
議論のスコープを適切に調整する
こんにちは。人事グループ・組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。
成果を目指す取り組みについて議論する際は、議論のスコープが狭すぎないよう注意が必要です。例えば、短期的な影響のみではなく、中長期の影響も踏まえて判断が必要な場面があります。このような場合、短期的な影響だけを見ていると、十分な検討にならず、好ましくない意思決定をしてしまう可能性があります。
この記事では、状況に応じて議論のスコープを広げることについて、まとめます。
議論のスコープとは
議論のスコープとは、議論における話題の範囲です。
仕事における議論や意思決定の場では、スコープが狭すぎることが、誤った結論や非効率な取り組みを生む原因になることがあります。議論のスコープを適切に広げることは、より妥当で納得感のある意思決定や成果につながるため、非常に重要です。
スコープの種類には以下のようなものがあります。
- 目的と手段のスコープ
- 選択肢のスコープ
- 関係者のスコープ
- 期間のスコープ
1. 目的と手段のスコープ
スコープの広さ | 見ている範囲 | 議論の特徴 | リスク・利点 |
---|---|---|---|
狭いスコープ | 手段のみ | 方法・手段の是非に終始 | 目的にそぐわない取り組みになりがち |
広いスコープ | 目的+手段 | 目的との整合性を踏まえた議論 | 目的を踏まえた取り組みが選べる |
2. 選択肢のスコープ
スコープの広さ | 見ている範囲 | 議論の特徴 | リスク・利点 |
---|---|---|---|
狭いスコープ | 単一の選択肢 | その選択肢を採用するかどうかだけを議論 | 他の可能性を見逃しやすく、思考が硬直化する |
広いスコープ | 複数の選択肢 | 選択肢を並べて比較・検討する | 相対的に優れた選択肢を選べる |
3. 関係者のスコープ
スコープの広さ | 見ている範囲 | 議論の特徴 | リスク・利点 |
---|---|---|---|
狭いスコープ | 個人 | 「自分がどうするか」の視点にとどまる | 組織的な最適解を見逃しやすく、連携が弱くなる |
広いスコープ | 集団 | 「全体としてどうするか」を考慮できる | 全体最適を踏まえた、現実的かつ持続可能な判断が可能 |
4. 期間のスコープ
スコープの広さ | 見ている範囲 | 議論の特徴 | リスク・利点 |
---|---|---|---|
狭いスコープ | 短期的な影響のみ | 目先の成果や負荷に偏った議論 | 長期的なリスクやチャンスを見逃す |
広いスコープ | 短期+中長期の影響 | 持続性・成長性を考慮した議論 | 将来的な効果や影響も織り込んだ判断が可能 |
議論のスコープを広げすぎない
スコープを広げることは、建設的で効果的な議論を行うために有効ですが、広げすぎると議論が発散し、意思決定や行動につながらなくなるリスクがあります。
本来必要な内容に対して議論のスコープが狭すぎるなら、広げる必要がありますが、十分な内容であれば、逆に広げすぎないように注意する必要があります。
まとめ
議論のスコープが狭すぎると、目的を見失い、限られた手段、短期的な視点、自分の目線だけで判断することになりがちです。その結果、成果が出ない・問題が繰り返される・関係者とすれ違うといった状況が生まれます。
一方で、目的、選択肢、期間、関係者などのスコープを意識的に広げることで、より本質的で効果的な意思決定が可能になります。自分たちの議論を俯瞰し、スコープが最適か見極め、調整できるようにしましょう。