[レポート] チームビルディングのためのワークショップデザイン #devio_day1 #sub3
4/11(火)クラウド、ChatGPTなど最新技術を学ぶ「DevelopersIO Day One」
4/11に開催されたDevelopersIO Day Oneの中で、「チームビルディングのためのワークショップデザイン」というテーマで15分LTをしていました。 スライド内容に補足を入れる形で当日のレポートを。
当日のスライド
自己紹介
青学WSD29期、認定ワークショップデザイナー
CX事業本部で、組織開発(OD)やチームビルディングのためのワークショップを
対話型鑑賞(ACOP)を学んで5年、最近はプロセスワークを学んでます
青学WSD=青山学院大学 ワークショップデザイナー育成プログラム、2018年に29期生として学び、その後に認定ワークショップデザイナー資格を取得してます。
CX事業本部では、ピープルマネジメント課題に対する取り組みを中心に、組織内の関係性づくりや評価制度支援に取り組んでます。
CX事業本部メンバー100人でハイブリッド合宿をしたり。
PjM/PdM/ScMが集まるチームで、高尾山の麓で合宿をしてみたり。
対話型鑑賞は京都芸術大学の講座でACOPを学び早5年。2018年の講座を京都で、2021年の講座をオンラインで受講しました。
プロセスワークは、日本プロセスワークセンターの基礎コースを2022年度に受講してます。
チームビルディングとチーミングの違い
チームビルディングは、チームメンバー間の信頼やコミュニケーションを強化する活動や練習で、主にチームの基盤を築くことに焦点を当てています。
一方、チーミングは、チームが継続的に協力し、学習し、適応するプロセスを指し、変化に対応する能力を重視します。
両者は相互補完的で、効果的なチーム運営には両方の要素が重要です。
※ジピってます
社内でもチームビルディングの相談を受けることが増えているのですが、いい機会のあらためて「チームビルディング」ってなんなのか?について、調べ直して考え直すことは大事ですね。立ち上がったばかりのチームの場合は、求めているものが「チームビルディング」であることは多いと思いますが、立ち上がってしばらく経つチームの場合は、求められているのが「チームビルディング」ではなく「チーミング」だった。ということもあると思いますので、「チームビルディング」と「チーミング」の違いを意識することは大切かと思います。
ワークショップデザインとは何か?
ワークショップとは、コミュニケーションを基盤とした参加体験型活動プログラム。
プログラムデザインは、ワークショップの内容、アクティビティ、スケジュール、進行順序を計画するプロセスです。
ファシリテーションデザインは、ワークショップの進行役がどのように参加者をサポートし、学習やコラボレーションを促進するかに関する設計です。
環境デザインは、ワークショップの開催場所や設備、雰囲気を整えることで、参加者が快適で効果的な学びやコラボレーションができる状況を作り出す設計です。
※ジピってます
ぼくはワークショップデザインを青学WSDで学んでいるので、青学WSDで学んだプログラムデザイン/ファシリテーションデザイン/環境デザインの考え方をベースに、ワークショップデザインについて考えています。
プログラムデザインがなく、進行スライドだけでワークショップを進めているケースを見かけることがありますが、別途プログラムデザインを書き起こすのはオススメです。アクティビティごとにどのような狙いがあるのか?アクティビティごとに、どのようなファシリテーションをするのか?プログラムデザインの粒度でアウトプットされているからこそ、その粒度で場を観察することができますし、リフレクションの粒度も細かくすることができます。
チームビルディングのためのWSデザイン事例
あらためてチームビルディングとは?
チームビルディングは、チームメンバー間の信頼やコミュニケーションを強化する活動や練習で、主にチームの基盤を築くことに焦点を当てています。
チェックイン
アクティビティ:チェックイン
狙い:言いたいことを言うトレーニングを
プログラム:一人一言ずつ、今の気持ちなどを言葉にする。 不慣れな人が多い場合:順番を決める、問いを設ける。 慣れてきたら:順番はポップコーン、問いはなしで。
ファシリテーション:時間がかかりがちなので、タイムキーピングを。しっかり自己開示、しっかり聴く、模範的に。
まずMTGやワークショップの冒頭に入れることの多いチェックインを事例としてご紹介していました。
狙いは「言いたいことを言うトレーニングを」と書いていますが、感情を言葉にする、言いづらいことを口にするなど、自己開示の機会にもなると考えています。自己開示の機会を積み重ねることで、チームビルディングにつながる効果が得られるのではないかと思います。
プログラムは、「一人一言ずつ、今の気持ちなど言葉にする」とアクティビティ内容はシンプルですが、場や参加者に応じてプログラムの工夫が必要になります。チェックインに不慣れな人が多い場合は、チェックイン順番を決めることや、参加者に応じた問いを設けることが必要になります。チェックインに慣れている人が多い場合は、順番はポップコーン(準備ができた人から)に、問いは設けないことがあります。順番を決めないこと、問いを設けないことの狙いは、一人ひとりの自主性を発揮する機会をつくるためと考えています。またLTでは触れてませんでしたが、ワークショップでは後続のアクティビティに合わせて、チェックインの問いを工夫することがあります。例えば後続のアクティビティで感情を言葉にしてもらいたい場合は、チェックインで今の気持ちを話してもらい、感情を言葉にする練習機会とするなど。
