【レポート】30分で AWS MediaServices の具体的なユースケースを学べる!「AWS メディアサービスを活用したライブ動画配信のアーキテクチャパターン」 #AWSSummit
こんにちは、大前です。
AWS Summit Online、みなさま楽しんでいますでしょうか。
本記事はオンデマンドセッションである「AWS メディアサービスを活用したライブ動画配信のアーキテクチャパターン」についてのレポートとなります。
セッション概要
スピーカー
アマゾン ウェブ サービスジャパン株式会社 技術統括本部 インターネットメディアソリューション部
ソリューションアーキテクト 廣瀬 太郎 さん
概要
ライブ動画配信に関連する技術トレンドや課題と、動画ワークロードのためのマネージドサービス AWS メディアサービスを利用したライブ動画配信基盤の構築、運用方法、事例をご紹介いたします。AWS メディアサービスは現在 MediaConnect, MediaLive, MediaPackage, MediaStore, MediaTailor, MediaConvert の計 6 つのサービスで構成されていますが、必ずしもそれら全てを最初から活用する必要はなく、要件にあわせて組み合わせて使って頂けるよう、疎結合な作りとなっています。本セッションではこれらのサービスの詳解と、ユースケース毎のアーキテクチャパターン、AWS メディアサービスが生まれてからこの 2 年弱の間に追加された代表的な機能アップデート、各社様事例をご紹介いたします。
セッションレポート
アジェンダ
- AWS Elemental MediaServicesとは
- サービス概要
- お客様導入事例
- AWS Elemental Media Services x ライブ動画配信
- ユースケース毎のアーキテクチャパターン
- まとめ
AWS Elemental MediaServicesとは
サービス概要
- Elemental という会社が提供していた放送品質の配信サービスを元に、AWS のフルマネージドサービスとして再構築したもの
- 2017年に発表
- 現在は 6つのサービスが存在
- AWS メディアサービス
- MediaServices はそれぞれが疎結合な関係になっている為、必要に応じて組み合わせて利用出来るような設計になっている
お客様導入事例
事例 1 CyberLDH 様
- AWS Elemental MediaServices を利用し、複数の配信要件を満たすライブ配信を実現
- 数十万規模の視聴者に対する高品質なライブ配信
- 低遅延の実現
- ライブ配信のアーカイブ配信
- エンジニア 5人という少人数の体制で柔軟性の高いシステムを構築
事例 2 北海道テレビ様
- AWS Elemental MediaServices を利用し、2週間で有料ライブ配信サービスを構築
- メディアサービスだけでなく、サーバレスサービスや外部のパートナー製品を活用
事例 3 フジテレビ様
- 地上波放送と同等(約3秒)の超低遅延配信を AWS Elemental MediaServices で実現
AWS Elemental Media Services x ライブ動画配信
- メディアサービスは用途に応じて柔軟にサービスを組み合わせて使う事ができる
- ユースケース毎の 10個のアーキテクチャパターンを紹介
1.シンプルな HLS ライブ配信
- MediaLive + MediaStore + CloudFront の構成
- すぐに始められる構成なのでまずはここから検討をおすすめ
- MediaLiveとは
- 放送品質のライブエンコーディングサービス
- 特徴
- 高機能なライブ配信を 1〜2分で開始可能
- 初期費用が不要で、設定に基づいた従量課金
- 冗長化や監視、障害からの回復機能はデフォルトで組み込み済み
- Single Pipeline Channel を使用することによるコスト削減が可能
- 最近のアップデート
- 複数 Input を指定したフェイルオーバー機能が利用可能に
- 高解像度、高圧縮、高品質の実現にそれぞれ対応
- MediaStore とは
- 動画メディアに最適化されたストレージ兼オリジンサーバー
- S3 をベースにライブ配信用に最適化されている
- S3 との比較
- S3 は結果整合性モデルである為、HLS のような頻繁にファイルが更新される用途には不向き
- 最近のアップデート
- CloudWatch Metricsに対応
