
FinOps & クラウドコスト関連ナレッジ - 2025年5月
近年、クラウドコストに関する課題が注目を集めています。私自身も注目してキャッチアップしているテーマです。そんな中で、同じ関心ごとをお持ちの方のお役に立てればと思い、個人的に気になった記事をシェアしています。
早速、2025年5月頃に見かけた記事を紹介していきます。
[アップデート] Amazon VPC IPAM (IP Address Manager) で組織管理を有効化した時にメンバーアカウントへのコスト配分ができるようになりました
関連記事:
- Amazon VPC IPAM で AWS Organizations メンバーアカウントへのコスト配分が可能に
- Amazon Virtual Private Cloud IP Address Manager - Enable cost distribution
同一 AWS Organizations 配下のアカウントにおいて、実際の利用に応じて配賦(チャージバック)まで行われる機能がリリースされました。
AWS Secrets Manager announces support for cost allocation tags for secrets
(AWS Secrets Managerがシークレットのコスト配分タグのサポートを発表)
関連記事:
AWS Secrets Manager がコスト配分タグに対応しました。有効化したコスト配分タグを付与することで Cost Explorer をはじめとするコスト管理関連の機能にてコスト配分タグを用いて按分(ショーバック)することが可能となります。
Amazon Q in Connect セルフサービスの料金が 50% 以上値下げされてました
Amazon Connect 内の Amazon Q 関連の機能に関する料金が値下げされました。What's New などでもアナウンスが見当たらないアップデートとのことで、さすがです。
AWS Client VPNの起動停止ツールを実装してコスト削減した話
未使用な時間帯において Client VPN とサブネットの関連付けを解除することで、不要な料金を防ぐツールを実装された記事となります。EC2 インスタンスなどと同じく夜間や休日など利用しない時間に料金がかからないように工夫することで、大きなコスト削減につながることもあります。Client VPN を利用中の方は記事で紹介されている方法が適用可能かをご確認いただくと良いかもしれません。
[コード無し] 普段使わないRDSのうっかり起動を防ぐ [ブラウザ操作のみ]
クラスメソッドから提供している opswitch を利用して RDS を必要な時間帯(記事ではメンテナンスウインドウの時間帯)以外を停止する運用を実装している記事です。opswitch は GUI でシンプルに設定することが可能です。
関連記事
AWS Cost Explorerの集計コスト指標の違いと使い分けについてまとめてみた
Cost Explorer で指定可能なコスト指標(非ブレンド、ブレンド、償却コストなど)について丁寧な説明とユースケースを紹介してくれている記事です。自分の理解はもちろん、他者に説明する際に重宝しそうです。
ITコストの透明性向上とビジネス価値最大化に向けた第一歩:tbm-template
TBM (Technology Business Management)の概要と実際に取り組む際の一歩として tbm-template というテンプレートを紹介している記事です。
TBM は テクノロジーによって生み出されるビジネス価値の最大化を目的とした IT ファイナンス高度化のための方法論とされています。FinOps との関係性も深く、補完する関係にあると言えます。以前 TBM に関する書籍を読みましたが、きちんと理解が出来ていないので、記事内で紹介されていた TBMガイド で再入門したいと思います。ご興味のある方是非ご一緒に始めましょう。
AWS CodeCommitからGitHubへ移行した際のコストの変化を調べてみた
CodeCommit は昨年7月より新規での利用が停止となっています。継続性を考慮して別サービスへ移行を検討されている方もいらっしゃるのではないかと思います。移行先の代表格である GitHub へ移行した際の試算をしている記事となります。利用状況によって変動するケースもあるかと思いますが、見通しを立てる際に有益な情報となりそうです。
Building a FinOps-Ready Azure Landing Zone: Infrastructure Foundations for Cost Optimization
(FinOps 対応の Azure ランディング ゾーンの構築: コスト最適化のためのインフラストラクチャ基盤)
Azure で FinOps に必要なランディングゾーンを構築する内容を紹介している記事です。マルチアカウント管理が進む中で、セキュリティと同様にコストに関しても、組織でランディングゾーンとして標準的に必要な設定を適用することで、組織として統制や後工程での個別対応の負担を軽減し、アカウント利用者も安心して使ってもらえるようになるため、良さそうです。
Azure のコスト集計システムの開発について
バンダイナムコスタジオさんで、Azure 関連のコストを集中管理されていたところから利用部門やプロジェクトに即した配賦ができる集計・レポートするシステムを独自に開発された取り組みに関する登壇資料となります。各利用者にオーナーシップや説明責任を浸透させていくには、こういった基盤や情報提供がとても重要な要素となります。とはいえ複雑な契約や分類体系など一筋縄ではいかない面もあるため、それを独自に開発されていて素晴らしいですね。
Monitoring and optimizing the cost of the unused access analyzer in IAM Access Analyzer
(IAM アクセス アナライザーで未使用のアクセス アナライザーのコストを監視して最適化する)
