
【アップデート】Amazon Quickの自然言語アプリ作成がGAしたので使い道を考えてみた
こんにちは、こーへいです。
先日、Amazon Quickに「自然言語を使ったカスタムアプリの構築」機能が正式リリース(GA)されました。
Amazon Quick now lets you build custom apps with natural language
やりたいことを日本語で説明するだけで、コードを書かずにインタラクティブなアプリが作れる機能です。プレビュー時点の様子は、弊社いわさによる以下の記事が詳しいです。
[プレビュー] Amazon Quick で自然言語からノーコードのカスタムアプリケーションを作成できるようになりました | DevelopersIO
「アプリが作れる」のは分かったのですが、すでにAmazon Quickでダッシュボードを運用している人にとって、この機能をどう使うと嬉しいのかが気になりました。
またGAのアナウンスでは、Quickで普段分析に使っているQuick Sightのデータセットやダッシュボードそのものをアプリでどう扱えるのかはあまり触れられていません。
そこで今回は、既存のBIユーザー目線でアプリ機能の使い道を考えつつ、既存のデータセットと組み合わせられるのかを実際に検証してみました。
結論
- 既存の QuickSight データセットを、アプリのデータソースとして直接連携することはできない
- 一方で、既存のダッシュボードを埋め込んで「見せる」ことは可能
- アプリで入力したデータは、基幹データとは別のApp Storageに保存される
- つまり「基幹データはダッシュボードで見る/アプリ側の記録は App Storage に書く」という役割分担を意識することでQuickで本機能を使う大きな理由となる
実際に作ったアプリがこちらです。上半分が埋め込んだダッシュボード、下半分がアプリで入力する対応メモです。

Amazon Quick のアプリ機能とは
まず機能をざっくり整理します。自然言語で「こういうアプリが欲しい」と説明すると、Quickのエージェントがリアルタイムでアプリを組み立ててくれる機能です。2026年9月1日にGAしました。
主な機能は以下の通りです(公式ドキュメントより整理)。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 対話型オーサリング | 欲しいものを説明するとAIがアプリを構築 |
| ライブダッシュボード埋め込み | 既存の Quick Sight ビジュアルをアプリに埋め込み |
| アクションコネクタ | アプリから外部API・サービスを呼び出し |
| 組み込みAI推論 | 要約・分類・コンテンツ生成などのAI機能を追加 |
| Spaces統合 | Quick スペースのドキュメント・リソースを読み書き |
| 永続的データストレージ | 組み込みのキーバリューストレージ(App Storage) |
| ワンクリック公開 | アプリをチームと共有 |
バージニア北部

東京リージョン

この機能の使い道を考えてみた
検証に入る前に、既存のBIユーザー目線で「どういう使い道があるか」を考えてみます。
正直この機能を見た時に大抵のことは「チャットエージェント」から各種データソースに対してAIと対話する使い方で十分、もしくはClaude CodeやV0などでアプリを作るのに比べて何が強いんだろうと考えましたが、このアプリの大きな特徴として「独自の永続的データストレージ(App Storage)」を使うことができる点とインターネットへの公開(参考)を簡単にデプロイできる点、またQuickで扱っているデータセットと組み合わせられる点で差別化できると思います。
Amazon Quick のアプリは、大きく分けて次の2つを組み合わせられます。
- 見る: 既存のダッシュボードを埋め込んで、基幹データを可視化して見せる
- 書く: App Storageに、アプリ上で発生したデータ(メモ・タスク・フラグなど)を記録する
この「見る × 書く」を1画面にまとめられるのがポイントで、ここから使い道を考えると、たとえば以下が思い浮かびます。
1. 異常値の確認・対応記録ポータル
ダッシュボードでKPIを見て、閾値を割った日に「対応メモ」「確認済みチェック」を残せるようにする。これまで「ダッシュボードで数値を見る → 別のツール(スプレッドシートやSlack)で対応管理」と分断していたものを、1画面に統合できます。今回はこれを実際に作ってみます。
2. ダッシュボードレビューの承認ワークフロー
週次・月次の数値を見て、担当者が「レビュー済み」「要フォロー」といったステータスを記録する。誰がいつ確認したかが残るので、監査や引き継ぎに強くなります。
3. データ品質の指摘受付アプリ
ダッシュボードのデータがおかしいと気づいたとき、その場から「この数値が変です」と報告を投稿できるようにする。散発的に来るデータの指摘を1箇所に集約できます。
このほかにも、ログインユーザーごとにダッシュボードとTODOを出し分ける「ロール別ポータル」や、コネクタを使って外部システムにチケット起票する「アクション連携」なども考えられます。
いずれも共通しているのは、基幹データそのものをアプリで作り変えるのではなく、「基幹データを見ながら、付随する業務データをアプリで記録する」 という発想です。この発想になる理由は、実際にデータを組み合わせようとすると分かります。
やってみた:スコア確認+対応記録アプリ
使い道1の「異常値の確認・対応記録ポータル」を実際に作ってみます。題材は日付ごとのスコアデータ(date, score)です。
date,score
2026-08-01,82
2026-08-02,75
2026-08-03,50
Step1: 自然言語でアプリを作る
アプリ一覧のチャット欄に、以下のプロンプトを入力しました。
日付ごとのスコアを表にして、直近のスコアと前日からの変化がひと目でわかるアプリを作ってください。
スコアが60点を下回った日には「要対応」と赤く表示してください。
さらに各日付に対して、担当者が「対応メモ」と「確認済みチェック」を入力・保存できるようにしてください。
しばらく待つと、「デイリースコアトラッカー」というアプリが生成されました。直近スコアのサマリーカード、スコア入力フォーム、対応メモ付きの一覧テーブルがちゃんと日本語UIで作られています。

