【書評】やる気が上がる8つのスイッチ #ビジネス書を楽しもう

2020.12.01

はじめに

せーのでございます。

さて、突然ですが、12月といえば私達エンジニアに取ってはなんでしょう。そう、アドベントカレンダーの季節です。
私もこれまで数年間、何かしらのアドベントカレンダーにちょっと参加してブログを投稿してみたりしたものでした。

今年もクラメソメンバーは色々なアドベントカレンダーに参加するようです。

そんな中、実はずっと気になっていた企画がありました。

それは「全部俺アドベントカレンダー」

12/1から12/25までの25日間、たった1人で黙々とブログを上げ続ける苦行。

忘れもしない、入社して初めて都元氏の全部俺アドベントカレンダーを見た時「あ、この人狂ってる。」と思った淡い記憶。

そんな企画を、こっそりと初めてみようと思います。都元さん、見てる?

私のテーマは、色々考えた結果「ビジネス書」にしてみる事にしました。

なんでビジネス書?

ビジネス書はミステリーに似ている

実は私、ビジネス書マニアだったりします。特に「仕事術」と言われる分野に目がなく、本屋さんに行くとついつい手にとってしまいます。数えてみたら今年だけで62冊のビジネス書を購入、読破していました

でも仕事術の本を読んで、仕事の生産性をあげよう、とはあまり思っていなかったりします。
私はビジネス書を、知的好奇心を満たすために読んでいます。

私が普段読む本や映画はミステリー小説に偏っており、基本誰かが死んで謎をばら撒いてもらわないと見る気がしません。
ミステリー小説というのは基本構造は固まっていて

  • 誰かが死ぬ
  • 探偵が手がかりを見つける
  • 探偵が手がかりを元に知識やロジックを組み合わせて「論理的に」犯人を導き出す

というものです。大事なのは「人が死ぬ」というのはもちろんフィクションですが、トリックを暴く知識やロジックは実在する法則に基づいていて、必ず論理的に結論に導かれる、という点です。「なんとなく悪そうな顔だからお前が犯人」とは決して言わないのです。

実はビジネス書もこれに非常に近い構造を持っています

ビジネス書のゴールは基本「仕事の生産性を上げること」です。が、実際にその本を読んでその通りにしたからといって生産性が上がるかどうかは、その人次第だったりします。相性もありますし、逆に生産性が落ちる場合もあります。
ですが、生産性を上げるために勧められる方法の根拠はとてもロジカルです。
「朝早起きしたら気持ちがいいから生産性が上がる」というような曖昧なものではなく、必ず「朝早起きしたら脳が整理されてストレスのない状態で行動でき、かつ回りの人間は寝ているので静かな環境で自分だけのやりたいことに集中できる時間を持てるから生産性が上がる」と書かれるのです。

この実在する心理学や行動生理学の法則や、疑うことのないロジカルな理由を元に方法を導き出す感じが、とても好きなのです。

ですので、これからビジネス書を紹介していきますが、あくまで私の焦点は「いかに説得力を持ってロジカルに仕事術を導き出しているか」にあります。
参考にしていただける方はもちろん参考にしていただいて、そうではない方は私のように、知的好奇心を満たすためと思って、まったりとお付き合いください。

やる気が上がる8つのスイッチ

さて、一発目にご紹介する本はハイディ・グラント・ハルバーソン著の「やる気が上がる8つのスイッチ」です。

やる気が上がる8つのスイッチ

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著者はコロンビア大学ビジネススクールの教授でもある社会心理学者で「モチベーション」というものを研究している第一人者です。

カテゴリ分けと処方箋

この本で最も大事なこと、それは「やる気の上げ方は人によって違う」ということです。
ある人にとって効果のある方法は、別の人にとっては何の効果も感じられない、ということがあります。それはその人のタイプが違うからで、そのタイプにあったやる気の上げ方がある、というのが本書の論旨になります。

じゃあその人それぞれによってどの方法がマッチするのか。研究の結果、著者は人間を「8つのタイプ」「3つの軸」に分け、それぞれの軸の組み合わせによってタイプを分類し、タイプ別にやる気の上げ方を具体的に提示していきます。
その8つのタイプとは

  • 中二病
  • うざいやつ
  • 臆病者
  • 退屈な人
  • やる気の空回り
  • まじめな見習い
  • 新星
  • 熟練の匠

です。このタイプに分類するカギとなる「3つの軸」とは

  • マインドセット(証明マインドセットか成長マインドセットか)
  • フォーカス(獲得フォーカスか回避フォーカスか)
  • 自信の有無(自信、自己効力感があるかないか)

となります。例えば「中二病」タイプは

  • 証明マインドセット
  • 獲得フォーカス
  • 自信はなく不安定

という組み合わせの人を指し、このタイプは引っ込みがちで努力を好まず、自分の能力に自信が持てないタイプなのに、自分の能力のなさを周囲に知られたくない、という診断となります。そんな「中二病」タイプは

