2025年8月1日からAmazon Q Developer のAgentic Coding に利用上限が設定されます
こんにちは、なおにしです。
Amazon Q Developer のAgentic Coding に関する制限について確認する機会がありましたのでご紹介します。
先に結論
- 2025年8月1日より、Q Developer ProプランでAgentic Coding(エージェンティックコーディング)に対して1,000 チャット/月の上限が設けられます
- Agentic CodingではなくQ&A(質疑応答)については、特に変更なく上限は設けられていません
- 無料プランではAgentic Coding およびQ&A はともに50 チャット/月が上限になります
- 上限を超過した場合の挙動(追加課金になるのか、一定期間利用できなくなるのか等)については、執筆時点(2025年6月23日)では明記されていません
- 現時点の挙動としては、こちらの記事のようにリクエスト上限に到達すると翌月1日まで利用できないようです
- Agentic CodingではなくQ&A(質疑応答)については、特に変更なく上限は設けられていません
- Agentic Coding とは、Q Developer のビルトイン機能(use_aws、fs_readなど)やMCPサーバを利用した操作を含みます
- テキストファイルにコードを記述する意味でのコーディングを指すわけではありません
- Q Developer におけるAgentic Coding という用語の説明自体は、ドキュメントではIDEにおけるチャットと連携したコード開発支援を指していますが、CLIで利用する場合は適用対象外になるとは考えにくいため、CLIでuse_aws等を利用する場合もAgentic Coding の実行にカウントされると考えて良いかと思います
- IDE利用時のUIには明示的にAgentic Coding の有効/無効を制御するボタンがありますが、CLI(Version 1.12.1 2025/6/17 Release)にはそれに相当するオプションが見当たりません
- CLI では/tools でPermission を全てnot trusted に設定することもできますが、例えばuse_aws はAWS操作に関するプロンプトを指示した場合は特に使用可否の選択肢が表示されることもなく実行されますので、Agentic Coding の利用を制限することはできなさそうです
- IDE利用時のUIには明示的にAgentic Coding の有効/無効を制御するボタンがありますが、CLI(Version 1.12.1 2025/6/17 Release)にはそれに相当するオプションが見当たりません
はじめに
普段の業務でコーディングを担当しているわけではないのですが、AWS Documentation MCP Serverなどが登場したこともあり、ドキュメント調査やIaC作成にAIエージェントを活用している方も多いかと思います(私もその一人です)。
AIエージェントを活用する際、気になってくることの一つとしてコストが挙げられますが、最近Claude Codeを触っている中でやっぱり利用料が気になりました。
直近では、6月18日にGitHub Copilot の有料プランでPremium リクエストに対する課金・制限が設定され、Proプラン利用者としては利用上限を気にしながら使っていかないといけないなあと思っているところでした。
このため、特にAWSに関するドキュメント調査や環境調査はQ Developerに寄せておこうかなと検討していたのですが、そもそもClaude Code やGitHub Copilot で従量課金やより高価な定額プランが提示されている中で、Q Developer だけが無料またはProプランでの19 USD/月でエージェント機能を利用し放題のままなのかと気になりました。
改めて料金を確認したところ、執筆時点(2025年6月23日)ではAgentic Codingの利用料は料金ページに以下のように記載されています。
私は以下の記事を参照してProプランから本格利用を開始したため、チャットの利用上限が無いことくらいしか認識していなかったのですが、無料プラン/Proプランに関わらずAgentic Coding については具体的な利用上限の記載が無い状態だったようです。
ところが、英語サイトで確認してみると、以下のように更新されていました。
Q Developer は以下の記事でも紹介されているとおり、障害調査等においても非常に有用なサービスなので、Proプランでも利用制限が設けられるAgentic Coding が、具体的にはどのような操作を指すのか確認してみました。
やってみた
事前準備
