「不定型なデザイン業務に強くなる」ためのSSOT / SSOT for Communication Design / Figmaイベントレポート #ssottokyo
デザイナーのfujitaです。
8月28日に開催されたFigma「Single Source of Truth TOKYO」イベントにて行われた、「ふわっとはじめるSSOT SSOT for Communication Design - SmartHR / 関口 裕様」のセッションのレポートになります。
イベントの概要は【Figmaイベントレポート / What Single Source of Truth(SSOT) TOKYO? - Figma】をご確認ください。
SmartHRのデザイン組織
- ブランディング統括本部
- コミュニケーションデザイン領域
- プロダクトデザイン統括本部
- プロダクトデザイン本部
- アクセシビリティ本部
今回はコミュニケーションデザイン領域でのお話
コミュニケーションデザイン領域とは?
- 広報・PR
- セールス
- マーケティング
- カスタマーサクセス
- サポート
- プロダクト
- 総務
- 経理
- 採用・人事など
SSOT(Single Source of Truth)の考え方で「不定型」な仕事に強くなる
というのがセッションの主な内容です。
SmartHRでのSSOT実践例
- https://smarthr.design/の公開
- デザインリソースの構造化と展開
- Figmaに用途別にプロジェクトを作成。バナー、プレスリリースの画像など、ここを見れば何がどこにあるかがわかる
- デザインテンプレートの配布
- デザイナーでない担当者でも、テンプレートをつかって画像とテキストを変えるだけで正しいサイズのバナーが作れる
- チームのダッシュボードの作成
- Notionにてチームの成果が一目で見えるようなダッシュボードを作っている
- チームの稼働管理
- スプレッドシートにて一箇所に稼働表をまとめる
- Figmaの機能でいいなと思っているところ
- カーソルチャット。カーソルチャット部分に文字を打ち込むとぶるぶる震えて、共同編集者と挨拶したり反応したり、コミュニケーションが取れる。
実践例からわかること
- 目新しくはなく、当たり前のことをやっている
- 大事にしていることは?→デザインシステム
- デザイン領域を前提にすれば、デザインシステムがSSOT
- そのうえで日頃の細々とした業務をどうやってよりよくやっていくか
ふわっとやりたいSSOT
コミュニケーションデザインの業務領域では、単一・正確であることを求めづらい。共通言語化や共通リソース化も要件定義で悩むことが多く、その場の雰囲気で進めてしまう方が早いという問題もある。
とあるメンバーから出た、良いなと思った言葉
「とりあえず"会場"をつくっておきました」
会場=URL。「会場」という捉え方が直感的。自分たちにメリットがあることを前提とした身体性のある語彙。
信頼できる、関連性のある、参照可能なデザインを提供するために、まず区切られた場所である「会場」を作ることが第一歩。
厳密性は後で良い
整えることや正しさをゴールにせず、まとまっていること、わかるところにあるというのが大事。
重要なのは使われること
難しく考えない。「とりあえず必要なものがここにある」というのができているかを考える。
SSOTを目的にしない。
SSOTってなんだっけ(なぜいいのか)
SSOTとは、「信頼できる唯一の情報源」。信頼できる、関連性のある、参照可能なデータを提供することが目的。
- 信頼できる
- 情報が確かか
- 関連性のある
- 自分に関係あるか
- 参照可能な
- アクセスしやすいか
関連性の強さ+参照のしやすさ=信頼性
使われるシステムは信頼される
システム自体の信頼性が高まるため使われるようになる。
メンバーに信頼される情報源を作ることができれば、使われるシステムになる。
(SmartHR Design System、デザインリソース、テンプレート...などはメンバーに使われるシステムとなっている)
システムが使われる環境は負荷が低い
コミュニケーションコストを下げてベストプラクティスへのアクセスを最短にする。自然と効率的な状況を作る。
レギュラーな事象は最小コストで処理ができ、イレギュラーな事象へ向き合う余力が生まれる。
負荷が低い環境は変化に強い
効率的な状況は非効率な事象への対応ができる環境になる。コミュニケーションデザインにおいて重要。
デザイン職能が最も価値を発揮するのは 不定型で難しい課題への仮説の提供。
不定形な仕事に取り組むための前提としてのSSOT。
なんのためのSSOT?
SSOTは間違いを減らしコストを下げる。
厳密な事象と曖昧な事象を線引き、区別することができる。そうすることで、曖昧さの解像度を高めることができる。
曖昧でないものをシステム化し、曖昧なものを人間が処理できる環境。
ふわっとやろう、SSOT
いきなり完璧は無理。みんなにとって有益な場を作って、回る状況をつくることから。
デフォルトとイレギュラーの判別が誰でもできるようになるとより発揮すべき価値に労力を割けるようになる。
あいまいで答えのない難しい問題に集中しよう!
参加した感想
私自身、クラスメソッドに入社してからこれまで、コミュニケーションデザイン領域を担当してきました。
様々な掲載媒体に対応したバナーの作成やキャンペーンLPの作成、広報素材の作成など、広範囲のデザイン業務を行なっています。
パターン化できる、すでに情報が決まっているものもありますが、状況に応じて情報の出し方や型が変わっていくようなイレギュラーな事象=あいまいで不定型な環境であることがほとんどです。
クラスメソッドのデザインチームでは現在、他業種メンバーとの協業とデザインチームメンバーの作業効率化を目的に、Figmaにてバナー作成やサイトデザインのシステム化を始めています。
他にも、全社員がアクセスできるドライブに信用のできるテンプレートを作成し、メンバーに展開し利用してもらうなど、徐々にSSOTシステム化の実績ができつつあります。
今まで作成したバナーの情報が一元化されたおかげでチームの業務効率は向上しており、社内の依頼元メンバーへの提案も即座に行えるなど、効果が目に見えるようになりました。
依頼されたデザインがシステムのイレギュラーであるかどうかを初期段階から判別ができるようになったため、事前に多めに工数見積もりをするなどの対処を各々で判断ができるようになりました。
今回のSSOTイベントは、自分たちの行なっていることへの価値を実感したこと、また、今後自分たちがどのようにしてその価値をメンバーへ提供して行くかの行動指針を見つけることができる、大変参考となるイベントでした。
イベント運営の皆様、ご登壇の皆様、ありがとうございました!