【Nokiaブース訪問】ローカル5Gで工場まるごとつなぐとこうなる #HM26

【Nokiaブース訪問】ローカル5Gで工場まるごとつなぐとこうなる #HM26

HANNOVER MESSE 2026で、Nokiaブースを訪問してきました!産業向けネットワーク × Edge AIの会社にフォーカスされていて様々なユースケースがありそうだと感じました。本記事では、5G・ローカル5Gの基礎から、Nokiaが提案する「サーバー1台+アンテナだけで立ち上がるプライベート5G」、そしてカメラベースのワーカートラッキングと安全管理、5G + Edge AIによる製造ライン品質検査という2つの体験デモまで、現地で見てきた内容をまとめます。ローカル5Gが製造業の現場にどんな変化をもたらすのか、ハノーバーで肌で感じた最新動向をお届けします。
2026.05.12

概要

こんにちは、クラスメソッド製造ビジネステクノロジー部の田中聖也です。
HANNOVER MESSE 2026で、Nokiaブースを訪問してきました!
産業向けネットワーク × Edge AIの会社にフォーカスされていて様々なユースケースがありそうだと感じました!!

この記事で扱うのは以下のトピックです。

  • そもそも5G・ローカル5Gとは何か(おさらい)
  • Nokiaのプライベート5Gの仕組み(サーバー1台+アンテナで5Gネットワークができる話)
  • 体験デモ1 カメラベースのワーカートラッキングと安全管理
  • 体験デモ2 5G + Edge AIによる製造ライン品質検査
  • 現地で感じたNokiaの製造業ユースケースの広がり

なお、HM26関連の他の記事はこちらです。

そもそも5G・ローカル5Gとは

Nokiaブースの話に入る前に、5Gとローカル5Gの基礎をざっとおさらいします。
普段製造業のお客さまとお話していても、「5Gって結局Wi-Fiと何が違うの?」という質問はけっこういただくので、ここで整理しておきます。

5Gの3つの特徴

5Gは第5世代の移動通信システムで、以下の3つを同時に実現できる規格として設計されています。

特徴 内容
eMBB(超高速大容量) 4Kや8Kなどの高精細映像をストリーミングできる帯域
URLLC(超高信頼・低遅延) 1ms前後の低遅延で、ロボット制御など止められない処理に使える
mMTC(多数同時接続) センサーなど大量のデバイスを同時につなげる

特に製造業で効いてくるのは**URLLC(超低遅延)**で、Wi-Fiだとどうしても通信のばらつき(ジッタ)が発生して、ロボットや搬送機の精密な制御には不向きでした。
5Gはここを「決定論的」に保証できるのが大きな違いですね。

ローカル5Gとは

「ローカル5G」は、キャリアが提供する公衆5Gとは別に、企業が自前で工場や敷地内に構築する5Gネットワークのことです
日本では総務省の制度として正式に定義されており、海外では「プライベート5G」「Mobile Private Network(MPN)」と呼ばれることが多いです

ローカル5Gの嬉しいところは大きく3つあって、

  • データ主権:工場の生産データを外に出さずに自社の中で完結できる
  • 専用帯域:他社のトラフィックに影響されない安定した通信が確保できる
  • 柔軟なレイアウト:有線配線が不要なので、生産ラインの組み替えがラクになる

製造業では、4K/8Kカメラでの品質検査、AGV/AMRの遠隔制御、ARスマートグラスでの遠隔作業支援などのユースケースで、ローカル5Gの導入が進んでいます

Nokiaのプライベート5Gの仕組み

ここからが本題のNokiaブースのレポートです。
Nokiaのスタッフの方に熱量高くシナリオベースで解説してもらいました。

サーバー1台+アンテナだけで5Gネットワークができる

スタッフの方が言っていたのは、

「以前は5Gネットワークを工場に入れようとすると、何百万ユーロもかかって、機材で部屋が3〜4室埋まって、20〜40人のエンジニアが必要だった。これじゃ工場では使えない」

