LINEミニアプリ(LINE Mini app)とは?先行導入事例とその効果などを交えてご紹介 #lineminiapp
こんにちは、橋本です。冬眠から目覚めた熊のように、超久しぶりのブログを書いておりますw 今回は、LINEミニアプリについてご紹介していこうと思います。クラスメソッドは2019年5月よりLINE社の認定テクノロジーパートナーとなっており、既に複数のLINEミニアプリ先行事例の開発をご支援させていただいております。
LINEミニアプリとは?
ちょうど一年前の2019年6月27日に舞浜で開催されたLINEカンファレンス2019にて、LINE社より初めてLINEミニアプリ(LINE Mini app)の構想が発表されました。LINEミニアプリを端的に表現すると、国内8,400万MAUのLINEアプリ内に、企業が自社サービスを提供できるサービスプラットフォームです。
LINE社は「Life on LINE」と言うビジョンを掲げ、オンライン・オフライン問わず、朝起きてから夜寝るまで、ユーザの1日に寄り添い利便性を提供するプラットフォームを目指しています。そのビジョンを実現するための戦略として、1)オフライン、2)フィンテック、3)AIへの注力を打ち出しており、また中国で提唱されここ数年日本でも耳にすることが多くなった、OMO(Online Merges with Offline=オンラインとオフラインの融合)と言う概念にも触れられています。そしてその戦略に基づく打ち手の一つが、LINEミニアプリ=サービスプラットフォームということです。
LINEミニアプリの特徴やメリット(ユーザー/企業)は?
次に、LINEミニアプリの特徴やメリットを、ミニアプリを利用するユーザ、提供する企業、双方の視点から見ていきましょう。まずユーザ視点で言えば、1)アプリDL不要で各社サービスを利用可能、2)LINEログインによりワンタップで認証認可、3) LINE Payとの連携でさらに使いやすく、などがあるかと思います。以下は、モバイル文脈でのユーザの初回接点から、再利用までのフローを時系列で並べ、ネイティブアプリと比較した図です。
特にネイティブアプリで離脱率の高いポイントである、アプリダウンロードや、ユーザーの認証認可(会員情報登録、ログイン)などのユーザ操作を、極限までシンプルにできる点がUXを高めています。今後は各社で、例えばロイヤルカスタマー向けによりリッチな体験をネイティブアプリで、ライトユーザ向けにシンプル且つ日常使いの体験をLINEミニアプリで、というように、各ユーザセグメントに応じたアプローチの棲み分けが進んでいくと思われます。
次にLINEミニアプリを提供する企業側の視点で見ていきましょう。下記の右側を御覧ください。
まず最大のメリットは8,400万MAUのLINEアプリ内に自社サービスを提供できる点です。老若男女を問わず既に日本人のほとんどが日常的に利用しているLINEアプリ内に自社アプリを提供できますので、多くのユーザリーチを期待でき、また企業の公式アカウントとの連携などにより、その後のユーザエンゲージメントを高めるようなコミュニケーション施策も打ちやすいと言う点が挙げられます。
2点目に、開発コストの低さや開発スケジュールの短さがメリットとして挙げられます。理由としては、LINEミニアプリはLIFF(LINE Front-end Framework)を活用したWEBアプリケーションですので、その1つのウェブアプリをLINEと言うネイティブアプリがラップするかたちで、iOS、Androidなどの各種OS対応を吸収してくれます。それぞれのOSに対応した別のアプリケーションを作る必要はありませんので、開発コストや開発スケジュールを大幅に削減することが可能となります。
最後に、下図でモバイル文脈での選択肢を、利用開始ハードル/利用継続性の2軸で整理します。LINEミニアプリ/ネイティブアプリ/モバイルWEBと、それぞれ優れた点、そうでない点、凸凹あると思います。価値を提供したいユーザー層によってもアプローチは変わってくるでしょう。 しかし最も重要な点は何かというと、クラスメソッドは上記全てのアプリケーション開発をご支援できるという点です!w
LINEミニアプリの先行事例は?その効果/反響は?
