NocoBase 2.x で登場した主要機能5つと、速いリリースへの追従

NocoBase 2.x で登場した主要機能5つと、速いリリースへの追従

NocoBase を業務で運用しています。2.0 から半年で 2.2 まで進んだ 2.x に入った主要機能5つ(AI 従業員・マルチアプリ・UI テンプレート・可視化・承認フロー)と、リリースが速いプロダクトの情報収集の仕方を整理しました。
2026.09.01

はじめに

杉浦です。NocoBase シリーズの第2回です。

前回の記事では、データモデルと UI の分離、プラグインアーキテクチャ、セルフホストといった NocoBase の基本を整理しました。「NocoBase って何?」という方は、先に第1回を読んでいただくのがおすすめです。

2.0 が出たのは 2026年2月で、そこから半年で 2.2 まで進みました。もう出たばかりの新版という段階ではありません。今回は 2.x で登場した主要機能を整理します。バージョンの履歴、公式ドキュメントの読み方、公式が前面に出している主要トピック5つです。私は 2.x 系から NocoBase に入って業務で運用しています。これから始める人が、NocoBase 2.x で何ができるのかを把握できるような内容にしました。

NocoBase 2.x のバージョン状況

これから始める人がまず押さえておきたいのは、今どのバージョンが安定版なのかです。

  • 2.0 beta: 2026年1月発表
  • 2.0 正式リリース: 2026年2月(公式アナウンス
  • 2.1 正式リリース: 2026年6月(公式アナウンス
  • 2.2 正式リリース: 2026年8月(公式アナウンス
  • 現在の安定版: 2.2 系(執筆時点の最新は v2.2.5)
  • 開発中: 2.3 系の beta と 3.0 系の alphaGitHub Releases に並んでいます(3.0 については公式ブログでの告知はまだありません)

半年で 2.0 から 2.2 まで進んでいる計算になります。直近の 2.2 では、独立した /v/ フロントエンドエントリーと新しいモバイル版が入り、ファイルアクセスの仕組みも刷新されました(公式アナウンス)。この記事で取り上げる主要トピック5つは 2.0 から 2.1 にかけて入ったものが中心なので、2.2 の詳細は公式のリリースノートを見てください。

GitHub の Releases を見ると分かりますが、リリースのペースがかなり速いです。パッチリリースは数日おき、マイナーバージョンも数ヶ月単位で上がっていきます。最新の状態はかなりのスピードで変化していくので、バージョン固定やアップグレードの方針は最初に決めておくのがおすすめです(後述)。alpha や beta の番号まで追う必要はなく、これから始めるなら安定版を選んでおけば大丈夫です。

公式ドキュメントの読み方

公式ドキュメントは多言語で提供されており、URL の構造を知っておくと迷いません。

URL 内容
docs.nocobase.com 英語版(基準となるドキュメント)
docs.nocobase.com/ja/ 日本語版(同一パスの先頭に /ja を付ける)

日本語版が 2.x 系の内容に対応しているのは、これから始める日本語話者にはうれしいところです。ただし日本語版は AI 翻訳と見られ、実際の挙動と合っていなかったり、日本語として不自然だったりする記述も見かけます。おかしいと感じたら英語版と突き合わせるのが確実です。ざっと掴むのは日本語版、正確さが求められる場面では英語版、という使い分けをおすすめします。

そのほか、公式の情報チャネルは以下があります。

なお、Web 検索をすると 1.x 時代の記事や情報が数多くヒットします。1.x と 2.x では UI もドキュメント構成も変わっているため、参照する情報がどちらの系統かをまず確認するのがよいでしょう。

2.x で押さえる主要トピック

ここからは、公式が 2.x の主要機能として前面に出しているトピックを5つ紹介します。順番は、これから始める人への関心が高そうな順です。この記事に載せている画面はすべて、OSS 版の v2.2.5 を Docker で動かして撮ったものです。

なお、この5つのうちマルチアプリと承認ワークフローは有償エディションの機能で、残る3つは無料の Community Edition でも使えます。実際に OSS 版を起動してプラグイン管理画面を見ると、AI 従業員(plugin-ai)や MCP サーバー(plugin-mcp-server)は最初から有効になっています。

無料の Community Edition でも、AI 従業員と MCP サーバーは最初から有効になっている(プラグイン管理画面)

AI まわり(AI Employees と AI エコシステム)