ということでした
で、Nokiaが何をしたかというと、5Gコアネットワークをまるごと1台のサーバーに収めた
さらにアンテナ(無線基地局)も小型化して、この2つを工場に置けば5Gネットワークが立ち上がるようにした、というのが今のNokiaのプライベート5Gの提案です

しかも**プラグアンドプレイ(手動設定なしで自動的に認識・設定され、すぐに使用できる技術)**で、設定も事前に済んでいるので、電源を挿せば動く
製造業の情シスやOTエンジニアにとっては、これってめっちゃありがたい話ですよね

製品

↑のように、ブースには産業デバイスと「MXIEマイクロエッジ」と呼ばれるエッジサーバが展示されていました
このエッジサーバが、5Gネットワークの上で動くアプリケーションのホスト先になります

5Gだけじゃなく、エッジ・アプリまでセットで提供

Nokiaが面白いのは、5Gの「接続」だけを売っているわけじゃないところです
スタッフの方の説明によると、Nokiaの提供範囲は以下のように整理できます

  • 5G接続:コアネットワーク+RAN(無線アクセス)
  • デバイス:産業用ルーター、ドングル、スイッチ、堅牢化されたタブレット・スマホ、プッシュトゥトーク端末
  • エッジコンピューティング:MXIEマイクロエッジサーバ
  • アプリケーション:「MXIE」というエッジサーバベースのアプリケーションフレームワーク

MXIEには現在約30個のアプリケーションがオンボードされていて、その内訳は1/3がNokia自社開発、2/3がパートナー製とのことでした。

  • プッシュトゥトーク(音声トランシーバー機能)
  • プッシュトゥビデオ(映像のリアルタイム共有機能)
  • トラッキング&ポジショニング(作業員やモノの位置把握)
  • ワーカーセーフティ(作業員の安全見守り機能)
  • ネットワーク品質
  • アラーミング(設備の異常通知)
  • マスコミュニケーション(全体への一斉連絡機能)
  • PBX(工場内の内線電話システム)

セキュリティレイヤー…とラインアップは結構幅広いです。

カメラも90%のサードパーティ製カメラに対応しているそうで、既存設備をそのまま活かしつつ、Nokiaのプラットフォームに載せていけるのは現実的ですね。

体験デモ1: カメラベースのワーカートラッキングと安全管理

次に見せてもらったのが、Edge AI × カメラベースのワーカートラッキングのデモです。
これは個人的にHM26の中でもかなり印象に残った展示でした。

展示物_カメラによる位置把握

↑がそのデモ画面で、画面上に赤い点で人の位置がリアルタイムに表示されています。
ブース内の天井に2台のカメラが設置されていて、そのカメラ映像をMXIEマイクロエッジで処理して、人やオブジェクトの位置・姿勢をリアルタイムで計算する、という仕組みです。

6種類のトラッキング手法を組み合わせられる

Nokiaのトラッキングが面白いのは、カメラだけに依存していないところで、

  • カメラ(ビジュアルポジショニング)
  • GPS
  • Bluetoothビーコンによる屋内測位
  • 5G Precise Positioning(5Gの電波で位置を取る)
  • RFIDベース(パートナー提供)
  • 距離計測ベース

…と6種類のトラッキング手法を、用途と環境に応じて組み合わせられるとのことでした。

ヘルメットを脱ぐと赤になる

体験として、デモを担当してくれたスタッフの方が実際にヘルメットを脱いでくれました
そうすると数秒後、画面上の自分のアイコンが緑からに切り替わったんです

これは「このエリアではヘルメット必須」というルールを設定しているからで、ヘルメットを被っていないことをカメラとAIが検出すると、ルール違反としてアラートが上がる仕組みです

