[レポート]初音ミクが拓いたUGCを支えるITインフラのお話 #dbts2015 #be_crazy_about_db_tech
はじめに
こんにちわ、川原です。
今日(9/10)、明日(9/11)の日程で db tech showcase Sapporo 2015 が札幌で開催されています。 db tech showcase とは、ということで公式サイトの引用が以下です。
db tech showcase は、世界中からトップ技術者が集まり、”データベース技術のオモテもウラも語る” をテーマに、最先端テクノロジー、現場で得たノウハウ、活用事例を共有するテクノロジーカンファレンスであり、データベースに携わるすべての技術者に「学び」「気づき」「変化」を提供する場です。
公式サイトのセッション一覧を見て頂けるとわかると思いますが、DB関連の興味深いセッションがたくさんあります。札幌でこのレベルのセミナーはあまり開催されません。 ということで行ってきましたので、聞いたセッションのうちクリプトンさんのものをレポートしたいと思います。
セッション情報
タイトル:初音ミクが拓いたUGCを支えるITインフラのお話 講話者:クリプトン・フューチャー・メディア株式会社 林 禎康 さん
UGCとは
User Generate Contentの略 例えば、食べログの口コミ情報やYoutubeにアップロードされる動画など。
会社紹介
音で発想するチーム
という方針の元、以下のチームがあります。
- Sonicwireチーム SONICWIRE(後述)を担当
- モバイルコンテンツチーム 携帯コンテンツを担当
- CGMチーム CGMに関わる業務を担当
- Vocaloidチーム 初音ミクの音声データベースを担当
システム開発の歴史(抜粋)
2002: 北海道大学と協同で音のあいまい検索エンジンの開発(PicoLisp) 2004: 初のVocaloid「MEIKO」 2007: Vocaloid「初音ミク」 2011: Twitterサイネージ表示システム「nasita」 2015: スマホ向け「初音ミク ぐらふぃコレクション」
SONICWIRE
- 世界最大規模のサウンド配信サイト
- 100万件以上の音の「素材」
- クリエイター向け
当初のシステム構成
- Webサーバー
- DBサーバー(MySQL)
- ストレージ
- ネットワーク(100Mbps)
→サービスが普及してきて回線状況が逼迫するようになってきた →1Gbpsに回線増強
AWSの導入
- S3とCloudFrontを導入して、オンプレ + AWSなハイブリッド構成に
- なぜ全てAWSに移行しなかったか? →保有コンテンツ量が多かった(数十TB)。その場合、S3の費用負担が重い →素材にはよく売れるものと、あまり売れないもの、という遍在性がある →売れる素材(よくダウンロードされるもの)はAWSに配置
- AWS移行については、クラスメソッド社のメンバーズに加入することで下記メリットあり
- CloudFront費用に関するAWSリセラー割引
- AWS全般に関する技術的サポート
PIAPRO
- コンテンツ投稿サービス
- 著作権の保護に関して
- 初音ミクと創作の連鎖
- 色々なメディアとの連携
- その様子がGoogle chromeのCM放送に
- 初音ミクの派生キャラが誕生
システム構成
- WEBサーバー
- DBサーバー(MySQL)
- memcachedサーバー
- レコメンデーションエンジン(Cicindela) →ブックマーク情報などを元にレコメンドしている
- CDNサービス →IIJ社のCDNサービスを使用
初音ミク ぐらふぃコレクション(グラコレ)
- スマホゲーム(WEB⇔Unity)
システム構成
- lvs load balancer
- WEBサーバー
- DBサーバー(MySQL)
- Memcache
- さくらクラウドを使用
サービスとしては、アーキテクチャよりアプリレベルの改善(データ構造、SQLのスロークエリ)を頑張った MySQLのレプリカサーバー使ってKPI分析(マスタに負荷をかけずに分析)
SONOCA
- スマホ用音楽カード(音楽配信サービス)
- Android、iOSに対応
システム構成
- さくらクラウドを使用
- オンプレ、クラウドのハイブリッド構成 →新しいサービスであり、サーバ負荷の度合いが見えていなかった →通常はオンプレ側だけを使用。新コンテンツがでる等、負荷が高くなる時だけクラウドのサーバーを稼働させている →その場合、DNSで向き先をオンプレからクラウド側にを変える
所感
オンプレ、クラウドの特徴を理解して両者をうまく活用されているな、という印象を持ちました。 自社システムにクラウドサービスを組込んでいくということ自体は、一般的になってきたと思っており、今後もその傾向は続くと考えています。 が、単純なディスク単価などの面ではオンプレの方が有利な点もあり、適材適所でオンプレは残っていくんだろうな、と感じました。