
新しく追加されたExpress 1ゾーンストレージクラスを比較してみた #AWSreInvent
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こんにちは。サービス開発室の武田です。
先日、re:InventでAmazon S3にExpress 1ゾーンという新しいストレージクラスが追加されました。同じ1ゾーンである1ゾーン - IAとの比較に興味がありましたので、やってみました。
まず大前提として、1ゾーン - IAは アクセス頻度が低いオブジェクトを、コスト効率よく保存する ためのものです。1AZにしか保存されないため、再作成可能なデータのバックアップなどに適しています。一方のExpress 1ゾーンは、 一貫した高速なデータアクセスを提供し、パフォーマンス重視のワークロードを高速に実行させる ためのものです。
そもそも用途が異なるため比較するようなものではないのですが、まぁそれでもやりたかったので大目に見てください。基準があるとわかりやすいため、S3標準も含め表にしました。
| 項目 | 標準 | 1ゾーン - IA | Express 1ゾーン |
|---|---|---|---|
| アクセス頻度 | 頻繁にアクセスされる | あまり頻繁にアクセスされない | もっとも頻繁にアクセスされる |
| レイテンシー | ミリ秒単位 | ミリ秒単位 | 1桁ミリ秒 |
| AZ | 複数AZ | 単一AZ | 単一AZ |
| 設計上の耐久性 | 99.999999999% | 99.999999999% | 99.999999999% |
| 設計上の可用性 | 99.99% | 99.5% | 99.95% |
| 可用性(SLA) | 99.9% | 99% | 99.9% |
| 最低保存期間 | なし | 30日 | なし |
| ストレージ料金(GB) | $0.025 | $0.0138 | $0.18 |
| PUT、COPY、POST、LIST(1000req) | $0.0047 | $0.01 | $0.0024 |
| GET、SELECT、そのほかすべて(1000req) | $0.00037 | $0.001 | $0.00019 |
設計上の耐久性はどれもイレブンナインとなっています。1ゾーンであってもそこは変わらないようです。設計上の可用性は複数AZに記録する標準が一番高いのはもちろんなのですが、同じ1ゾーンであっても、1ゾーン - IAよりExpress 1ゾーンの方が高いようですね。可用性(SLA)については、Express 1ゾーンは標準と同じ99.9%です。
標準と1ゾーン - IAを見比べると、基本的なスペックは同じですが、ストレージ料金が安くなっています。逆に取り出しなどのリクエスト料金は高くなっています。これはアクセス頻度が低いオブジェクトを保存するという目的に沿った料金設定ですね。また最低保存期間が30日という点も、長期保存を念頭に入れて選択する必要があります。
標準とExpress 1ゾーンを見比べると、レイテンシーが低くなっています(発表では最大10倍のパフォーマンスと言われています)。ストレージ料金は高くなっていますが、取り出しなどのリクエスト料金は半額です。リクエストが多いワークロードでは相対的に標準より安くなる可能性もありそうです。またシステムとバケットを同じAZに配置することで、パフォーマンスの最適化を図れるのもExpress 1ゾーンの特徴といえます。
まとめ
新しくS3に追加されたストレージクラスについて確認しました。従来からある1ゾーン - IAに続いて登場した 1ゾーン のストレージクラスですが、使用用途はまったく異なります。1秒あたり数十万リクエストをサポートし、MLや分析のワークロードを高速化できるストレージクラスとなっています。
それぞれのストレージクラスの特性を理解し、適切に選択していきましょう。