2.0 の目玉として公式が最初に挙げているのが AI 機能です(NocoBase 2.0: Meet Your AI Employees)。

1.x 系は触っていないので当時との比較は公式情報に頼りますが、AI をコアに据えた設計は 2.0 からのものです。

AI 従業員(AI Employees) は、業務システムに組み込まれたエージェント機能です。公式は「単なる『チャットができる』ロボットではなく、業務画面内でコンテキストを理解し、操作を直接実行できる『デジタル同僚』」と説明しています。現在のページやブロック、選択中のデータを認識したうえで、スキルを呼び出して照会・分析・入力・設定といった作業を実行できます。

「Atlas:チームリーダー」「Viz:インサイトアナリスト」「Lexi:翻訳アシスタント」のように、職務ごとの AI 従業員があらかじめ用意されており、自分で新規に定義することもできます。設定は、ロール(キャラクター設定)、その AI が使えるスキル(ツール)、スキル実行前に人の確認を挟むかどうかの権限(Ask / Allow)の組み合わせです。

OSS 版を起動して確認したところ、一覧は「Business」「Developer」の2つに分かれていて、Business に6名、Developer に2名が最初から登録されていました。

AI 従業員の一覧。職務ごとの AI 従業員が最初から登録されている(Business タブ)

エディションは Community Edition 以上、つまり無料の OSS 版でも使えます(公式ドキュメントのラベル表記より・2026年7月時点)。ただし動かすには LLM サービスの設定(プロバイダーとモデルの登録)が別途必要で、モデルの利用料は自分持ちになります。

もうひとつ注目したいのが、本体の外側で進んでいる AI エコシステムです。

  • 公式 Skills リポジトリ — AI エージェント(Claude Code 等の CLI エージェント)向けに、NocoBase のデータモデリングや権限設定などのドメイン知識をパッケージ化したもの
  • AI エージェント CLI との公式連携ドキュメント — Claude Code から NocoBase を操作する構成が公式に案内されています
  • MCP サーバー対応 — AI エージェントから NocoBase のデータを操作できる公式プラグインが、2.1 以降は標準で同梱されています。認証は API キーで、できることはキーに紐づくロールの権限どおりなので、読み取り専用のキーを渡すといった制御ができます

「AI エージェントと一緒に業務アプリを作る」方向へ公式が舵を切っているのは、2026年に NocoBase を始める人にとって大きな判断材料になると思います。このあたりは変化が速く、まだ発展途上の部分もあるので、シリーズの後の回で実際に試してから詳しく書く予定です。

Multi-App / Multi-Space(複数アプリ管理)

1つの NocoBase インスタンスの中で、複数の独立したアプリを動かせる機能群です(ドキュメント)。

  • Multi-App: インスタンス内に独立したサブアプリを作る。「Shared Memory Multi-App」モードでは1プロセス群の中で複数アプリを共存させられます
  • Multi-Environment Hybrid Deployment: 複数の NocoBase ノードを連携させ、コントロールプレーン+ランタイム複数台の構成を組む
  • Multi-Space: 1つのアプリ内に論理的に独立したデータ空間を作る(マルチテナント的な使い方)

なお、Multi-App・Multi-Space とも有償エディション(Enterprise Edition 以上)の機能です(公式ドキュメントのラベル表記より・2026年7月時点)。第1回で触れた「必要な機能がどのエディションにあるかを先に確認する」が、ここでも判断材料になります。

1.x にはなかった設計で、「部署ごとに独立したアプリを並行運用する」「業務領域を分割して管理する」といった、組織で使うときのスケールの選択肢が広がりました。業務システムの土台として検討する場合には、アプリをどの単位で分けるかという設計論点が最初から存在する、と知っておくとよいと思います。

UI Templates / Popup Templates(UIテンプレート)

画面部品の再利用の仕組みが強化されました(ドキュメント)。

1.x 時代からブロック単位のテンプレートはありましたが、2.x ではポップアップ全体(タブ・ブロック・アクションを含む単位)をテンプレート化して、別のページから再利用できるようになっています。既存のポップアップをテンプレートに変換する「Convert current popup to template」と、複製してテンプレート化する「Duplicate current popup as template」の2つの操作が用意されています。

業務システムでは「申請フォーム」「詳細確認画面」のような似た画面をあちこちに作りがちなので、ポップアップ単位で共通化しておくと、修正が1箇所で済みます。こちらも Community Edition 以上で使えます。

ポップアップをテンプレート化する画面。保存方法として変換と複製の2つが選べる

なお、テンプレート化はブロック単位でも同じ2つの保存方法が用意されていて、操作名が blockpopup かで区別されています。2.x で加わったのはポップアップ側です。

ECharts ベースのデータ可視化

データ可視化プラグインが Apache ECharts ベースになりました(ドキュメント)。

  • 設定は「ビジュアル設定モード」「SQLモード」「JSONモード」の3モード
  • チャートイベント(クリック時のハイライト・画面遷移・ドリルダウンなど)に対応
  • ページ全体のフィルタブロックと連動して、複数チャートをまとめて絞り込める

