、無料でやってたけど、無料だと熱量が下がってくる。有料にして盛り上がってきた
  • 好きなマンガについて熱くプレゼンする会を開いてコンテンツにしたりしている
    • マンガ好きという気持ちをぶつけるだけ
    • 熱量ある人はアル開発室をやめない

クラウドファウンディング

  • リターンを目的にしてクラウドファウンディングはやらないほうがいい。予約販売と同じ
  • アルでやったのは、お金を払うとタグ作り参加できるというクラウドファウンディング
  • ちょっとお金を払って、タグ作りをできる権利を出したら思ってた以上に売れた
  • 参加してもらって、楽しんでもらう設計はしている
    • 参加した方から、さらに色々な良い意見もいただくことができた。
    • 参加することで、人生を豊かに

物語志向

  • ただサービスを使うだけじゃなくて、サービスができていく物語に参加することで、より深くファンになってもらう
    • 運営者とお客さんと分けてしまうとお客さんが離れてしまうこともある
    • ファンになってもらい、時間とお金を使ってもらう

物語がなぜ重要なのか?

  • インターネットによって、多くのモノの質があがりコモディティ化している
    • 食べログがでるまえくらいだと、美味しい店が少なかったが、今の時代大体どの店行っても美味しい
    • 美容室やネイルサロンなども同じ
    • 質はコモディティ化している
    • レビューが低い店は潰れて淘汰されている
  • 今の時代は、レストラン型よりもBBQ型のほうが楽しい
  • レストラン型
    • 店と客が明確に分かれて提供者とお金を払って食べるだけのお客さん
  • BBQ型
    • お金をはらって参加して肉を焼く
    • 自分たちで焼いたお肉は楽しかったり美味しかったりする
  • ユーザーと運営者が目指している方向性が「物語」
  • アル開発室も、危機的状況の情報の方が盛り上がる
  • 物語はアップダウンが無いと盛り上がらない

物語的に考えると。。。

  • サービスの完成度
    • 一般的にはサービスの完成度は高いほうがいい
    • 物語的には、最初は低いほうがいい
    • 最初からサービスの完成度が高いと気持ちがお客さんになっちゃう
    • 改善する余地があると、気持ちが盛り上がる
  • ガンガン失敗したほうが物語が転がる
    • アル開発室では、チャレンジングなほうが、うける
    • チャレンジしても大丈夫な雰囲気になれる
    • 通常の企業では、失敗を避けようとする傾向が大きい
    • 物語的に作っていくとガンガン失敗してもいい
    • 自主的に面白いことをやっていく
  • どんなマンガが受けるのか?という話を編集者の人に聞いた
    • 来週どうなるかわからない展開
    • 作者が読める展開を書くと、読者にも見破られてうけない。
    • 作者もどうしようと思っているやつは人気が出る
    • 本当のピンチ、ハラハラ感は人気がでる
  • お客さんでなく運営者
    • お客さんだと謝っちゃう。お客さんも謝られるから参加というスタンスではなくなる
    • 運営者になると、「ありがとうございます」が多くなる
    • 要望を受け入れられると自分の力でサービスが良くなったと思える
    • 新しい機能を作ったときにストレスなく進められる
  • インスタのグロースハックをやっている人に聞いた話
    • トップインスタグラマーと飲み会をする
    • トップインスタグラマーがインスタを運営する側になる
    • 結果的に共創の関係になる
  • Wikipediaは日本で40万記事あるけど、書いているのは1000人程度
  • 上位のユーザーと一緒に作っていくことでサービスを大きくすることはできる

まとめると

  • ユーザーのみなさんに物語に参加してもらって、一緒にサービスを作ることこそ、2020年以降のキーとなる
    • あらゆるサービスの質が上がっている
    • 物語がないと飽きられる
  • クオリティが低くてもユーザーと一緒にサービスを作るようにする

まとめ

物語という言葉が非常に刺さりました。私もアイドルなど好きでして、もちろん楽曲やLIVEなども好きなのですが、一番ハマるポイントは、成長していく物語を一緒に経験しているからかなと。質がコモディティ化してきた今の時代、物語志向でサービスを作っていくことが重要なキーになりそうですね。