AI壁打ちシリーズ : キャリア相談

AI壁打ちシリーズ : キャリア相談

この記事では、キャリア相談における現状の課題を明らかにし、新たな選択肢として注目されるAIの利点と弱点について解説します。さらに、AIを活用したキャリアの棚卸しや方向性設定の具体例も紹介することで、より効果的なキャリア形成の一助となる情報を提供します。
Clock Icon2025.07.07

こんにちは。組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。

多くの場合、企業内でキャリアの相談を必要とする人数に対して、キャリアの相談に乗ることができる人数は不足しています。

この記事では、キャリア相談における現状の課題を明らかにし、新たな選択肢として注目されるAIの利点と弱点について解説します。さらに、AIを活用したキャリアの棚卸しや方向性設定の具体例も紹介することで、より効果的なキャリア形成の一助となる情報を提供します。

キャリア相談の課題

多くのマネージャーはキャリアの専門家ではありません。中にはキャリア支援への関心が高く、個人的に知見を蓄え、手厚くサポートしてくれるマネージャーもいますが、そうした存在は稀です。

人事にキャリアコーチングができる人がいることもありますが、相談可能な人数は限られています。また、身近な上司や先輩に相談するのに比べて、評価への影響への懸念など、心理的なハードルも高くなりがちです。

ここで、AIが相談先の新たな選択肢になります。

AIにキャリア相談する利点

AIにキャリア相談する利点は以下の通りです。

  • 豊富な情報量 : キャリア相談に不慣れなマネージャーと比較し、より豊富な知見を元に回答が得られる可能性が高い
  • アクセシビリティ : いつでも気軽に相談でき、日程調整が不要
  • 心理的安全性 : 質問することへの心理的な障壁が低く、利害関係がないため、率直な相談が可能

AIの弱点

一方で、AIにも弱点があります。

  • 感情面への限界 : 共感など感情を含んだきめ細やかなやり取りは、現状のAIでは人間のようにはできない
  • 文脈理解の限界: 深く関わっている上司や先輩であれば、普段からの背景を踏まえて回答してくれるが、AIの場合は必要な背景を自分で言語化して伝えなければ、前提から漏れてしまう可能性がある

キャリアの棚卸しに必要な要素

キャリアの棚卸しに必要な要素の典型例についてAIへの相談例を添えて紹介します。

  1. 価値観の整理
  2. キャリアの方向性を定める

価値観の整理

仕事に対してどのような価値観を持っているか整理します。

価値観の整理をする例

相談者の発言1

あなたはキャリアアドバイザーです。キャリアに関する相談にのってください。

私の価値観の整理を手伝ってください。

価値観が以下の3種類に分類されるとして、私が各分類を何%ずつ重視しているのか診断するための質問をしてください。

# 分類の規準
1. 達成・成長 : 自分の成長やスキルの向上、目標達成を通じて得られる充実感を重視するタイプです
2. 意義・目的 : 自分の仕事が持つ意味や、社会に与える影響を重視するタイプです
3. 環境・条件 : 働く場所、時間、人間関係、報酬といった外部的な要素を重視するタイプです

AIの発言1

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## あなたのキャリア価値観を診断するための質問

あなたのキャリア価値観をより正確に診断するために、いくつかの質問をさせてください。以下の質問にお答えいただくことで、あなたが「達成・成長」「意義・目的」「環境・条件」の各要素をどの程度重視しているかを明確にしていきます。

それぞれの質問に対し、あなたの**本音に近い**考えや行動を教えてください。

### 達成・成長に関する質問

1.  現在の業務で、最もやりがいを感じるのはどのような時ですか?具体的なエピソードがあれば教えてください。(例:難易度の高い技術課題を解決した時、新しいスキルを習得し実務で活かせた時など)
2.  もし、給与が現状維持のままでも、自身のスキルアップやキャリアアップに直結するようなプロジェクトがあれば、積極的に参加したいと思いますか?
3.  過去に、自分の専門外の知識やスキルを学ぶために、個人的な時間や労力を費やした経験はありますか?それはどのような内容でしたか?

### 意義・目的に関する質問

1.  あなたの仕事が最終的にどのような人々に、どのような良い影響を与えていると感じますか?その影響について具体的に教えてください。
2.  もし、あなたの得意な技術を活かせる仕事があったとして、それが社会的にあまり意義を感じられない(例:倫理的に問題がある可能性のあるサービス、環境負荷の高い事業など)ものであれば、その仕事を選びますか?
3.  仕事を選ぶ際、企業のミッションやビジョンに共感できるかどうかは、あなたにとってどの程度重要ですか?

