従業員との期待値調整は出会う前から始まっている〜インバウンド・リクルーティング
こんにちわ。従業員体験( EX ) の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
従業員体験向上の鍵は従業員が求める Will / Can と企業が求める Should の重なりです。
では、従業員から企業に対する期待はいつ発生するでしょうか?それは入社よりもっと前。その企業を認知しはじめた時期からです。例えば、クラスメソッドはブログの発信で有名ですが、発信文化に魅力を感じ、実際に入社して発信に加わることを楽しみに期待しているケースなどです。
ということで、入社前の期待値調整に大きく関わる要素として、インバウンド・リクルーティングを紹介します。
インバウンド・リクルーティングとは?
インバウンド・リクルーティングは、未来の従業員候補となる候補者さんに企業のことを知ってもらい、魅力を感じてもらうことで、いざ転職意思が芽生えたときに応募先の有力候補に加えてもらえる状態にすることです。
例えば、優秀な同僚と働くことを期待する候補者さんが現職でデモチベーションしたタイミングであったり、現職と転職先候補を比較した際に転職したほうが優秀な同僚と一緒に働けることに気づいたときです。
ブランド契約としてのインバウンド・リクルーティング
EX の文脈で従業員が企業に対して持つ期待を 契約( Contract ) と呼びますが、 契約には3種類あり、その中でもインバウンド・リクルーティングが影響を与えるのは ブランド契約です。採用広報などで発信された内容をもとに、
「この企業に入ったら以前ブログでみたこの点がみたされるはず。そうすれば個人としてのやりたいことの実現にもつながる」
こんな期待が発生するケースです。EX における契約に関する詳細は以下を参照ください。
Employee Experience における Contract とは
インバウンド・リクルーティングの発信内容
インバウンド・リクルーティングでどのような情報を発信するとよいでしょうか?
企業の魅力が主たるものでしょう。最も重要なのが EVP です。EVP は企業が従業員に提供できる独自の価値です。
頭痛が痛い式「Unique EVP」で採用のブルーオーシャンを狙う
次に、 EVP とまではいかないその他の魅力です。
例えば、クラスメソッドの場合、 DevelopersIO にみられる情報発信文化は独自の価値です。一方で、リモートワークができるという点は他の企業でも得られる点なので EVP とまでは言えない魅力です。
未来の従業員となる候補者さんは、自身が求める要素が満たされるかどうかで転職先を決定します。つまり、候補者さんが求めるキャリア等の動機づけ要因と、リモートワーク前提などの衛生要因と企業が発信している魅力を対比して応募有無を検討するわけです。
候補者さんと企業のマッチングに関する詳細は以下を確認ください。
企業も不合格にされている。採用は一方的な場ではなくマッチングの場
インバウンド・リクルーティングの手段
では、インバウンド・リクルーティングはどのように実施するのでしょうか?
ブログの発信
採用ブログ、技術ブログなどによる発信があります。 ブログで、
- 技術
- 人
- 働く環境
- 文化
などの魅力を発信します。
他のメディアでの発信
ブログ以外に YouTube や Podcast など動画・音声メディアでの発信もあります。
従業員の自発的発信
従業員が自発的に SNS で自社のいいところを発信する方法もあります。ここは組織から依頼するのではなく、従業員が自らの意思で発信していることが重要です。そのためには、自慢したくなるような会社であり、誇らしく思えるような会社であることです。
従業員の自発的な発信は他の企業目線で行われた発信よりも信頼されやすく強力です。どうしても企業の公式発信だと宣伝っぽさを感じられてしまい、その真偽を疑われやすくなります。一方で、候補者さんにとって身近な個別の従業員の自発的な発信は真実味を持って受け入れられやすいです。
このような発信を Employee Advocacy と呼びます。 SNS での発信以外に、登壇、従業員と候補者さんが知り合い直接やりとりをするケースなどがあるでしょう。
クラスメソッドの例
クラスメソッドにおけるインバウンド・リクルーティングにはどのようなものがあるでしょうか?
典型的なのは DevelopersIO です。特に AWS に関わる情報を大量に発信しているため、 AWS に強い会社であるという認識が発生しやすくなります。また、文化としても情報発信を掲げていて、それを体現しているのが DevelopersIO になります。知見を公開し、広く役立ててもらうことに個人的な価値を見出していて、さらに AWS 関連の経験を積みたい候補者さんにとっては魅力になりやすい要素です。
まとめ
従業員体験の側面からインバウンド・リクルーティングを紹介しました。従業員との期待値調整は面談に参加するもっと前から開始しています。魅力をしっかり伝えるとともに盛らないことも大切です。盛ると入社後にそのギャップが発覚し、デモチしてしまいます。騙して入社してもらってもお互いにいいことはありません。魅力を作り、等身大で発信しましょう。