[書籍紹介] 『エクストリーム・オーナーシップ』 リーダー救済の書
本について/読者対象
『Extreme Ownership: How U.S. Navy Seals Lead and Win』
リーダーシップ/オーナーシップに関する本です。
頭にエクストリームがついている通り、軍隊という生死のつきまとう特殊なハードコア環境で培われた、稲妻のようなオーナーシップが学べます。
私自身の経験を振り返ってみても、この本を読むことでキツい喝を入れられるような感覚があり大きな学びを受けます。
読者対象として、業務上でリーダーシップが必要な方、全般が該当します。
リーダーシップには様々な方法論が確立されていますが、この本の内容も頭の一隅に入れておくとで、覚悟を持って任務を遂行できます。余計なことを考えなくて良くなり、集中できます。
何かにつまずいて自分自身のリファイメントが必要な方にも適しています。
また、この本はPART 1の WINNING THE WAR WITHIN を読むだけでも十分に本の趣旨を把握できる内容ですので、お忙しい方にはPART 1を勧めます。
著者について
著者のJocko Willinkさんは元Navy SEALsの士官です。
本の中でも書かれていますが、軍隊で培われたリーダーシップを企業のコンサルに活用されています。
(https://www.chartwellspeakers.com/speaker/jocko-willink/)
エクストリーム・オーナーシップとは何か
エクストリーム・オーナーシップはとてもシンプルに表すことができます。私は、大まかに下記の点だと思います。
- 悪いチームは存在しない。悪いリーダーが存在するだけ
- リーダーに対する唯一の評価基準は、チームが成功するか失敗するかの2択
シンプルながらも、この2点を全て受け入れることをできるリーダーは実は少ないのでは?と思います。
本の中で語られていますが、ミスによって結果的に仲間の死を伴うトラブルが発生した際には、その犯人探しや責任の押し付け合いが発生します。そもそもが複雑で難度の高いオペレーションです。
しかし、オペレーション担当の士官(著者)はこう言いました。
「失敗の全ての原因と責任はMEにある」
そして、退役後の企業コンサルでは、要職に就く会社責任者に著者はこう言いました。
「会社の事業ががいまく行かないのは全てYOUが原因だ」
こういう感じの内容です。
その他のチェックポイント
- ベストなリーダーはエゴ駆動ではないし、個人アジェンダにも依存しない
- リーダーの他には、トラブルの際に責められる対象となる者は存在しない
- パーフェクトな者は存在しない。君は今も学び続け、成長し続けている
- リーダーがネガティブな態度ならチームもそれに感染する
- 最も重要なことはWHYを問うこと
- リーダーはチームの全てのWHYに答える義務がある。オペレーション・戦略の全貌と詳細を説明し、チームを納得させる義務がある
- チームメンバーは説明されたオペレーション・戦略の全貌と詳細に対して不明点を質問する義務がある
- ブラザーフッド(兄弟愛)こそが我々の最強の武器だ
併せて観たい映画
(https://www.cinematoday.jp/movie/T0019384)
Fury(2014)
デヴィッド・エアー監督・脚本
ブラッド・ピット 主演
概要:第二次対戦末期、米軍の戦車・シャーマン(フューリ号)に乗り込むクルー5名とドイツ軍戦車(ティーガー)との戦いを描く映画作品。
クルーのリーダー的ポジションをブラッド・ピットが演じる役が務めます。
リーダーが「撃て!」と言うタイミングまでにクルーは戦車を走らせポジションをとり、弾を装填する必要があります。その時に撃てなければ彼らの生存確率は下がります。
失敗の振り返りをしようにも、それができるのは死んでからです。
要するに彼らは運命共同体です。クルーの中には荒くれ者もいます。新米もいます。おそらくは価値観もバラバラです。
そうなるともはや、リーダーはリスペクトを得られる振る舞いが求められ、クルーはリーダーをリスペクトする必要があります。リーダーは弱いところを見せるとクルーが不安になるからクルーの陰で日和ます。辛いんです。
全くクリーンな関係性には見えませんが、何かが彼らを繋いでいます。大義や「死なないで勝ち続けること」だけではなさそうです。
そして、文字通り必死であることは確かです。
必死の中で力を合わせて結束することで脅威のパフォーマンスを出して窮地を脱していきます。
そして主演のブラッド・ピットの役が立ちすぎている映画です。