Lookerベスト・プラクティス:ダッシュボードを最高の状態に仕上げるための『5つのヒント』 #looker

2019.12.08

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Lookerではトピック毎のベストプラクティスを個別にドキュメントやナレッジベースとしてまとめています。当エントリでは数日前に公開されていた「ダッシュボードを最高の状態に仕上げるための『5つのヒント』」という内容が非常に分かりやすく簡潔に情報がまとめられていたので、その内容について読み解いていきたいと思います。

目次

 

はじめに

まず掲げられていたのは以下5つの原則。

  • ダッシュボードの『大きなアイデア』を見つけること
  • ワイヤーフレームで『buy-in』(同意・賛同)を得ること
  • 明確性を確保すること
  • 内容をシンプルに保つこと
  • 良い『情報の流れ』を作ること

最初の2つはダッシュボード開発前に行われる『調査フェーズ』段階の作業、残りの3つは『実装フェーズ』段階での作業となります。

テーマに対して明確に焦点が当たっているダッシュボードはそれ自体で既に物語を形作っています。ダッシュボードの説明に掛かる時間が短縮され、適切な情報に簡単に素早くアクセス出来るようになるため、データ駆動型の意思決定もスムーズかつ容易に行うことが出来ます。

 

調査フェーズ

 

ヒント1.そのダッシュボードで何を伝えたいか?を考える

『そのダッシュボードで何を伝えたいか?』

ダッシュボードを構築する上での『基盤』となるのはこの問いから。ダッシュボードがある理由をまずは考えることから始めましょう。

この答えを得るための最良の方法は、そのダッシュボードの"視聴者"と会話をすることです。誰がそのダッシュボードの視聴者なのか、そのデータ/ダッシュボードを使って視聴者は何を達成したいのか。視聴者が見る情報に基づいて実行するアクションを理解する事がとても重要です。

「戦略的なビジネス上の意思決定を行う幹部社員」と「日常的に業務を遂行している運用マネージャー」とでは『必要する情報』が異なります。双方に目標や目的があります。視聴者がダッシュボードに何を望んでいるのかをまずは尋ねてみることから始めましょう。

Lookerでは、この部分をヒアリングするためのガイドをまとめた『Dashboard Requirements Gathering Questionnaire Worksheet』をPDFで公開しています。是非活用してください。

 

ヒント2.ワイヤーフレームを使って「buy-in」(同意・賛同)を得る

『ヒント1』で行った会話は、ダッシュボードの有用性を確認するだけでなく、ダッシュボード利用者となる視聴者からの賛同を得る手段にもなります。これはすなわち、ダッシュボード構築に時間と労力を費やした後に要件を変更するといった可能性を減らすことにも繋がります。

視聴者が望むものを確実に届けるためには、『ワイヤーフレーム』を作成しましょう。

ダッシュボードのワイヤーフレームは、完成した時の外観を表し、データを表す可視化のタイプを含めます。

まずはシンプルに、『絵を描く』ことから始めましょう。それで上手くいきます。ポイントは、作成する前にダッシュボードがどのように見えるかを視聴者にプレビューし、細かい部分を調整することです。ダッシュボードとそのコンテンツの『目的』について合意が取れたら、構築を始めます。その際、後述する『明快さ』『シンプルさ』『フローの原則』に留意してください。

 

実装フェーズ

 

ヒント3.明確にする

表したい内容を明確・明瞭にすることにより、視聴者はダッシュボードのコンテンツが何を意味しているのかを理解出来ます。

説明的なタイトル・ラベル・メモ等を活用して、対象となる内容を明確にしましょう。視聴者が使う専門用語を使い、可視化にタイトルを付与し、説明も必要であれば追加します。

ビジネスユーザーは実装者であるあなたほどデータには精通しておらず、データベースの列名がビジネス用語では何に該当するのか、置き換えて理解する術を知らないかもしれません。データアナリストとしてビジネスユーザーが使い慣れている言語を使うことで、このギャップは埋めることが出来ます。

