Google Workspace の Gemini アプリ・NotebookLM を開発以外のベース AI に

Google Workspace の Gemini アプリ・NotebookLM を開発以外のベース AI に

Google Workspace に付属する Gemini アプリと NotebookLM を、開発以外の全社ベース AI として活用する方法を紹介します。エディション選びやセキュリティ面での安心材料まで、実運用に必要な情報をまとめました。
2026.07.07

はじめに

こんにちは、菅野です。
社内でどの AI サービスを使うか検討中で、開発用途は Claude Code に決めている、という方も多いのではないでしょうか。
一方で、開発以外の業務でどの AI サービスをベースにするかは、意外と決まっていないケースもあると思います。

Google Workspace を契約すれば、Gemini アプリと NotebookLM という AI サービスを追加費用なしで使うことができ、この2つを全社のベースとなる AI サービスとして活用できます。

今回は、開発は Claude Code、それ以外の業務は Gemini アプリ・NotebookLM という役割分担を前提に、それぞれの活用ポイントを紹介します。

本記事でわかること

  • ベースとなる AI サービスとして Gemini アプリ・NotebookLM を選ぶ理由
  • ちょっとした質問は Claude Code ではなく Gemini アプリに投げるべき理由
  • NotebookLM で社内ドキュメントの RAG 環境を数分で作る方法
  • NotebookLM と Google ドライブを組み合わせるべき理由
  • YouTube や Web 上の資料を NotebookLM で時短活用する方法
  • NotebookLM の弱点と、それを補う NotebookLM Enterprise
  • Gmail が不要な組織向けの Enterprise Essentials というエディション
  • エディションごとの機能上限・ユーザー数上限の一覧
  • PoC には Business Standard がおすすめな理由と、Enterprise が必須になるケース
  • 入力したデータが AI の学習に使われないという安心材料

ちょっとした質問は Gemini アプリに投げよう

Claude Code はコーディングや複雑なタスクの遂行には非常に強力ですが、そのぶんトークン消費も大きくなります。
「このエラーメッセージの意味は?」「この単語の意味を教えて」といった、コードベースの文脈を必要としない軽い質問まで Claude Code に投げてしまうと、貴重なトークンを消費してしまいます。

Google Workspace を契約していれば、Gemini アプリ(チャット形式の AI アシスタント)を追加費用なしで利用でき、ちょっとした調べ物や壁打ちは Gemini アプリに任せて、Claude Code のトークンは本来の開発タスクのために温存するという使い分けがおすすめです。

Gemini アプリのコンテキストサイズはエディションによって異なり、Business Starter は 32,000 トークン、Business Standard 以上は 100万トークン(最大1,500ページ相当)まで一度に読み込めます。
Business Standard 以上であれば、長めの資料を読み込ませた質問にも対応できます。

NotebookLM なら社内ドキュメントの RAG が数分で作れる

NotebookLM は、アップロードしたソース(PDF・Google ドキュメント・Web ページ・動画など)だけを根拠に AI が回答してくれる、RAG(検索拡張生成)ベースのリサーチツールです。
回答には必ずソースの引用が付くため、どこに書かれている内容かをすぐに確認でき、ハルシネーションも大幅に抑えられます。

社内マニュアルや規定集をソースとして読み込ませておけば、「経費精算の申請期限はいつ?」といった質問に、該当箇所を引用しながら即座に答えてくれる社内 FAQ が数分で完成します。
エンジニアでなくても、ソースをアップロードして質問するだけなので、専門知識は一切不要です。

ソースは Google ドライブ上のドキュメント・スプレッドシートにするのがおすすめ

NotebookLM のソースとして特におすすめなのが、Google ドライブ上の Google ドキュメントや Google スプレッドシートです。
PDF などをアップロードする方式だと、元の資料を更新するたびに NotebookLM 側へ再アップロードする手間が発生します。
一方、Google ドライブのファイルをソースとして指定しておけば、ドキュメントやスプレッドシートの内容を更新するだけで、NotebookLM 側の内容も自動的に反映されます。
「社内マニュアルを更新したのに NotebookLM の回答が古いまま」という事故を防げるので、NotebookLM と Google ドライブは必ずセットで使うことをおすすめします。

YouTube や Web 上の仕様書・規約は NotebookLM に読ませて時短しよう

NotebookLM はファイルだけでなく、YouTube 動画の URL や Web ページの URL もそのままソースとして追加できます。
長時間の解説動画や、読み込むのに時間がかかる仕様書・利用規約・契約書のような Web ページを見つけたら、まず NotebookLM に読み込ませて要約させるのがおすすめです。
複数のソースをポッドキャスト形式の音声に変換する Audio Overview 機能を使えば、移動中や作業中の「ながら聴き」でインプットすることもできます。
さらに、ソースの内容をプレゼンテーション形式のスライドに自動変換する機能もあり、説明用資料をわざわざ作る必要がありません。
資料を読み込む時間そのものを大幅に削減できるのが NotebookLM の強みです。

NotebookLM の弱点:Excel はソースにできない(NotebookLM Enterprise なら解決)

便利な NotebookLM にも弱点があります。
ソースとして直接アップロードできるファイル形式は、PDF・Word(docx)・PowerPoint(pptx)・テキスト・Markdown・CSV・画像・音声ファイルなどですが、Excel(xlsx)は直接ソースにできません
Excel のデータを読み込ませたい場合は、Google スプレッドシートに変換するか、CSV としてエクスポートしてからアップロードする必要があります。
PowerPoint(pptx)は直接ソースにできるので、Excel だけの制約として覚えておくとよいでしょう。

