最後に残りがちな適応課題
こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
仕事をしていると様々な問題、課題にぶつかります。
技術的な問題は最終的には何かしらの方法で解決できることが多いですが、人に関わる課題は残りがちです。
この人に関わる課題である適応課題についてまとめます。
適応課題については書籍「他者と働く」で紹介されています。
適応課題とは?
適応課題(Adaptive Challenges)とは、組織全体や個人の行動・態度・文化などの変化を必要とするような複雑で難易度の高い課題です。
対比として、技術的問題(Technical Problems)があり、これは専門的な知識・スキルで解決が可能な具体的な問題です。
これらの特性から、組織の中で解決されずに残るのは適応課題になりがちです。
適応課題の4分類
適応課題には以下の4種類があります。
- ギャップ型
- 対立型
- 抑圧型
- 回避型
ギャップ型
ギャップ型は、個人の価値観と実際の行動にギャップが発生しているケースです。
例えば、継続的に業務を改善することで仕事の質や効率を高めていくことが重要という価値観を持っているにも関わらず、現状すべての業務時間を直接成果を生み出す業務に使い切ってしまっていて、ここを削ると目の前の成果量が減るため、改善のための時間を確保することができないような状態です。
仮にこのような状態に陥ってしまった場合、価値観に沿って取り組むことができた場合と、現状のままだった場合について、掘り下げて、より具体的に整理して考えることで改めて現状の課題感をより大きく認識し、方針変更に踏み出せると理想です。
対立型
対立型は、お互いのコミットメントが対立しているケースです。
例えば、ザ・モデル形式のビジネス組織があったとします。例えば、インサイドセールスがSAL(Sales Aaccepted Lead)をKPIとして各自がコミットしていたとします。インサイドセールスから見込み客を引き継ぐフィールドセールスは最終的な売上額や受注件数をKPIとしてコミットしていたとします。この場合、インサイドセールスはSALのみを追求した結果、フィールドセールスにとって最終的な売上や受注につなげにくい見込み客を多く引き渡してしまう可能性があります。
仮にこのような状態に陥ってしまった場合、双方でビジネスの全体像や最終的に重要になる共通の目標を持つことなどにより、部分最適による対立を回避し、双方にとって共通の合理性を持ち、全体最適を導くことが理想的です。
抑圧型
抑圧型は、言いにくいことを言えないケースです。
いわゆる心理的安全性がない状態と言えるでしょう。
例えば、チームの中に、攻撃的な人がいるために異論を伝えにくくなってしまい、多様な意見がでない状態になり、取り組みの質が低下してしまったり、部内の問題が明らかになりにくくなる可能性があります。
対策は心理的安全性に対するものになるので、以下の内容が参考になります。
回避型
回避型は、恐れを伴うような問題を回避するために、本質的ではない解決策で済ませるようなケースです。
例えば、攻撃性が強く、チームに様々な問題を引き起こしているメンバーがいたとします。本来その振る舞いそのものをただしに行く必要がありますが、その部分はそのままにして攻撃される側が受け流すような対策をしたとします。この場合、本質的な問題は解決しません。
対策としては、本質的な問題は何か、またそれによる影響は何か、について掘り下げ、取り組むの必要性を関係者・当事者がともに自覚し、その上で問題を解決するための打ち手を試行錯誤することです。
補足
適応課題は技術的問題とは異なり、曖昧で、常に解決できるとは限りません。
また、解決できる場合も、解決まで長い期間を要することもあります。
それを踏まえると、
- 解決まで時間がかかっている場合、その間の暫定措置をどうするか?
- 解決できない場合にどんな対策ができるか?
などをあわせて検討する必要があるでしょう。
まとめ
組織内で最後に残りがちな適応課題についてまとめました。
適応課題の4つの分類を挙げましたが、分類を問わない対応としては
- 適応課題を生み出している解釈の違いに気づく
- 解釈の違いを生み出している他者の前提を相互に理解する
- 溝を埋める方法を検討する
- 溝を埋める施策を試行する
- 施策が成功するまで取り組みを継続する
という流れになります。
関連情報
- 書籍「他者と働く」