CUR を利用して不要な IAM アクセスアナライザーの調査と最適化ポイントが紹介されている記事です。IAM アクセスアナライザーには無償と有償機能や組織単位とアカウント単位で設定可能なため、意図せぬコストが発生しているケースがあります。意図した利用実態となっているかは確認してみてください。
Amazon AuroraとRDSでR8gのリザーブドインスタンス(RI)が購入可能になりました
素晴らしいですね。もし R8g や M8g を利用中の方は、ご検討いただければと思います。
FOCUS に入門したく Introduction to FOCUS を受講してみた
前回 Introduction to FinOps を記事にした際に、触れたもう一つの無償のコースとなります。
FOCUS について少しずつ聞かれることが増えてきましたが、学習コンテンツは少なく貴重なコンテンツです。他には Learning FOCUS blog series もお勧めです。
AWS Cost Anomaly DetectionがAWS User Notificationsと統合されフィルタリングがしやすくなりました
User Notifications を挟むことで Cost Anomaly Detection のイベントに高度なフィルターを利用することができるようになります。より必要な条件を指定して通知する内容をコントロールすることが可能となります。
Aurora I/O 最適化にすべきかどうかを CloudWatch Metrics から確認する
関連記事:
- Aurora I/O-Optimized: Cut Costs for I/O-Intensive Workloads
- How VGS achieved cost savings on Amazon Aurora
Aurora I/O が多いワークロードで I/O-Optimized を採用することで、スタンダードのストレージクラスに比べてコスト最適化できる場合がありますが、ただその前に対象エンジンバージョンや利用状況からの試算が必要となります。同時期に CloudWatch や Cost Explorer, CUR などのツールを利用して試算する記事が複数公開されていました。Aurora I/O が RDS 料金の多くを占める場合には、いずれかの方法で I/O-Optimized への変更可否を確認してみましょう。
AWS Cloud Intelligence Dashboards を使ってFinOpsで役立つQuickSightダッシュボードをサクッと展開
CUR 2.0 を利用した Cloud Intelligence Dashboards を展開してみた記事をなります。Cloud Intelligence Dashboards は定期的にダッシュボード追加やメンテナンスがされており、展開後にコピーしてカスタマイズすることを出来るので、ダッシュボードを作成する前に用途にあったものがないかを確認してみることをお勧めします。
Amazon FSx for Lustre adds new storage class that delivers the lowest-cost and only fully elastic Lustre file storage
関連記事
FSx for Lustre のストレージクラスに S3 でお馴染みの Intelligent-Tiering が追加されました。ユースケースによっては動的にクラスが変わることでコスト最適化につながるため、便利な機能です。既にあるリソースのストレージクラスは変更出来ないようです。
【アップデート】 Cost Optimization Hub で Savings Plans と RI の予約期間・支払いオプションが固定できるようになりました
Cost Optimization Hub で表示される SP/RI に関する情報の期間や支払いオプションを指定できるようになりました。組織の戦略にあった内容のみを表示できるため、結果をシンプルにすることが可能です。
【アップデート】 AWS Cost Explorer で期間ごとのコスト比較ができるようになりました
指定した月で利用費を比較出来るようになりました。Cost comparison drivers として両データでの差異についても情報が表示されているため、状況を把握するのが楽になりました。
[アップデート]既存の利用状況から見積もりを作成できる新しいPricing CalculatorがGAされました
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昨年の re:Invent 頃にプレビューとなっていたマネジメントコンソールに用意された料金計算(Pricing Calculator)ツールが一般公開となりました。現在の利用費をベースに追加コストの試算なども可能なため便利です。
[アップデート] Trusted Advisor が Cost Optimization Hub と統合し、Cost Optimization Hub の推奨項目が Trusted Advisor で閲覧できるようになりました
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Trusted Advisor に Cost Optimization Hub 推奨事項が表示されるようになったようです。確認すべき場所が集約されて嬉しいですね。
さいごに
私事ですが、先月の初めに FinOps Certified Practitioner を取得することが出来ました(よかった)
また今月25日-26日に AWS Summit Japan 2025 が開催されますね。月末にかけてコスト関連の機能リリースが散見されたのは各地での Summit と関連しているのかもしれませんね(あと FinOps X も関係あるかも)。各セッションも今から楽しみです。