現場で使えるPower BI モデリング4パターン-予実管理編

現場で使えるPower BI モデリング4パターン-予実管理編

2025.11.05

BIチーム改め「データ活用推進チーム」の武田です。
7月からチーム名が変わりました。久々のブログリレー企画、スタートします。

今までのブログリレーはいろいろなBIツールで作り比べてきましたが、今回はPower BI特化型です。

はじめに

公開予定記事一覧

内容 投稿予定
Power BI重要用語集 2025/11上旬
パターン1:月次予算+月次実績 2025/11上旬
パターン2:日割り予算+月次実績 2025/11上旬
パターン3:月次予算+実績明細 2025/11中旬
パターン4:統合ファクト(月次予算+日次実績) 2025/11中旬
振り返り(4つのモデリング比較) 2025/11下旬

モデリングに関するよくあるお悩み

こんな悩みはありませんか?

  • Power BIで予実比較レポートを作りたいが、どうデータを持てばいいかわからない
  • Power BIで集計した数値の結果が間違えていて、原因を調べたらモデリングだった
  • 実績と予算でデータの粒度が違い、どう突き合わせればいいか困っている

このブログリレーでは、4つの異なるモデリングパターンで予実管理を作り比べ、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

Power BIは他のBIツールと比べると、独特な機能を持っています。シンプルな内容であればExcelのように扱って、短時間でグラフを描くこともできます。一方で、少し複雑な内容になると一気に難易度が上がります。

Power BIは機能が非常に多いので、複雑なこともやろうと思えばできるのですが、直感的な操作というよりも、プログラミング的(ステップバイステップに工程を分解して処理工程を1行ずつ作っていくという意味)に書いていく必要があるので、そういったプログラミング的な関数を使いこなすのが難しいという点で、大きなハードルを感じる方も多いかと思います。

その難易度に大きく影響するのが、「モデリング」です。

モデリングが与える影響

今回は、ビジネス上よくある「予実管理」をテーマに、色んなパターンのモデリングを紹介します。

Power BIの中でのモデリングというのは、「取り込んだ複数のテーブルの間で関係性を定義して論理的に整理すること」です。つまり、Power BIの中でデータをどのように持っておくのかという意味になります。

モデリングが違うと、データ加工の実装方法も違いますし、その後の運用負荷が大きく変わってきます。Power BIといえばグラフで可視化するイメージを思い浮かべる方が多いのですが、その可視化を支える大事な土台になります。

モデリングをやり直そうとすると、グラフやフィルタだけではなく計算式まですべてに影響することがあるので、最初にしっかりと考えておく必要があります。モデリングによって作り方や運用がどれくらい変わってくるかを、感じていただければと思います。

今回作ったレポートとモデリング

作るグラフのイメージ

最終的に作るグラフは統一し、下記のようなものを作ります。

2025-09-powebi-1-09

4つのモデリングパターンで、データ加工~ダッシュボードを作り比べてみます。同じグラフを作るといってもモデリングが大きく変わりますので、そこを比べるのが今回の企画のメインです。

元データのイメージ

下記のような状態でデータを持っているとします。
売上実績は明細であるが、予算は月別・地域別・カテゴリ別で作っているということを想定しています。つまり、実績データと予算データで、データの粒度が異なるという状況です。

月別予算データ

予算年月 地域 カテゴリ 売上予算金額
2024/01 九州 家電 123

実績明細データ

行ID オーダーID 出荷日 オーダー日 出荷モードID 製品ID 顧客ID 店舗ID 売上実績金額
12345 a-11111 2024/01/03 2024/01/01 1 22222 3333 4444 5555

他各種マスタデータ 例)店舗マスタデータ

店舗ID 店舗名 都道府県 市町村 地域ID
5555 〇市〇〇店 ●●県 △市 1

各モデリングのデータの持ち方

月次予算+月次実績

実績明細を月別に集計して、予算と突き合わせます。

シンプルな月次レポートで十分な場合におすすめのモデリングです。

年月 地域 カテゴリ 売上予算金額 売上実績金額
2024/01 九州 家電 4,230,000 4,560,000

日割り予算+月次実績

月別予算を日割りして日ベースで実績と突き合わせます。

日次での進捗管理が必要な場合におすすめのモデリングです。

地域 カテゴリ 売上予算金額 売上実績金額
2024/01/11 九州 家電 123,000 151,000

月次予算+実績明細

粒度が異なるままで取り込むので、ブリッジテーブル(中間テーブル)を使って突き合わせます。ブリッジさせるために、予算1行ごとにユニークとなるキー列(key)を作っています。

予実管理と実績検索をそれぞれ違う粒度で検索したいときにおすすめのモデリングです。

実績ファクト

行ID オーダーID 出荷日 オーダー日 出荷モードID 製品ID 顧客ID 店舗ID 売上実績金額 地域ID カテゴリID key
12345 a-11111 2024/01/03 2024/01/01 1 22222 3333 4444 1245 1 2 202401-1-2

予算ファクト

予算年月 地域ID カテゴリID 売上予算金額 key
2024/01 1 2 123 202401-1-2

ブリッジテーブル

年月 地域ID カテゴリID key
2024/01 1 2 202401-1-2

他各種マスタ

統合ファクト(月次予算+日次実績)

月次予算と日次実績をくっつけていますが、予算はデータがないカラムがあるので、nullで埋めています。

期首予算や期中修正予算等の複数の予算シナリオがある、今後も予算シナリオが増えていく可能性がある等の場合におすすめのモデリングです。

日付 地域ID カテゴリID 指標種別 金額 製品ID 店舗ID 顧客ID 出荷モードID
2024/01/01 R001 CAT001 予算 123 null null null null
2024/01/01 R001 CAT001 実績 456 P001 S001 C001 SM001

他各種マスタ

終わりに

実は今回のブログリレー企画、すべて一人で動いております。一人なので、もはやリレーではなく、マラソンかもしれません。色んなBIツールを触るのですが、Power BIは本当に独特で、脳みそを切り替える必要がありました。無事完走できるよう、応援していただけますと幸いです。

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