続いて、既にリリースされているLINEミニアプリの先行事例を見ていきましょう。クラスメソッドで開発をご支援している事例は既に複数ありますが、その中でも2つの事例にフォーカスして解説していきます。
まずはクラスメソッドが自社で運営している実験カフェ「Developers.IO CAFE」LINEミニアプリの事例です。LINEミニアプリとしては国内で2番目にリリースしております。「Developers.IO CAFE」では、主に1)モバイルオーダー&ペイ(スマホ注文&決済)、2)ウォークスルー体験(Amazon GO的体験)を提供しています。 ※現在はコロナ禍の影響で臨時休業中。2020年9月頃再開を予定(コロナ禍の状況による)。
「Developers.IO CAFE」のモバイル文脈での歴史を時系列で説明すると、1)ネイティブ、2)WEBアプリ、3)LINEミニアプリ、の順番でリリースしています。 下記がLINEミニアプリ導入後の反響(数字/声)です。店長の岡野さんにインタビューをしました。
数字から見ていくと、もともとそこまで知名度がないこともありますが、まずアクセス数が激増していますw、リリース後の実際の来店も2〜3倍ほどに増えたということです。技術云々の前に、「LINEのホームタブに自社サービスのアイコンが載る」ということの広告/PR効果は計り知れないと思います。
次に、直帰率と登録時間を見ていきます。「Developers.IO CAFE」は完全キャッシュレス且つ店頭注文に対応していませんので、まずユーザーは注文の為にアプリにアクセスする必要があります。アプリDLや会員登録などのユーザーアクションは離脱率を上げるポイントになりますが、それがうまく緩和され直帰率は1/2以下に低下、登録までの時間は1/6程に短縮されていることがわかります。上記よりリピート率も1.5〜2倍ほどになったということです。
最後にユーザー・スタッフそれぞれの反応ですが、常連の客様からも非常に使いやすくなったと嬉しいお言葉をいただいております。また特に店長並びにスタッフの皆さんから「とにかく案内が楽になった」「登録が早い」「案内時にお互いに安心感がある」などのポジティブな反応を数多くいただいております。
続いて2つ目は、3COINS、CIAOPANIC、Kastane、mysticなど、50種類以上のブランドを展開されている、パル様のLINEミニアプリ開発事例です。パル様はこの度ご支援させて頂きましたLINEミニアプリ以前に、ネイティブアプリの開発も弊社でご支援させて頂いております。
「QRから5秒でポイント貯まる!」というキャッチーなPOPが3COINSの店頭に並んでおります。パル様のように多くのリアル店舗を持たれているお客様は「店舗=最大のメディア」ですので、ユーザーが瞬時にそのメリットを理解できる解かりやすい販促物やスタッフの声がけは非常に重要です。
アパレル業界初 LINEミニアプリの先行事例として「PAL CLOSET」をリリース
UXとしては、実際上記のQRコードを読み込むと瞬時にバーコードが表示され、パルグループ横断で利用可能なデジタル会員証を作成できます。こちらを店舗のお買い物時にPOSで読み込むことでユーザーは共通ポイントを貯めることができます。また1日後にデジタルレシートが購入商品とマッチするおすすめコーディネート情報と共にLINE上に届きます。そこからPAL CLOSET(自社ECサイト)で更にお買い物を楽しめるというわけです。正に冒頭でご紹介したOMO(オンラインとオフラインの融合)ですね。リアル店舗とデジタル店舗の境目を感じません。
そして、下記が6月3日の繊研新聞にも掲載されたLINEミニアプリ導入後の反響(数字/声)です。2月末にサービスリリースし、4,5月はコロナ禍の影響で多くの店舗が臨時休業をされていましたので、3月単月の数字となりますが、初速からとてもよい数字が出ています。
アプリDL不要で瞬時にデジタル会員証を作成できますので、当然登録時間は短縮し、ECの新規会員数が前月比で200%増加しています。3coinsに限ると新規会員の8割がLINEミニアプリ経由、残りの2割がネイティブアプリ経由という結果がでています。またLINEミ二アプリにユーザーが初回アクセスした際に、同時に「公式アカウントとも友達になる」というチェックボックスを設置することが可能で(LINEログイン)、ユーザーが能動的にチェックを外さない限りは自動的に友達になります。これにより1)サービスレイヤーと、2)コミュニケーションレイヤーが連係されます。
※LINEミニアプリは公式アカウントと独立した概念ですので、ユーザーはもちろん単体でもご利用頂けます。 その場合通知はどうするの?という疑問がわきますよね。LINEミニアプリではユーザーアクションを起点に独自のサービスメッセージを送信可能です(しかも無料です!)。イメージとしてはLINEPayで決済した際に、LINEウォレットアカウントにとんでくる支払い通知ですね。
PAL様の場合、公式アカウントの友達数が3000人/日のペースで増加し、3月単月でそれまでの3倍に成長したということです。また臨時休業中の4,5月はこれまで店舗で買い物をされていたお客様も、ECでお買い上げくださったことで、ECの売上が2倍以上成長されたということです。素晴らしいですね。更にLINEミニアプリ導入後、LINE経由のEC売上が、なんと前年比で5倍に成長しています。今までデジタル接点を作りきれていなかったユーザー層とサービスを起点に繋がれたことで、その後のコミュニケーション施策(公式アカウントへのクーポン配信など)からエンゲージメントを深めることができた結果かと思います。
最後に、元々パル様が抱えられていた課題と、その解決に向けたアプローチの話をします。パルグループ様の各ブランドの中で最大の店舗数とユーザー基盤をもつブランドは「3COINS」です。但し扱っている製品特性上ライトユーザー層が多く、スタッフの接客時間もアパレルブランドに比べると短い為、ネイティブアプリのDL率は他ブランドと比較して高くはありませんでした。この課題に対するアプローチが今回のLINEミニアプリによるDL不要のデジタル会員証の提供です。3月単月実績とはいえ初速の数字を見る限り、この各ユーザー層に対するアプローチの棲み分けがうまくワークしているように思います。
先行指標である、中国ミニプログラムの状況は?