ファシリテーションは、まずチェックインは時間がかかりがちなので、しっかりタイムキーピングを。ファシリテーターも参加者として、しっかり聴く、しっかり自己開示していくことが求められます。順番はポップコーンで、問いはなしの場合は、参加者全員でファシリテーションを進めることになるので、ファシリテーションを手放す(介入を控える)ことも求められます。
ロールセッション
アクティビティ:ロールセッション
狙い:役割や期待値のすり合わせを
プログラム:「自分がやるべきこと」「サポートしてほしいこと」「他の人への期待」「最終的に自分がやるべきだと納得できたこと」4つの問いの答えを書き出しシェアする。
ファシリテーション:ファシリの例を用意しておく、言語化が不十分なものに問いかける、模範的な記入にスポットライトを当てる、模範的に振る舞う
ロールセッションは、役割や期待値のすり合わせのためのアクティビティです。
狙いとして、「自分がやるべきこと」「サポートしてほしいこと」で自己認識の自己開示を、「他の人への期待」で他者認識からフィードバックを受け、「最終的に自分がやるべきだと納得できたこと」で自己認識を更新する。この過程を経て、チームビルディング(相互理解や関係構築)を進めていきます。チームの変化を捉えることもできるので、チーミング向きのアクティビティでもあります。
プログラムは以下のようなものになります。
1.自分の名前が書かれた行に、「自分がやるべきこと」を記入する。3分くらい。
2.自分の名前が書かれた行に、「サポートして欲しいこと」を記入する。3分くらい。
3.他者の名前が書かれた行に、「他の人への期待」を記入する。アサイン先がわからないものはミスターXの行に。3分から8分くらい。
4.自分の名前が書かれた行に、「最終的に自分がやるべきだと納得できたこと」を記入する。
書いたものの共有は人数が少ない時は質問項目ごと、人数が多い時は1と2の記入が終わってから1と2を合わせて共有、4の記入が終わってから4を共有と状況により適宜アレンジ。
ファシリテーションのポイントとしては、ファシリの記入例を用意しておくなど記入をやすくする配慮を。共有タイムで時間に余裕があれば、言語化が不十分なものに問いかけを入れる、模範的な記入内容のものにリアクションするなど、学び気づきを増幅させる働きかけを。
関連記事:プロジェクトアサイン者との期待値を揃えてみよう!ロールセッションについて徹底解説してみた
ロールセッション - Project Sprint (Licensed under CC-BY-SA-4.0)
チーミングのためのWSデザイン事例
チーミングとは?
チーミングは、チームが継続的に協力し、学習し、適応するプロセスを指し、変化に対応する能力を重視します。
OST(Open Space Technology)
アクティビティ:OST(Open Space Technology)
狙い:対話を通じて、チームで継続的に学び合うことを体験する。再現性の高いプログラムを用いて、チーム全員で場をつくる。
プログラム:OSTの基本的な作法に沿って進める。 テーマ出し→マーケットプレイス→セッション 全員で場作りを進めるため、プログラムをつくりすぎないように。
ファシリテーション:チームの目的や目標に沿っているか?ホールドする。
OST(Open Space Technology)は、ホールシステムアプローチという種類のアクティビティです。様々なステークホルダーで集い、課題を持ち寄り仲間を集め、課題解決のためのプロジェクトをつくることができます。参加者の当事者意識や主体性を喚起することができます。5名から2000名といった人数で実施されます。
狙いとしては、OSTによる対話を通じて、チームで継続的に学び合うことを体験することができます。またOSTは、参加者の当事者意識や主体性を喚起することができ、みんなで自主的な場作りを促すことができます。このあたりがチーミングに寄与するポイントかなと思います。
簡易的なものですがプログラムは以下のような流れになります。
1.テーマ出し:各自でテーマを持ち寄る
2.マーケットプレイス:テーマに対して投票する、参加するセッションを決める
3.セッション:テーマ起案をしたホストを中心に、限られた時間でセッションを進める
ファシリテーションは、テーマやセッションが「チームの目的や目標に沿っているか?」をなるべく意識してもらうのがポイントでしょうか。
事前にチームも目的や目標を丁寧に共有する、目的や目標を確認しやすくするのもいいと思います。
セッション中に、セッションテーマを意識し続けてもらうのもポイントになりますが、ここはセッションごとのグループメンバー全員でファシリテーションを進める。ファシリテーション経験のある外部ゲストに、各グループに入ってもらうこともあります。
OSTの詳細はこのあたりで:Open Space Technology Introduction
ふりかえり
LTをやってみて改めて、ワークショップをLTで伝えることの難しさを感じていました。(まぁ15分で伝えられることに限度はある気がしますが)
青学WSDでは、様々なワークショップを体験して実践して、内省した上で背景理論と紐付けて学んでいきます。
ワークショップのような体験学習は、体験して内省しないと学ぶのは難しい。