継続的パフォーマンスマネジメントに取り組みはじめた

2022.11.01

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こんにちわ。従業員体験( EX ) の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
8月からエンジニアリング統括室内で継続的パフォーマンスマネジメントに取り組みはじめました。
  • 継続的パフォーマンスマネジメントとはなにか
  • 継続的パフォーマンスマネジメントの取り組み
についてまとめていきます。

継続的パフォーマンスマネジメントとは?

継続的パフォーマンスマネジメントとは、その名の通り継続的にパフォーマンス改善につながるマネジメントを実施するマネジメント手法です。対比としては、半年・年度の評価制度・目標設定を元に半年や年度のタイミングのみでフィードバックを行い、パフォーマンス向上の取り組みをするような方法です。
仮に評価制度の評価タイミングが半年や年度だったとしても、定期1on1などを通した継続的な対話を通して継続的パフォーマンスマネジメントを実施することができます。
そもそもフィードバックは即時であるほど、好ましいものです。半年間にあった出来事をすべて正確に伝えることや、受け手もすべてを正確に思い出すことができますか?
本来は半年・一年あればフィードバックすべき内容は大量にあるはずです。しかし、半年・年度のフィードバック面談はたいてい1時間前後であり、それだけの時間ですべてを伝えることは困難です。
そう考えると、本当にメンバーのパフォーマンス向上に寄与したいなら、リアルタイムでパフォーマンス向上を支援するのが当然とも考えられます。自走度合いが高いメンバーに関して必要な並走が手薄で済む場合もあるかもしれませんが、その場合でも進展状況を週次か隔週くらいではやりとりしておきたいところです。

継続的パフォーマンスマネジメントの取り組み

職種別評価基準の整備

まず、職種ベースでグレードごとの評価基準を整備しました。
グレードごとの評価基準を作ることは、成長の階段を用意することにもつながります。
整備したのは以下の4つです。
  • キャリアパス
  • 業務一覧
  • スキル一覧
  • マインド一覧

キャリアパス

私達の業務は従業員体験の向上です。
この職務を行う職種として、 Employee Experience Engineer(以降 EEE) という職種を定義しました。
また、この職種に4つの段階を用意しました。
  • Master Employee Experience Engineer(以降 MEEE)
    • 従業員体験を向上させることや、従業員体験に関わる知識・スキル面での支柱
  • Senior Employee Experience Engineer(以降 SEEE)
    • 従業員体験を向上に関して、問題を解決するための大規模、中規模プロジェクトを推進する
  • Employee Experience Engineer(以降 EEE)
    • 従業員体験を向上に関して、問題を解決するための小規模プロジェクトの推進や、個別のタスクを単独で遂行する
  • Junior Employee Experience Engineer(以降 JEEE)
    • 従業員体験を向上に関して、問題を解決するための個別のタスクをサポートを受けつつ遂行する
実際には Job Description 形式でより詳しい役割と業務の情報をまとめています。
各キャリアパスは一定範囲の評価グレードと紐付いています。
あくまで教科書的に用意したキャリアパスなので、自分の強みを加味してこれ以外の役割を担当したい場合はいつでも相談してもらえるように伝えています。これからの時代、職種「わたし」みたいな尖った人も珍しくないと思いますので。

業務一覧

EEE として実際に行う必要のある業務を一覧化しました。
そして、それぞれの業務がどのキャリアパスで担当するものかをまとめました。
  • 業務1は全体を推進する MEEE が取り組むもの
  • 業務2は個別業務を担当する EEE, JEEE が取り組むもの
というような対応関係です。

スキル一覧

各業務を遂行するために必要となるであろう知識・スキルを一覧化しました。
それぞれどの業務を紐付いているかを参照可能にすることで、どの知識・スキルがどのキャリアパスで必要か確認可能にしています。
個別の業務以前に基礎知識として必要なものも存在していて、それらは「Basic Skills」として属性を付けて区別しています。例えば、従業員体験分野における基本的な概念などです。

マインド一覧

部門のカルチャーや職務特性を踏まえて必要となるマインドを一覧化しています。
例えば、会社全体の文化である CLP を踏まえつつ、その中でも特に自分たちにとって意識すべきものとして
  • リーダーシップ
  • やってみる
  • 楽しむ
  • 情報発信
などを含めています。
また、組織開発系の部門として特に大切になる要素として
  • 中立性 - 片側の意見を鵜呑みにせず、事実と解釈を区別し、中立的に物事を捉えること
  • 部外信頼 - 各所からの信頼を大切にする
などを含めています。
さらに、開発バックグラウンドのメンバーのみが集まる組織開発の部門ということで
  • 開発者目線
というマインドも含めています。
これらに対する水準をキャリアパスごとに難易度が上がるように定めています。