### 環境・条件に関する質問

1.  転職を検討する際、現職より年収が下がる可能性があっても、ワークライフバランスが劇的に改善されるのであれば、その転職先を検討しますか?
2.  人間関係が良好で、チームワークが非常に良い職場環境と、個人の成果が正当に評価され、高収入が得られるが人間関係はドライな職場環境では、どちらをより魅力的だと感じますか?
3.  あなたのキャリアにおいて、「雇用の安定性」はどの程度重要だと感じていますか?具体的な経験(例えば、景気の変動による影響など)があれば教えてください。

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これらの質問への回答を通じて、あなたの価値観の傾向が見えてくるはずです。ご自身の考えを整理するつもりで、率直にお答えください。

相談者の発言2

前提として、私は組織開発部門の責任者として、プレイングマネージャーをしています。

人事の経験は6年で、もとは15年以上ウェブエンジニアをしていました。

>現在の業務で、最もやりがいを感じるのはどのような時ですか?具体的なエピソードがあれば教えてください。(例:難易度の高い技術課題を解決した時、新しいスキルを習得し実務で活かせた時など)

仕組みを整え、それが想定通りにワークして、広範囲にわたる課題の解決ができたとき

>もし、給与が現状維持のままでも、自身のスキルアップやキャリアアップに直結するようなプロジェクトがあれば、積極的に参加したいと思いますか?

参加したいです。

>過去に、自分の専門外の知識やスキルを学ぶために、個人的な時間や労力を費やした経験はありますか?それはどのような内容でしたか?

ほぼ毎日2時間以上は学習するようにしています。基本的によほどの出来事がない限り、業務時間外で全く学習しない日はありません。これは10年以上前からの週間です。

>あなたの仕事が最終的にどのような人々に、どのような良い影響を与えていると感じますか?その影響について具体的に教えてください。

全社員が影響の対象になります。ただし、取り組みの影響が間接的で多変数うなためどの範囲にどの程度の影響が発生したかの確認は難しいところです。また、情報発信を継続的に行っているため、社外の人事・組織分野の活動に関わる方への情報提供を通して社外への影響もあるはずです。

>もし、あなたの得意な技術を活かせる仕事があったとして、それが社会的にあまり意義を感じられない(例:倫理的に問題がある可能性のあるサービス、環境負荷の高い事業など)ものであれば、その仕事を選びますか?

選びません。

>仕事を選ぶ際、企業のミッションやビジョンに共感できるかどうかは、あなたにとってどの程度重要ですか?

非常に重要です。

>転職を検討する際、現職より年収が下がる可能性があっても、ワークライフバランスが劇的に改善されるのであれば、その転職先を検討しますか?

いいえ。もともと仕事は好きなのでよほど極端に多忙でなければ業務量の多さは気にしていません。

>人間関係が良好で、チームワークが非常に良い職場環境と、個人の成果が正当に評価され、高収入が得られるが人間関係はドライな職場環境では、どちらをより魅力的だと感じますか?

"人間関係が良好で、チームワークが非常に良い職場環境" が魅力的に感じます。ただし、家庭のことを踏まえると一定水準の収入は必要になります。

>あなたのキャリアにおいて、「雇用の安定性」はどの程度重要だと感じていますか?具体的な経験(例えば、景気の変動による影響など)があれば教えてください。

特に気にしていません。自分自身がどんな環境でも貢献できるようになっていれば、どうにでもなると思っています。

AIの発言2

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## あなたのキャリア価値観の診断結果

詳細なご回答ありがとうございます。あなたのこれまでのご経験と、各質問への具体的なお答えから、キャリアにおける価値観の重視度を診断いたしました。

あなたの価値観は、以下の割合で重視されていると考えられます。

* **達成・成長: 55%**
* **意義・目的: 35%**
* **環境・条件: 10%**

### 診断のポイント

#### 達成・成長 (55%)
このカテゴリへの重視度が最も高いと診断しました。
* 「仕組みを整え、それが想定通りにワークして、広範囲にわたる課題の解決ができたとき」にやりがいを感じるという点は、**目標達成と貢献**への強い志向を示しています。
* 給与が現状維持でもスキルアップ・キャリアアップに直結するプロジェクトへの参加意欲が高いこと、そして「ほぼ毎日2時間以上は学習」を10年以上続けているという習慣は、**知識やスキルの習得、専門性の向上**に対する並々ならぬ情熱とコミットメントを表しています。あなたは、自身の成長と能力向上そのものに大きな価値を見出していると言えるでしょう。