  • 成長マインドセットを持つ
  • オンザジョブトレーニングで自信をつける
  • 獲得フォーカスを十分に生かす環境を作る

という方向に持っていけばやる気が出せるようになりますよ、といった具合にタイプ別に細かく具体的に「処方箋」を教えてくれます。

大事なのはマインドセットとフォーカス、という考え方

自分に自信があるかどうか、というのは一般的な問いかけなので、なんとなく自分で心当たりがあるかと思います。ですが「マインドセット」という考え方や「フォーカス」という考え方は初めて聞いた方も多いのではないでしょうか。

実はビジネス書マニアの間ではこの「マインドセット」という考え方は広く浸透しています。2016年に発売された「マインドセット:「やればできる!」の研究」という本がビル・ゲイツによって絶賛されて、一気に広まった考え方なのです。

マインドセット「やればできる! 」の研究

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What you believe affects what you achieve

What you believe affects what you achieve Revisiting Carol Dweck's fascinating work on the growth mindset. Even as my glasses have gotten smaller and hopefully cooler over the years, I am still a proud member of Nerd Nation. As such, I read a lot of books-usually more than 50 a year.

ジャスティン・ビーバーに紹介されて一気に世界的にバズったピコ太郎のようなものです。

このマインドセットというのは「考え方のクセ」「思考傾向」のことを指します。人は必ず

  • 証明マインドセット: 自分はすごい、と相手に証明したい。すごい人と思われたい
  • 成長マインドセット: 自分が成長することに焦点を置いている。すごい人になりたい

この2つのマインドセットのどちらかを持っています。
他人に対して自分の能力をわかってほしい、他人と比べて自分の能力は高いかどうかが気になる、という証明マインドセットから、他人の目は気にせず、自分が過去の自分と比べて成長しているかどうかを気にする成長マインドセットにどう変化させていくか、というのが物事がうまく回りだす秘訣である、という考え方です。

そして「フォーカス」という考え方。これは「心の焦点」を指します。これもまた考え方の傾向と言えるものです。

  • 獲得フォーカス: 目標を達成することを「利益を得る」「称賛を獲得する」「リスクに挑戦する」と考える捉え方
  • 回避フォーカス: 目標を達成することを「安定的に信頼の高い仕事ができた」「批判されずに済む」「リスクを回避した」と考える捉え方

どちらのフォーカスなのかによって目標に対するアプローチや考え方が変わります。単純に言い換えると「積極的か保守的か」といった感じです。例えば獲得フォーカスの人はOJTを好み、回避フォーカスの人は入念な準備を好みます。

この「マインドセット」と「フォーカス」、それに「自信があるかどうか」によって人間を分析しよう、というのがこの本のメインテーマです。

自分だけではなく相手のフォーカスも大事

この本の面白いところは、自分のタイプを自分で分析していい成果を出せるように変えていこう、というだけではなく、相手のフォーカスも分析して、どう付き合って行けばよいか、どのように変えていけばよいか、という点に触れていることです。仕事をする上でチームメンバーや上司など、色々な人と関わっていく上で、その人がどういう仕事の仕方を好むのか、というのは結構重要なことです。フォーカス、マインドセット、という考え方を知っていると、その人にあった仕事の頼み方や付き合い方ができるようになります。

マインドセットのシフト、スキルと自信の身につけ方、力を発揮する場を作るには

最終的にこの本は、それぞれのタイプが実力を十分発揮するために必要なやり方を提示しています。それが

  • マインドセットのシフト
  • スキルと自信を身につける
  • 力を発揮する場を作る

という3点です。
マインドセットに関しては「証明マインドセット」から「成長マインドセット」に変えていくことがベストですので、その心の持ち方を示しています。
一方フォーカスに関しては固定的である、という考え方で、獲得フォーカス、回避フォーカスそれぞれのタイプで輝けるような環境の整え方がレクチャーされています。例えば獲得フォーカスの人には

  • ポジティブで楽天的な環境を整える
  • 目標をはっきり持たせる
  • 大きな絵を描く
  • 決断は「どちらがよりプラスが多いか」を考えさせる

などの方法、一方回避フォーカスの人には

  • 建設的な批判と悲観主義でアプローチする
  • 何を得るかより何を避けるべきかをはっきりさせる
  • じっくりと仕事に取り組めるようにする
  • 具体的な指示を与える

などの方法で環境を整えると実力を発揮する、というものです。これらの考え方は非常に論理的で、自分はもちろん、他人に対してもどのように準備してあげると嬉しいのか、などがわかります。

まとめ

ということで初日は「やる気が上がる8つのスイッチ」をご紹介しました。社会心理学の観点から人間を分類し、タイプ別にアプローチをする、という手法は合理的で、説得力の高いものでした。

ちなみにこの本はもう一つ「やり抜く人の9つの習慣」という本と合わせて読むと立体的に理解できます。こちらの本も、文中に出てきた「マインドセット:「やればできる!」の研究」と合わせて、後日どこかのタイミングでご紹介いたします。

やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学

Amazon.co.jp: やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学 eBook: ハイディ・グラント・ハルバーソン, 林田レジリ浩文: Kindleストア

それではまた明日、お会いしましょう。