GUI だけでも組めますが、SQL モードや JSON モード(ECharts の設定を直接書く)があるので、エンジニアが細かく作り込む余地も残されています。業務ダッシュボードを NocoBase 内で完結させやすくなった、という位置づけです。これも Community Edition 以上で使えます。

試しに、蔵書管理のサンプルデータで円グラフと棒グラフを並べてみました。どちらも SQL モードで、集計は GROUP BY を書いただけです。

SQL モードで作った円グラフ(分類別の蔵書数)と棒グラフ(月別の購入冊数)

Approval Workflows v2(承認フローの新レイアウト)

承認フロー機能の UI がブロックベースに刷新されました(2.0リリース告知内で言及)。承認依頼の画面や、関係者に情報共有する CC ノードのレイアウトも新しくなっています。

1.x で作った承認フローの設定はそのまま動きますが、2.0 の新レイアウトへ切り替えると元に戻せない(不可逆)とされている点は、1.x からの移行組は注意が必要です。逆に、2.x から入る人は最初から新レイアウトだけ覚えればよいので、この点は気楽です。

ひとつ重要な注意点として、承認(Approval)機能は有償エディション(Professional 以上)の機能です(公式の料金ページ・2026年7月時点)。無料の Community Edition だけでは使えないので、承認フローを目当てに NocoBase を検討する場合はエディションの範囲を先に確認してください。

このほか細かい改善として、サブテーブルの編集モードに Inline Edit / Popup Edit の2モードが追加されるなど、データ編集まわりの UX も継続的に強化されています。

1.x の情報・速いリリースとの付き合い方

2.x の情報を追いかける上で、実際にやってみて役に立った点をまとめます。

1.x の情報と 2.x の情報を見分ける。 検索結果・ブログ・フォーラムの回答には 1.x 時代のものが多く混ざっています。スクリーンショットの UI や、参照しているドキュメントのパスで見分けて、まず「これはどちらの系統の話か」を確認する癖をつけると迷いません。

リリースサイクルの速さに備える。 パッチが数日おきに出るペースなので、「常に最新へ上げる」運用は現実的ではありません。バージョンを固定し、アップグレードのタイミングと検証手順をあらかじめ決めておくことをおすすめします。

ただし、固定したまま放置はできません。パッチにはセキュリティ修正が含まれることがあります。NocoBase でも、深刻度が最高(Critical・CVSS 10.0)と評価された脆弱性の修正がリリースされています。GitHub の Security Advisories で自分が使っているバージョンが影響を受けるかを確認できるので、セキュリティ修正だけは通常のアップグレード計画とは別枠で追う、と決めておくとよいと思います。

新機能の情報は英語版ドキュメントが先行しがち。 第1回でも触れましたが、バージョン差分やリリース直後の機能を確認する場面では特に、英語版ドキュメントと GitHub Releases を一次情報として当たるのが確実です。利用しているバージョンで不具合が出ていて修正待ち、という場面では特にリリース情報に注意を払いましょう。

なお、セルフホストの覚悟・OSS と商用の線引き・日本語情報事情といった基本編の注意点は第1回にまとめています。また、SSO 連携の実際やモニタリング・バックアップ運用の定石といった運用論点は、シリーズの中で順に検証して書いていきます。

次回以降の予定

次の2回は、この順で書く予定です(あくまで予定なので、順番も内容も変わるかもしれません)。

  • 第3回(仮): NocoBase 2.x を Docker Compose でローカル起動してみる
  • 第4回(仮): 最初の業務アプリを作ってみる — コレクションを定義して、画面に配置するところまで

第1回で、NocoBase は「テーブルを作る → 画面に配置する → 操作と権限を付ける → 自動化を足す」という積み上げ方で業務システムを組み立てるツールだと書きました。その順に手を動かしていくつもりです。

まとめ

  • NocoBase 2.x は「AI」「スケール(Multi-App)」「UX(テンプレート・可視化・承認UI)」の3方向で進化が続いています
  • 2.0(2026年2月)から 2.2系へとリリースが速いペースで進んでおり、情報のバージョン系統の見極めと、バージョン固定の運用方針をあらかじめ決めておきたいところです
  • 公式ドキュメント(英語版基準・日本語版併用)と GitHub Releases を一次情報として押さえておけば、変化に追いつけます

日本語の 2.x 系情報はまだ空白地帯です。自分の運用・学習のプロセスを、このシリーズで共有していきます。フィードバックやリクエストがあれば、ぜひコメントで教えてください。

参考リンク

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