#### 意義・目的 (35%)
次に重視度が高いのがこのカテゴリです。
* 「全社員が影響の対象になる」という言葉や、社外への情報発信を通じた影響を意識されていることから、「より広い範囲に影響を与える仕組みづくり」という強みと合わせて、**自分の仕事が持つ意味や社会貢献性**を非常に重視していることが伺えます。
* 「社会的にあまり意義を感じられない仕事は選ばない」という明確な意思表示や、「企業のミッションやビジョンへの共感」が非常に重要であるという点は、仕事の**目的や大義**が、あなたにとって不可欠な要素であることを強く示しています。

#### 環境・条件 (10%)
このカテゴリの重視度は、他の2つに比べて低いと診断しました。
* 年収が下がってもワークライフバランスが改善される転職を「いいえ」と即答し、「もともと仕事は好きなのでよほど極端に多忙でなければ業務量の多さは気にしていません」と回答されていることから、**ワークライフバランス**に対する優先順位は、一般的な意味での「仕事量を減らす」ことよりも、仕事そのものへの熱意が上回っているようです。
* 「雇用の安定性」を「特に気にしていません。自分自身がどんな環境でも貢献できるようになっていれば、どうにでもなると思っています」と回答されているのは、自身の能力と適応力への絶大な自信の表れであり、外部的な安定性よりも**自己の能力による安定性**を重視していることを示しています。
* 「人間関係が良好で、チームワークが非常に良い職場環境」を魅力的と感じる一方で、「一定水準の収入は必要」という条件が付いていることから、**良好な人間関係や十分な報酬**は重要であるものの、それらが「達成・成長」や「意義・目的」を犠牲にしてまで追求する最優先事項ではない、というバランス感覚が見て取れます。

### まとめ

あなたは、自身の専門性を高め、継続的に成長し続けることに最も大きな喜びを感じ、そのスキルを通じて社会や組織にポジティブな影響を与えることに強い意義を見出すタイプであると言えます。
環境や条件は、あくまでもその「達成・成長」と「意義・目的」を追求するための土台として捉えており、それ自体がキャリア選択の主要な動機となることは少ないでしょう。

この診断結果が、あなたの今後のキャリアプランを考える上で、ご自身の内なる羅針盤として役立つことを願っています。

キャリアの方向性を定める

キャリアに関して、自分の価値観を踏まえつつ、次のステップを定めると、そこに向けて必要な取り組みが把握しやすくなります。

中長期のキャリアを定める場合もあると思いますが、変化の激しい現状で、あまり先のことを検討しすぎても前提が変わる可能性が高いため、一手先を見据えるくらいがちょうどよいのではと思っています。

キャリアの方向性を定める例

相談者の発言1

あなたはキャリアアドバイザーです。キャリアに関する相談にのってください。

私の次のキャリアのステップを整理するのを手伝ってください。

現在、私は組織開発部門の責任者として、プレイングマネージャーをしています。
人事の経験は6年で、もとは15年以上ウェブエンジニアをしていました。

基本的にはこのまま人事・組織に関わる仕事をする想定で、その分野は全社の人事でも事業部の人事でも開発関連部門の人事でも構いません。

人事としては、前職でエンジニア採用責任者の経験があり、前職・現職ともに人事評価制度の責任者を経験しました。現在は4年間組織開発の分野で様々な組織課題を扱っています。人事分野の中では労務はほぼ関わっていません。

私の個人のミッションとしては、「人が成長し、充実して働ける場を作る」を掲げていて、それは所属企業だけではなく、世の中全体をターゲットにしています。現在も、情報発信力の高い企業に所属し、社内での経験を元に社外にブログや登壇で発信をしつつミッションに沿った働き方ができています。

個人の属性としては、戦略・構想から始まり、計画・遂行、完了後の継続改善など、上から下まで一気通貫で取り組むことが得意だと思っています。そのため、人事系の役員や人事マネージャーでもプレイングに一切関与しない立場は向いていないと思っています。

これらを踏まえて、組織開発部門の責任者の現状の一方先のステップアップとしてどのような選択肢があるでしょうか?

