組織開発でのスクラム活用から約5ヶ月の経過報告
こんにちわ。従業員体験( EX ) の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
2021/12/01 にこちらの記事でスクラムの活用開始報告をしました。
2022/11/11 にスプリント0を開始してから約5ヶ月。現在スプリント18を迎えています。
そこで、実際に組織開発でのスクラム活用がどのように作用したかをまとめます。
うまく作用した部分
不確実性への扱い
当初の導入目的でもある「不確実性の高さ」に対する選択肢としてのスクラムはうまく作用しました。イテレーション中の検査と適応による取り組みの質の改善を継続できました。
スプリントレビューでは、ステークホルダーやその他の関係者からのフィードバックをいただき、取り組みの質を向上させることができました。みなさん、他の業務もある中で5ヶ月の間で毎週一定数の方が参加してくださって非常にありがたかったです。通常のプロダクト開発におけるスクラムと違い、組織開発の場合は今動いている施策によって参加していただきたいゲストが変わります。そういった前提の中で参加をしていただけているということで、繰り返しにはなりますがありがたかったです。
スプリントレトロスペクティブを通してチームで発見した改善点によってスクラムのプロセスそのものも継続改善しました。
コミュニケーション
組織開発において明確な正解が明らかではないような対象を扱う場合、単独ですすめるよりも複数名で議論をしつつ進めたほうがよりよい施策になりやすいと感じています。その意味でコミュニケーションの場が常に確保されているスクラムイベントの恩恵を感じました。また、純粋に私達チームの従業員体験としても複数で関わり合いながら仕事を進めたほうが楽しく仕事をできる面があります。デイリースクラムでの雑談タイムとしてのチェックインなどを含め継続的に関係構築をしていく上でスクラムイベントが有用でした。
必要に応じてスクラムイベント以外でもペアワークを活用しています。
リズム
「不確実性への扱い」で触れた通り、スクラムイベントのリズムにより検査と適応を繰り返すことができました。また、それだけではなく、仕事にリズムができる事自体が私達チームの従業員体験としても働きやすさを生みました。
集中
スクラムではプロダクトやスプリントのゴールに向けて集中をすることができます。従業員体験に関わる組織開発は領域が広く、目移りするとあちこち手を出しているが終わらない、ということになりがちです。ゴールを定めてすすめることで「今一番重要なこと」にフォーカスして取り組むことができました。
うまく作用しなかった部分
見積もり
スクラムにおいて経験から見積もり精度が上がってくるのが一般的かと思います。
一方で、組織開発では日々の取り組み対象として新しい内容が続きがちです。そのため経験から学びにくく、見積もり精度が継続的に上がっているという時間はあまり得られませんでした。
やや分散
うまく作用した部分で「集中できた」という利点を書いてはいましたが、それはあくまで「組織開発の文脈において」です。プロダクト開発とは異なり複数の施策に対して同時に取り組む必要性もでてくるため、完全に1つのゴールに集中できるとは限りませんでした。ただ、これ自体は業務特性であり、自分たちの文脈においては避けられないものという認識をしました。一方で、取り組み対象が増えすぎないようにはしていたため、あくまでやむを得ないケース以外はできるだけ少数の大切なことに集中していました。
その他
熟練のスクラムマスターからのフィードバック
途中、社内の熟練スクラムマスターにスクラムイベントに参加してもらい、スクラムの進め方に関するフィードバックをもらえる期間がありました。これが非常にありがたく、本来スプリントレトロスペクティブで週1かつチームメンバーの視点のみで行うはずだった改善を熟練の第三者目線で得られる、というメリットを生みました。また、組織開発におけるスクラムがワークしているかどうかも客観的にフィードバックしてもらえて、自分たちがうまくスクラムを活用できているという自信をもらえました。ありがとうございました!
現在は同席期間を終えています。
EX Backlog の肥大化
従業員体験は取り扱い対象が広く、EX Backlog(一般的なスクラムでいう Product Backlog) に追加する内容がすぐに増えやすい面がありました。一方で、リファインメントでこの部分を整理しきれず、肥大化している現状があります。
Notion の活用
EX Goals, EX Backlog, Sprint Goals, Sprint Plans, Sprint Backlog を Notion のデータベースとして扱っています。
※EX = Employee eXperience = 一般的なスクラムでいう Product
これにより、各種データをリンクし、便利に閲覧できています。
その他に Sprint で終えた Backlog のステータスとストーリーポイントを元に Sprint Plans のデータベースでベロシティが自動計算されるようにしました。
スプリントレビュー参加者向け案内資料, 今週のあらすじ
組織開発の特性上、レビュー参加者には多様な方が訪れます。新たに参加する方がでてくる機会も多いです。そして、1人の参加者の方から、参加にあたって
- A. この場の目的や参加者に求められる期待がまとまっていたほうがいい
- B. 各レビューで前回までの経緯を知らない状態の人も参加するのであらすじ的な情報があるほうがいい
というフィードバックいただき、両方を取り込むことでレビュープロセスを改善することができました。
A に関しては初参加者向けにレビューを説明する資料を作成しました。
B に関しては各回のインクリメントの説明前に今週のインクリメントが関わるプロジェクトの概要と現状のステータスをかんたんに説明することにしました。アニメの出だしのあらすじ的なノリです。
まとめ
約5ヶ月継続した組織開発でのスクラムについてまとめました。価値を感じているからこそ継続しているわけで、引き続き活用し続けようと思います。