AsiaBerlin Summit ~AIセッションレポート #ABS2023 #AsiaBerlinSummit2023
Guten Tag, ベルリンの伊藤です。
先週、AsiaBerlin Summit 2023 に参加しました。
セッション2日目、今回の主要テーマの一つであるAIに関するセッションをいくつか聞いたので、レポします。
AI の力を解き放つ
Unleashing the Power of AI
Dr. Feiyu Xu - Senior Vice President, Global Head of Artificial Intelligence, SAP SE
- AI は恐ろしいかもしれない
- 会場内の参加者でも最大で6言語しか話せないが、AI は何百もの言語を話せ、それが実際に便利である
- 70年ものAIリサーチを経て、AIが現実になっている
- 現在では、誤情報を修正したり画像を使ったレイヤーなど課題に面している
- 絵を描けない人も、生成AIを使って絵を描ける
- 今後の影響(一例)
- Eコマース:自分で商品やフィルタをクリックするが、「この色のこの予算でこういう服が欲しい」と言えば表示されるようになる
- Chat Bot:現在ではファクトベースでこちらに合わせた回答ができないため好まれないが、今後は質問に合わせたトラブルシューティングを回答できる
- 意識的な知識と無意識的な知識(例えば自転車の乗り方)の組み合わせで、よりナチュラルな回答ができるようになる
現時点でいかに ChatGPT が不自然で人間の回答とは違うかについては、マリッサさんがこちらで興味深いブログを書いています。
- 各社が正しく製品にAIの力を適用するには、適切なチューニングが大事
- 各社が AI のデータを自分でストック・チューニングするのは不可能なので、SAP のような外部の会社へ依頼して最適なAIデータを活用すべき
↑SAP が請求書ファイルを分解してストラクチャされたテキストとして読み込む技術の例です。
- SAPは2018年にいち早くAI倫理ガイドラインを作成
AI エコシステムの構築
Building AI Ecosystem: Fostering Innovation, Collaboration, and Responsible AI Practices
こちらは以下スピーカーによる、パネルトーク形式のものでした。
Alice Chan (台湾) - Project Lead at Porsche Digital
Dr Tina Klüwer - Director at K.I.E.Z. AI
Hendrik Remigereau - Founding Director at Merantix AI Campus
Sabrina Garcia (ドイツ) - Director of the regional project DigitalSkills2Succeed in Asia (India), GIZ
Dong Han (中国) - CEO/Co-founder of reInvent.ai
学生と社会人が繋がれる”キャンパス”など、スピーカーはいずれも AI 業界の学びや連携に従事しているようです。
- AI エコシステム(AI 学びや連携の場)の必要性
- エコシステムを形成することで、通常は難しいスタートアップの成長がより簡単になる
- 「価値の創造」のためであり、一つのスタートアップを勝たせるのではなく、すべてのスタートアップが官民が連携してこそ成功できる
- Sabrina 氏は南ドイツから南米、インド、アジアをはじめ様々な国に在住したが、リージョンに関わらず基本的に同様で、AIにはバイアスがあるという課題がある
- Dong 氏はいかにVCがAIに注目して中国のスタートアップに投資している様子を見て、起業したいと思った
- Tina 氏によると、エコシステムで成功するには、情熱・モチベーションのある適切なチーム、そして政府等からの投資支援が必要
アジアとベルリンでAIが労働力に与える影響
The robots are here: How Asia & Berlin are tackling the impact of AI on workforces
- ベトナムでは農場で使うAI技術が広まっており、ヨーロッパよりずっと進んでいる
- 例えば歯医者が症状をより速く分析できるようAIを用いる
- AI は私たちの仕事を奪うものではない
おまけ
JETRO様のブースがあったので、最後に立ち寄りました。
海外事業者が日本の製品や事業者を簡単に探せるよう、ジャパンストリートというオンラインサービスカタログをなんと無償で提供しているのだそうです。
利用者登録するには、お近くのJETROオフィスまで。
おわり
全体としては、冒頭の SAP が最も技術寄りの話をしていて興味深かったですが、他は AI をビジネスに取り入れることを促進するようなエントリレベルの内容が多かった印象です。
シリコンバレーになんか行かなくたって、ベルリンでできるぜ!みたいな会場の意気込みを感じました。
前回のブログでも述べましたが、充電スポットがほとんどなく、後半はノートが取れず充電しに退出したりして、中途半端になってしまいました…
今後はノートとペンを持って行こうと思いました。準備大事。
翌日の企業訪問ガイドツアーはばっちり聞いてメモしましたので、そのブログもぜひご覧ください!