この Excel の制約を解消してくれるのが、Google Cloud 経由で契約する NotebookLM Enterprise です。
NotebookLM Enterprise は Workspace 版・個人版にはない Excel(xlsx)をソースとして扱えるほか、VPC Service Controls(VPC-SC)によるデータ境界の設定や、IAM によるきめ細かなアクセス制御、データの保管国を指定できるデータレジデンシーといった、エンタープライズ向けの高度なセキュリティ機能も備えています。
Excel を含む大量の社内資料を扱いたい、あるいはセキュリティ要件が高い、というどちらかに当てはまる場合の選択肢と考えるとよいでしょう。
最低15ライセンスから契約でき、14日間の無料トライアルも用意されています。
Google Workspace の契約とは独立して、Google Cloud 経由で単体契約できるのも特徴です。

Gmail が不要なら Enterprise Essentials という選択肢も

「Gmail や Google カレンダーは既存のメールシステムを使っているので不要。でも Gemini アプリや NotebookLM だけ使いたい」という組織もあると思います。
そうした場合には、Gmail を含まない Google Workspace のエディションである Enterprise Essentials / Enterprise Essentials Plus が選択肢になります。
どちらもユーザー数の上限はなく、Gemini アプリやNotebookLM の標準アクセスが含まれています。
Enterprise Essentials Plus ではさらに DLP(データ損失防止)やクライアント側暗号化といった、より高度なセキュリティ機能も利用できます。
既存のメール基盤を変えずに Google の AI サービスだけを導入したい、という要件にちょうど合うエディションです。

エディション別 機能上限・ユーザー数上限の一覧

Google Workspace の主要エディションについて、Gemini アプリ・NotebookLM の機能上限を整理すると次のとおりです。

項目 Business Starter Business Standard Business Plus Enterprise Standard Enterprise Plus
Gemini アプリ コンテキストサイズ 32,000トークン 100万トークン 100万トークン 100万トークン 100万トークン
ノートブック数(ユーザーあたり) 100 500 500 500 500
チャット回数(1日あたり) 50 500 500 500 500
Audio Overview(1日あたり) 3 20 20 20 20
DLP・Context-Aware Access

続いて、ユーザー数の上限です。

プラン ユーザー数上限 Gmail
Business Starter 300名まで
Business Standard 300名まで
Business Plus 300名まで
Enterprise Standard 無制限
Enterprise Plus 無制限
Enterprise Essentials 無制限
Enterprise Essentials Plus 無制限

契約形態は、月単位で契約するフレキシブルプランと、1年間の契約が必要な年間定期プランの2種類から選べます。
フレキシブルプランはいつでも解約でき、ユーザー数も自由に増減できるので、PoC のように短期間だけ試して終わったらすぐ解約したい場合に向いています。
年間定期プランは1年間の契約が必要な代わりに、フレキシブルプランより割安な料金で利用できます。

PoC で試すなら Business Standard がおすすめ

上の表を見ると分かるとおり、Gemini アプリのコンテキストサイズや NotebookLM の利用上限は、Business Standard 以上であればどのエディションでも同じです。
Business Plus や Enterprise にアップグレードしても、Gemini アプリや NotebookLM 単体の性能・利用回数が増えるわけではありません。
そのため、まずは AI 活用の効果を試したい、という PoC 目的であれば Business Standard で問題ありません。
フレキシブルプランで契約しておけば、PoC が終わったタイミングですぐに解約できるので、気軽に試すことができます。
DLP のような高度なセキュリティ機能や、300名を超える全社展開が必要になった段階で Enterprise への切り替えを検討すれば十分間に合います。

Enterprise が必須になるケース

一方で、次のいずれかに該当する場合は Enterprise エディションが必須になります。

  • ユーザー数が300名を超える:Business プランは合計300ユーザーまでという制限があるため、それ以上の規模では Enterprise 一択になります
  • セキュリティ要件が高い:機密情報の自動検知・ブロックを行う DLP、社用端末や特定IPからのみアクセスを許可する Context-Aware Access、データの保管国を指定するデータリージョンなど、組織的な統制が必要な場合は Enterprise でなければ対応できません

逆に言えば、ユーザー数が300名以内で、かつ機密情報の自動保護のような高度なセキュリティ要件がなければ、無理に Enterprise を選ぶ必要はありません。

入力したデータは AI の学習に使われない

社内の機密情報を AI に入力してよいのか、という点は導入時に必ず気になるポイントだと思います。
Google は、Gemini アプリでのチャットやアップロードしたファイルについて、利用者の許可なく人間のレビューを行ったり生成 AI モデルの学習に使ったりすることはないと明言しています。
NotebookLM についてはさらに踏み込んで、ソース・質問・回答が人間にレビューされることも、生成 AI モデルの学習に使われることもないとしています。
Workspace 上のデータが他の顧客に使われることもありません。
法人向けライセンスであれば、Claude Code と同じ感覚で、社外秘の情報も安心して入力できます。

まとめ

開発は Claude Code、それ以外ちょっとした質問は Gemini アプリ・NotebookLM という役割分担にすれば、Google Workspace のライセンスだけで全社のベースとなる AI 活用が始められます。

エディション選びに迷ったら、まずは Business Standard で PoC を始めて、ユーザー数やセキュリティ要件が実際に増えたタイミングで Enterprise を検討すれば問題ありません。

AI サービスはどれか一つを使うのではなく使い分けが重要ですので、Google Workspace をお試しいただくのはいかがでしょうか。

参照情報

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