応用範囲はかなり広くて、

  • バーチャルフェンス(仮想的な立入禁止エリア)の設定
  • 個人用保護具(PPE)の着用状況の判定
  • 転倒検知(fall down worker detection)
  • SOS発報(スマホからの手動発報も含む)
  • ジャイロセンサーとの組み合わせによる詳細な状態判定

…といった機能が、一つのプラットフォームの上で動きます
出力もアラームライトの点滅、関係者全員へのメッセージ配信、オペレーターへの通知…と柔軟にトリガーを組めるそうです

体験デモ2: 5G + Edge AIによる製造ライン品質検査

最後に見せてもらったのが、5G + Edge AIによる製造ラインの品質検査のデモです

展示物_2-1

ブースには小さな製造ラインのモックが組まれていて、

  • カルーセル(円形の搬送機)に部品が並ぶ
  • 2台のカメラ(カルーセル監視 + 品質検査)
  • 各種センサー(磁気、光学、誘導)
  • アクチュエーター(合否判定で動く仕分け機構)

…という構成で、これらが全部5Gでつながっているという展示でした

展示物_2-2

↑のように、画面上には物理環境のデジタルツインが映し出されていて、センサーの状態や搬送機の動きがリアルタイムに反映されています

正常品と異常品で挙動が変わる

デモでは、

  • 正常品(黒いキャップ)が流れてきた場合:磁気センサー+カメラで「正しい部品」と認識 → アクチュエーターが開いて通過させる
  • 異常品(金属製のキャップ)が流れてきた場合:「光らない」「磁性がある」とAIが検出 → アクチュエーターが閉じて排除

…という動作を見せてもらいました
これは「破損品」「誤投入品」など、現場で起こりうる異常パターンに合わせて検知ロジックを組めるそうです

1つのセンサーだけに依存しない設計

スタッフの方が強調していたのは、

「工場では1つのセンサーだけを信じることはしない。複数のセンサーを組み合わせて、その結果を統合した上でアクションする」

という考え方でした
これって製造業の現場感覚としてめっちゃ大事で、シングルポイント・オブ・トルース(1つの真実)に依存しないアーキテクチャが、品質保証の世界では基本になります

展示物_2-4

予兆検知(Predictive Maintenance)にも展開

「Predictive Maintenanceにも使えますか?」と聞いたところ、答えは「Yes」でした
同じエッジサーバの中で、

  • 分類(classification):部品の種類判定
  • 異常検知(anomaly detection):搬送速度の変化など
  • 干渉検知(interference):ライン上の障害物
  • ワーカーセーフティ:人の安全

…を並列で動かせる構造になっていて、しかも**「コンベアの速度が時間とともに変化している」みたいな緩やかな変化も検知できる**そうです
変化の予兆を捕まえて、現場のシフトマネージャーに通知が飛ぶ、というワークフローもデモしてもらいました

AGVとの連携も可能

5Gで設備とAGV、あるいはAGV同士の連携ができるかを聞いたところ、

  • AGV自体が5G対応しているケースは現時点ではまだ少ない
  • ただし、AGVの持つセンサー情報をストリームしたり、レトロフィット(後付け対応)で5G対応させることはできる

という回答でした
将来的には「何か障害物を見つけたAGVが、それを中央システムに報告 → 他のAGVが迂回ルートを取る」というようなHive Mind(群知能)型のフリート管理を目指しているそうで、これは構想として面白かったです

日本市場との接点

最後に「日本にも展開してるんですか?」と聞いたら、

「日本にもパートナー企業がありますよ」 とのことでした。

製造業領域でローカル5Gを実装していく上で、海外の最先端事例と日本の現場をつなぐ動きが既に始まっているのは、現地だからこそ手に入った情報でした。

まとめ

Nokiaブースでは、ローカル5Gを土台にしてAR作業支援・ワーカートラッキング・Edge AI品質検査までを一気通貫で見ることができました!
「5G=速い通信」というイメージから一段深く、5Gがあるから初めて成立する製造業ユースケースを肌で感じられた濃いブース訪問でした。


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