ここで注目したいのが、アプリの説明にあった一文です。
データ永続化: 全データは Shared App Storage に保存され、アプリにアクセスできる全員で共有

つまり、このアプリで入力したスコアや対応メモは、QuickSight のデータセットではなく App Storage という別の場所 に分かれて保存されていることが改めて確認できました。
Step2: 既存のデータセットと組み合わせられるか
ここからが本題です。「アプリで手入力するのではなく、既存の スコアセット データセットを使えないか」を試します。アプリの変更依頼欄に、こう入力しました。

既存のデータセット「スコアセット」に入っているスコアデータを、このアプリのテーブルに読み込んで表示してください。
返ってきた答えがこちらです。
申し訳ございませんが、現時点では QuickSight のデータセットやトピックとの連携機能はサポートされておりません。そのため、データセットから直接データを読み込んで表示することはできません。
アプリのアシスタント自身が「データセットとの連携はサポートしていない」と明言しました。代わりに提案されたのは、以下の3つでした。
- CSV ファイルをアプリにアップロードして一括読み込み
- Quick Space に CSV/JSON を置いておき、そこから読み込み
- スプレッドシートからのコピー&ペーストで一括登録
いずれも「データセットと繋がる」のではなく、「別途データを App Storage に入れる」手段です。ここで、既存の分析用データセットをアプリのバックエンドDBにはできない、ということがはっきりしました。

Step3: ダッシュボードの埋め込みなら組み合わせられる
では基幹データはどう扱うのかというと「ダッシュボードの埋め込み機能」です。
あらかじめ スコアセット データセットで作っておいたダッシュボード(KPI・折れ線グラフ・テーブル)を、アプリに埋め込むよう依頼します。
事前に作成したダッシュボードがこちらです。

このアプリに、既存の「スコアボード」を埋め込んで表示してください。
画面の上部に埋め込みダッシュボード、その下に対応メモ・確認済みチェックの表を配置してください。
そうするとダッシュボードの3つのビジュアル(スコアKPI・スコア推移の折れ線・スコア一覧テーブル)がアプリ上部に埋め込まれ、下部に対応メモの管理テーブルが並ぶ構成になりました。

上部のダッシュボードは スコアセット データセット由来のライブデータ(8/1=82, 8/2=75, 8/3=50 で、KPIは前日比 -33.33% と表示)、下部の対応メモは App Storage のデータ、という構成です。実際に触ってみると、埋め込んだダッシュボードのデータは直接編集できず、あくまで「見る」だけでした。アプリ側でできるのは、そこにメモや確認状況を付与することです。
※途中ダッシュボードの形が整形されておらず、綺麗にして欲しい旨の指示を挟みました。

整理:データの流れ
ここまでの検証を図にすると、こういう関係になります。
基幹データは「データセット → ダッシュボード → 埋め込み」というルートで 見せる だけ。アプリで入力したデータは App Storage に 書く。この2つは最初から別の入れ物で、直接は繋がらない、というのが今回の結論です。
まとめ
今回は Amazon Quick のアプリ機能について、既存のBIユーザー目線で使い道を考えつつ、既存データセットと組み合わせられるかを検証してみました。
すでにダッシュボードを運用している方は、「このダッシュボードに、対応記録を足せたら便利かも」という切り口で使い道を考えてみると、イメージが掴みやすいと思います。ぜひお手元で試してみてください。それでは。