AIの発言1

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## あなたの次なるキャリアステップ:専門性と影響力の最大化

組織開発部門の責任者としてプレイングマネージャーを務め、長年のウェブエンジニア経験と人事経験を融合させているあなたにとって、「人が成長し、充実して働ける場を作る」というミッションは、まさにあなたのキャリアの核ですね。戦略から実行、そして継続改善まで一気通貫で取り組む強みと、プレイングに関わり続けたいという志向を踏まえ、現状の先にあるキャリアステップを整理しましょう。

あなたの専門性とミッションを最大化できる、いくつかの選択肢をご提案します。

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### 1. 組織開発・HRBP(HR Business Partner)としての深化と影響力拡大

あなたの現在の組織開発の経験と、ウェブエンジニアとしてのバックグラウンドは、特にテクノロジー企業において非常にユニークで強力な強みとなります。

* **人事戦略責任者 / 事業部人事責任者(Tech領域特化)**
    * **役割:** 特定の事業部、特に開発部門やテック部門の**人事責任者**として、組織開発、人材育成、評価制度設計、採用戦略を統合的にリードします。単なるオペレーションではなく、事業戦略と人事戦略を密接に連携させ、事業成長に貢献するプレイングマネージャーとしての役割を担います。あなたのエンジニアバックグラウンドが、現場の課題理解とソリューション提案に活かされます。
    * **なぜ向いているか:** 「全社の人事でも事業部の人事でも開発関連部門の人事でも構いません」という意向に合致し、かつ「戦略・構想から始まり、計画・遂行、完了後の継続改善など、上から下まで一気通貫で取り組む」という強みを最大限に活かせます。プレイング要素も多分に残ります。
    * **その先のキャリア:** 複数事業部の人事統括、あるいは全社的な人事戦略立案を主導する**CHRO(Chief Human Resources Officer)**への道が見えてきます。CHROであっても、スタートアップや成長企業であれば、組織開発や文化醸成においてプレイング要素が求められる場合も多いでしょう。

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### 2. 人事×プロダクト・テクノロジーへの展開

あなたのウェブエンジニアとしての深い知見と、人事・組織開発の経験を組み合わせることで、新たな価値を生み出すキャリアパスです。

* **HRTechプロダクトマネージャー / プロダクトオーナー**
    * **役割:** 外部のHRTech企業や自社の新規事業として、**人事領域のプロダクト開発**をリードします。あなたの「人が成長し、充実して働ける場を作る」というミッションを、プロダクトという形で世の中に広めることができます。戦略立案からユーザー体験設計、開発ディレクション、市場投入、改善まで、一気通貫で携わることが可能です。
    * **なぜ向いているか:** 「戦略・構想から始まり、計画・遂行、完了後の継続改善など、上から下まで一気通貫で取り組むこと」が得意というあなたの強みが、プロダクトマネジメントにそのまま活かせます。エンジニア経験と人事経験のハイブリッドなスキルセットが、この分野では非常に希少価値が高く、大きな競争力となります。
    * **その先のキャリア:** 自身でHRTechスタートアップを創業する、あるいは複数プロダクトのプロダクト責任者(CPO:Chief Product Officer)として、より広範なビジネスインパクトを追求することも可能です。

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### 3. 組織・人材開発専門のコンサルタント / アドバイザー

社内外問わず「人が成長し、充実して働ける場を作る」というミッションを直接的に実現していく道です。

* **独立系組織開発コンサルタント / 企業内組織開発アドバイザー**
    * **役割:** 特定の企業に所属せず、複数のクライアント企業に対して、あなたの持つ組織開発、人事評価制度、エンジニア採用などの知見を提供します。あるいは、情報発信力の高い現在の企業に留まりつつ、社外のアドバイザーとして活動する範囲を広げることも考えられます。あなたの「世の中全体をターゲットに」というミッションをダイレクトに追求できます。
    * **なぜ向いているか:** 「情報発信力の高い企業に所属し、社内での経験を元に社外にブログや登壇で発信をしつつミッションに沿った働き方ができている」現状から、さらに一歩踏み込み、より多様な組織の課題解決に直接貢献できます。自身の裁量が大きく、戦略立案から実行支援まで、一気通貫で関わる機会も豊富です。
    * **その先のキャリア:** 組織開発分野の第一人者として書籍を執筆したり、大規模な講演活動を行ったり、人材育成プログラムを開発・提供するなど、教育者・思想家としての影響力を拡大する道も考えられます。

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### 次のステップを考える上でのアドバイス

これらの選択肢は、いずれもあなたの**「戦略・構想から始まり、計画・遂行、完了後の継続改善まで一気通貫で取り組むことが得意」**という強みと、**「プレイングに関与し続ける」**という志向に合致しています。また、「人が成長し、充実して働ける場を作る」というミッションを、現在の立ち位置よりもさらに広い範囲で実現できる可能性を秘めています。

まずは、それぞれの選択肢が具体的にどのような働き方になるのか、実際にその道を進んでいる方々の話を聞いてみることから始めてみてはいかがでしょうか。あなたの経験と情熱があれば、きっと新たな道が拓けるはずです。

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