Visual Studio Code にAmazon Q の拡張機能を追加し、AWS Builder ID またはIAM Identity Center と連携させてQ Developer が利用できる状態にしておきます。
また、MCPサーバと連携できるようにもしておきます。設定方法は以下の記事をご参照ください。
Agentic Coding が有効の場合
VS Code では、以下のようにボタン操作でAgentic Codingの有効/無効を指定できます。
それでは、Agentic Coding が有効の状態でAWSドキュメントを参照して回答をするように指示してみます。
最終的な回答については割愛しますが、AWS Documentation MCP Server に対するアクセスを許可するかどうかの選択が表示されるという部分については、MCPサーバを利用したことがある方にとってはお馴染みかと思います。したがって、問題なくMCPサーバへの問い合わせ操作ができています。
続いて、AWSアカウント情報を表示するように指示してみます。
ローカルでのコマンド実行可否を尋ねられ、許可すると問題なく情報を表示してくれました。
ファイルの作成を指示してみても、同様に問題なく実行してくれました。
Agentic Coding が無効の場合
それでは、Agentic Coding が無効の状態でAWSドキュメントを参照して回答をするように指示してみます。
MCPサーバへの問い合わせを行わずに回答が返ってきたので、MCPサーバを使用するようにもう一度指示してみます。
MCPサーバが設定されていないという回答が返ってきました。もちろん、Agentic Coding を無効化する際にMCPサーバの設定を変更してはいません。どうやらAgentic Coding を無効化するとMCPサーバが設定されていない状態として認識されるようです。
続いて、AWSアカウント情報を表示するように指示してみます。
今回はAgentic Coding が無効になっていることを認識している回答が返ってきました。コマンドの自動実行と結果のサマリはできませんが、実行すべきコマンドについては確認できます。
ファイルの作成の指示についても同様に、実際のコマンド実行はできないようです。
結論としては、Q Developer CLIで/toolsを実行した時に表示されるツール群の利用が、Agentic Coding に該当すると捉えれば良さそうです。
余談:Q Developer Proプランの利用料金の請求について
本記事の主旨とは外れるのですが備忘録として記載しておきます。
Q Developer のProプランは「19 USD/月/ユーザー」という料金設定になっていますが、利用開始したタイミング、または月末/月初での一括請求ではありません。
こちらは料金ページのよくある質問に、以下のように明記されています。
Q: Amazon Q Developer の月額 19 USD のサブスクリプションはどのように請求されますか?
AWS の見積り請求額では、Amazon Q Developer Pro の各ユーザーの 1 日のサブスクリプション使用量は、すべてのユーザーの 1 か月分の合計使用量の割合として測定されます。月額料金はユーザーあたり 19 USD で、1 か月に約 30 日あるため、1 人のユーザーは特定の日 (月の 1/30) に 0.0333 ユーザーとして表示されます。1 日の請求額は、19 USD * 0.0333 = 0.63 USD (1 か月あたり合計 19 USD) になります。
実際にCost Explorer で確認すると以下のように日毎に請求されており、利用開始した翌月も同様に日毎の請求となります。
このため、例えば日毎や週毎の料金アラームが設定されているような環境でも、Proプランを有効化しやすいのではないかと思います。
一方で、日毎の請求なので使用する時だけProプランのサブスクリプションを有効化するような運用ができるかというと、そういうわけではありません。キャンセルした場合の請求についても、料金ページのよくある質問に以下のとおり記載がありますのでご注意ください。
Q: Amazon Q Developer Pro のサブスクリプションを月の途中でキャンセルした場合はどうなりますか?
Amazon Q Developer Pro サブスクリプションを月末までにキャンセルすることにした場合、その月のサブスクリプション料金が全額請求されます。
まとめ
Q Developer のAgentic Coding に利用上限が設定されたので、Agentic Coding の有効/無効でどのような操作に影響があるのか確認してみました。
残念ながらProプランでも利用上限を気にせずに活用するということはできなくなってしまいますが、便利なサービスであることに変わりは無いので今後も積極的に活用していきたいと思います。
本記事がどなたかのお役に立てれば幸いです。