 

ヒント4.シンプルにする

ダッシュボードにある全ての要素には「目的」が必要です。

「そのダッシュボードで何を伝えたいか?」について考えるとき、ダッシュボードで構成されているそれぞれのタイルはその目的を果たしているでしょうか?もしそれに合致しないものがある場合は、容赦なくダッシュボード上から除去してしまいましょう。

その上で、視聴者が興味を持っているところについては詳細を掘り下げるオプションを用意出来ると理想的です。

下記のダッシュボードはその好例です。全てのタイルが『チームのパフォーマンスはどうですか?』という問いに答えています。

上部にはクォータに対する実績値があり、その下には個人ごとの情報があり、そして会議の予約状況を把握することが出来ます。この視覚化により、誰と戦略を共有し、誰がそれを必要とするかを特定できます。

そして、この可視化には「無関係なテキスト」や「過度な桁数表示」、「華美な配色」といった要素が取り除かれていることにも注目してください。

LookML開発者の場合、ダッシュボードを簡素化するための追加のツールとして『ドリル』や『リンク』の機能が活用出来ます。

ちなみに、Lookerを使って埋め込みダッシュボードを作成している場合は、その提供されたリンクやドリルに視聴者がアクセス出来るかどうかを入念に確認するようにしてください。通常の場合、埋め込みユーザーは権限が厳しく設定されているため、リンクやドリルの機能にアクセス出来ない場合があります。権限内のコンテンツを提供してスムーズなエクスペリエンスの提供を心掛けてください。

 

ヒント5.フロー(Flow:流れ)を大事にする

フロー(Flow)とは、ダッシュボードに安定した、意味のある、良く整理された『情報の流れ』が含まれることを意味します。ダッシュボードでは、全てのコンテンツをどこに置くかが重要となります。

コンテンツの配置について

ダッシュボードの配置を、「ニュースWebサイト」のように考えてみましょう。見出しを一番上に、その後にユーザーは詳細をスクロールします。この部分については「人々が情報を読む方法」を活用します。英語読者の場合、左上→右→下→左といった流れとなります。

以下の例では、「キャンペーンの掲載結果セクション」が見出しとなります。詳細に興味がある場合は、その下から始まる「Profit Analysis」(利益分析)セクションを見ることが出来ます。余白とタイトルを使用して可視化を作成し、ストーリーをセクション単位で分割します。可能な限り、各セクションを1ページ程度に保つようにすることも大事です。

また、タイルの配置についてはサイズを標準化して並べるとダッシュボードがよみやすくなります。

組み込みダッシュボードの配色について

埋め込みを行う場合、(埋め込まれることになる)ダッシュボードの色をカスタマイズして、埋め込む側のアプリやWebページに配色を合わせることが出来ます。

以下はその一例ですが、配色を合わせることで製品内のフローも維持出来ます。

埋め込みダッシュボードのテーマをカスタマイズする場合は、以下ポイントに気をつけましょう。

  • テキストが読みやすいように、テキストと背景色の間に高いコントラストを作成
  • 色に夢中になりすぎない:"データ"が主役であることを忘れずに、「顧客が見る情報に対して行動を起こすこと」を念頭に置いたカスタマイズを行う

 

まとめ

というわけで、Lookerにおける、"ダッシュボードを最高の状態に仕上げるための『5つのヒント』 "のご紹介でした。

特に意識していないと、ユーザーの作るダッシュボードはどうしてもコンテンツを詰め込みがち/装飾をしがち/複雑をしがちになってしまうものです。今回ご紹介したエントリでは、その辺りを「ダッシュボードを作る前から」留意しつつ、且つそれらを維持していく方法について把握する事が出来ました。私自身もこれらの点に気を付けながら、ダッシュボード作成を行っていこうと思います。