2019年3月に中国深センに視察にいきました。その際にWechatミニプログラムを実際に活用し、その便利さに感動しました。中国は都市部といえども日本ほど回線スピードが速くありません。その環境下で例えば店舗起点でアプリDLをする、というような状況は特に旅行者にはなかなかハードルが高いのです。そこに待ってましたと言わんばかりに、WeChatミニプログラムのQRコードが貼ってあるわけですw
中国深セン視察ブログは下記を御覧ください。
- 未来都市、中国深センに行ってきた
- 未来都市、中国深センに行ってきた(移動編)
- 未来都市、中国深センに行ってきた(シェアリング自転車編)
- 未来都市、中国深センに行ってきた(シェアリングサービス編)
- 未来都市、中国深センに行ってきた(luckin coffee編)
- 未来都市、中国深センに行ってきた(キオスク/セルフレジ/自動販売機/無人マシン編)
中国では2017年頭のWeChatスーパーアプリ化を起点に、AliPayやBaiduなど多くのユーザ基盤を持つサービスが次々とスーパーアプリ化しています(スーパーアプリ=ミニプログラムの基盤)。カテゴリとしては各プラットフォームにより異なりますが大まかに、1)生活サービス、2)モバイルコマース、3)モバイル動画、4)モバイルゲームあたりが人気のようです。
また下図は3大プラットフォームであるWeChat、AliPay、BaiduのMAU上位5位のミニプログラムが、同サービスのネイティブアプリと比較してどの程度利用されているか?、という調査です。中国でも当然ネイティブアプリが先にあり、後に同サービスのミニプログラムをリリースしているわけですが、特にWeChat、AliPayについては大差をつけてミニプログラムが使われているようです。理由としてはWechatPay、AliPayなどのQR決済との相性が非常に良く、各種Payが便利なのでミニプログラムを使う、逆にミニプログラムが便利なのでさらに各種Payを使う、という相乗効果によるものが大きいと思われます。
QuestMobile Chinaモバイルインターネット年次報告2019
最後に
やや長文になりましたが、いかがでしたでしょうか。先行する中国同様に日本でもLINEの他にもPayPayや、d払い、au PAYなど通信キャリアを中心にスーパーアプリ化を宣言しています。また今年の10月(予定)にはLINEとYahoo!の経営統合も控えています。今後各プラットフォームが切磋琢磨しつつ、それぞれの特徴を生かした強みを打ち出し徐々に棲み分けが進んでいくと思われます。各プラットフォームに提供される個々のミニアプリにも大いに期待したいところです。
ミニアプリにご興味あられる担当者の方は、どしどしお問い合わせをいただけますと幸いです! 諸々サービスも仕込んでおります。
追記
ついに7/2、LINEミニアプリのエントリー受付がスタートしました!今後の展開が楽しみですね。
LINEミニアプリプレオープンに合わせて、「モバイルオーダー用途のLINEミニアプリ」を簡単・スピーディーに作成&運用できるクラウドサービス「CX ORDER」をβリリースしました!ご興味あられる方はどしどしお問い合わせください!
LINE社からもパル様の事例が公開されています!