整備手順

職種別評価基準の整備は以下のように実施しました。
  1. 職務分析の実施
    1. 業務の棚卸し
    2. 棚卸しした業務をキャリアパスごとに分類
    3. 各業務に必要となるスキルの洗い出し
  2. 部門にとって必要となるマインドの洗い出し
  3. 各情報を Notion のデータベースでまとめる
  4. 継続的パフォーマンスマネジメントの説明資料の作成
  5. 継続的パフォーマンスマネジメントの説明会の実施
主に私単独で2週間程度で個別業務の隙間を見つつ素案を整備し、上長にレビューしてもらって仕上げました。
前職でも同じような仕組みを作ったことがあり、慣れている前提もあるのでやったことがない人よりは早かったと思いますが、膨大に見えて意外とそこまでは時間がかからないものです。もともとある程度の規模の会社であれば部門内の業務を棚卸しして、把握可能にしていると思います。その場合、分析対象がかなり整っている状態からスタートできます。

1on1

職種別評価基準の整備ができたら、それらを活用して実際に継続的パフォーマンスマネジメントの実施です。
主軸となるのは週次の 1on1 です。ここで以下のようなことをしています。

現状確認

出だしとしては、各メンバーと職種別評価基準を参照しながら現在地の確認を実施しました。
業務一覧、スキル一覧、マインド一覧を確認しつつ、どの項目できているか、できていないかを確認しました。
この際に、できていない項目の場合、何をすればできたとみなせるか、そのために何をすればいいかを相談しつつ、相談した内容を各項目のメモ欄に残しつつやりとりしました。

キャリア支援

同じく出だしとして、
  • 本人がどのような価値観を持っているか?
  • どのような強みを持っているか?
を整理してもらった上で、どこを目指すかについて伴走しつつ整理してもらいました。
内容的には以下の記事の「アライアンスオンボーディング」で自己分析をしてもらってあるので、何も準備していない状態よりは進んだところからのスタートでした。
キャリアに対する整理が終わり、大枠で目指す方向性が固まったあとは毎週の1on1で進展や気持ちの変化があるか常に確認しています。

継続的支援

ここが継続的パフォーマンスマネジメントの主役とも言える部分です。
職種別評価基準を参照しながら、未習得の部分を一つずつ伸ばす相談をし、伸ばす取り組みをしてもらい、伸びた結果を確認する活動です。週次で確認しています。
ただし、毎回すべての項目を確認できるはずもないので、基本は本人に委ねつつ、壁にあたった部分や取り組み対象に困った場合に相談してもらう形にしています。
なお、これらの他に日々の業務を通して新たに経験したこと、新たに知ったこと、熟練度が上がったことを毎週整理してもらうことで、自分が成長していることを把握してもらうようにしています。例えば、全く未経験の業務に取り組んだとき、それは間違いなく成長のはずなのですが、改めてそう認識しないと意外と「自分は全然成長していない・・・」と思ったりしがちです。ふわっとした主観による解釈ではなく、事実に基づき成長を自覚するお手伝いをします。

自習支援

部門の活動に必要となる知識について、自習で習得できるように少しずつ整備しています。
第1段として、従業員体験入門となる基礎知識を自習可能にしました。
この記事で紹介したものです。
余力があるときに順次拡大していきます。

学習するチーム

私達の部門では業務の多くの範囲が未知のものです。
新しいことを身に着けて行くことが重要になります。
そのため、普段の業務時間に定期的な学習を組み込むようにしています。

強み強化

強みを活かした組織づくりをコンセプトにしていることもあり、自分たち自身が強みをもって活動していこうと考えています。
そのため、「強み強化タイム」として各自週1時間確保して自習することにしています。

定期勉強会

現在私達の部門では領域を分けて動いています。それぞれの領域ごとに必要となる知識について私とそれぞれのメンバーで週次の定期勉強会を通して学んでいます。直近必要となる業務の理解度を上げつつ、共通言語を作っていくことにもなっています。

ペアワーク

私達はソフトウェアエンジニアのバックグラウンドがあることから、ペアワークが持つ価値を自覚しています。
そういった背景もあり、お互いの知識交換や育成の意味で必要に応じてペアワークを実施するようにしています。
以下は、以前まとめた記事です

まとめ

常にパフォーマンス向上に向けて取り組み継続的パフォーマンスマネジメントについて、
  • 継続的パフォーマンスマネジメントとはなにか
  • 継続的パフォーマンスマネジメントの取り組み
のそれぞれについてまとめました。
システムも CI, CD を通しつつ、設計も業務のプロセスも継続的に進化させていくのがソフトウェア開発では当たり前になりつつあると思います。チームのマネジメントも同様でありたいところです。
※社内の方々で、この取組を具体的に知りたい方は実際の資料を共有しつつ説明するのでお声がけください