- コンテナの中身を空にする機能に対応
- 低頻度アクセスストレージが利用可能に
- 動画メディアに最適化されたストレージ兼オリジンサーバー
- CloudFront とは
- 200箇所以上のエッジロケーションをもつ CDN
- ライブ配信でも CloudFront を使用可能
- キャッシュミスされたリクエストがオリジンに転送されている間、同一のリクエストをエッジで待機させる仕組みになっている
2.HLS & MPEG-DASH ライブ配信/DRM
- HLS 以外の要件がある場合、MediaStore ではなく MediaPackage の利用を検討
- MediaPackage とは
- 単一入力をマルチデバイス向けにストリームにパッケージング、かつオリジンとしても機能するサービス
3.ライブ配信をアーカイブ
- いくつか方法はあるが、最もシンプルな方法は MediaLive から S3 にアーカイブを出力する方法
- MediaLive は I-Frame のみの出力や JPEG 出力が可能である為、サムネイルの出力も合わせて行う事が可能
4.ライブ配信中に巻き戻し(DVR)
- MediaPackage の DVR 機能を使用する事でライブ配信の巻き戻しが可能
- MediaPacakge では時間指定でのライブ配信のクリッピング&アーカイブが可能
5.FILE/LIVEをスケジュール配信
- MediaLive を使う事で、番組表の様に時間指定で配信するソースを変更する事が可能
- 最近のアップデート
- 起動中のチャンネルでもファイルソースの変更が可能に
- フレーム制度のクリッピングが可能に
- インプットソース即時切り替えが可能に
- 即時切り替えが全てのアクションで利用可能に
- 最近のアップデート
6.サーバサイド広告挿入(SSAI)
- オリジンの後ろに MediaTailor を挟む事で実現可能
- 動画広告を挿入するためのサービス
- AD マーカーを利用したサーバーサイド型の広告挿入を実現
- ユーザ毎に広告を出し分けすることも可能
- MediaLive を使用する事で SCTE-35 マーカーを挿入することも可能
- 最近のアップデート
- SCTE-35 が不要なプリロール広告に対応
- 動画広告を挿入するためのサービス
7.同時配信数が増減
- チャンネルを複数プーリングしておき、API Gateway + Lambda といったサーバレスな構成でリソースを操作する事で実現させる
8.超低遅延配信(ULL)
- CMAF Chunks + Chunked Transfer Encoding を使用する事で実現可能
- 1セグメントをチャンクという単位に区切り、各チャンクのエンコードやパッケージが完了した時点で転送する事で低遅延を実現
- MediaStore や CloudFront Chunked Transfer に対応している
9.高い信頼性で映像伝送
- 拠点を跨った映像伝送にはいくつかの手法がある
- 衛星や専用線伝送
- パフォーマンス等は優れているが、コストが高額
- Web 技術を用いた伝送
- 安価に使えるが、配信の品質担保には工夫が必要
- プロトコルの選定など
- 安価に使えるが、配信の品質担保には工夫が必要
- 衛星や専用線伝送
- MediaConnect とは
- インターネット経由での映像伝送を実現するサービス
- Firewall や NAT 越えの映像伝送も可能
- 最近のアップデート
- VPC に対する入出力に対応
- CloudWatch Metrics が拡充
- Input のフェイルオーバーに対応
- Output の制限が 50 まで拡張
10.移動先でも安定打ち上げ
- Elemental Link
- 小型で軽量なハードウェアエンコーダー
- 注文時点で AWS アカウントと紐づいた状態で発送されるため、セットアップの手間がほぼない事が特徴
- CloudWatch でメトリクスを取得可能
まとめ
- 10個のユースケースを交えながら6つのサービスを紹介
- 各サービスが疎結合となっているので、要件に応じて組み合わせて使って頂く事が可能
おわりに
「AWS メディアサービスを活用したライブ動画配信のアーキテクチャパターン」のセッションレポートでした。
30 分で Media Services の主なユースケースを学べる非常に濃密なセッションとなっており、アーキテクチャに困った時のインデックスとして活用できるセッションだなと感じました。
以上、AWS 事業本部の大前でした。