Looker Studioで異なる条件のグラフを比較する小技

2023.10.17

データアナリティクス事業本部の武田です。 今日は、Looker Studio(旧データポータル)ので条件が異なるグラフを比べたい時の小技をご紹介します。

したいこと:都度入力する検索条件で絞ったグラフと条件を絞らないグラフを比べたい

具体例としてTableauをインストールすると付いてくるサンプルスーパーストアで説明します。

比較したいものは月別売上で、下記を見比べたいとします。

    (1)カテゴリを絞る検索条件で絞った折れ線グラフ
    (2)カテゴリを絞らない全体の折れ線グラフ

(1)のグラフでは、カテゴリを絞るのでコントローラーにカテゴリの条件を入れることになります。 しかし、(2)のグラフではカテゴリで絞りたくないので、コントローラーを設定したくありません。

(1)と(2)のグラフを見比べることで、全体の売上推移と特定カテゴリの売上の推移を比較したいとします。 どのように作れば見比べられるようになるか?というのが今回のテーマです。

解決法1:左右で見比べる

(1)は特定のカテゴリに絞って出すグラフなので、内訳ディメンションに「カテゴリ」をセットしました。 また、カテゴリを検索条件としてセットできるように、コントローラを用意しました。

(2)はカテゴリの絞りはなく、全体の売上になるので、内訳ディメンションには何も設定していません。 こちらの方はコントローラ不要です。

このままだと、(1)のコントローラが(2)のグラフにも掛かってフィルタしてしまうので、 (1)のグラフだけに掛かるように設定します。

特定のグラフだけにコントローラを掛けるようにしたい場合、該当のグラフとコントローラを選んで、 右クリックしてグループ化します。今回の場合は、(1)のグラフとコントローラをグループ化します。

これで、(1)は特定カテゴリに絞った売上、(2)は全体の売上の折れ線になりました。

このままだと、売上の軸が違うので、金額の大きさの違いは分かりません。 (金額の大きさの違いより、「凸凹の形」は比較することはできますので、見たいものによっては、このままが良いということもあります。)

金額の大きさの違いも見たい場合は、軸を揃えます。 (1)のグラフのスタイルのY軸の最大値を、(2)のY軸の最大値と一致させます。

これで、左右で見比べるという形で比較することができました。

解決法2:事前に集計した結果をDBに持たせておいて、グラフを一つにする

左右のグラフではなくて一つのグラフにしたい場合、事前に集計させた結果を持たせる方法で実現できます。

下記のように、日別カテゴリー別に集計し、合計行も追加したものを用意しました。 このデータの持ち方は、エクセル上ではよく行われていますが、DBのデータの持ち方としては、理想的ではありません。 テーブルの中のデータを合計すると売上合計に一致するようにデータを持たせるのが本来の姿ですが、このような合計行があると、その分、金額が膨らんでしまいます。 今回の事前集計は、BIツール側でうまく見せるために、必要にせまられてやっていると思ってください。

こちらのデータをLooker Studioに取り込んで、解決法1と同じ設定で折れ線グラフを表示します。 カテゴリでコントロールを作成し、「合計、家具」の二つを選択した状態にします。

二つの異なる検索条件のデータを一つのグラフにしました。

解決法3:検索条件とグラフを二つ作って、グラフを重ねる

解決法2はデータの事前集計が必要で、少し手間がかかってしまいます。そこで、データ加工はせずに、どうにかLooker Studioだけで二つのグラフを一つにできないかと考えたのが解決法3です。 それは、グラフを二つ重ねてしまうという小技です。

解決法1で作ったグラフをベースにします。ただし、グラフとコントロールが1つずつ対になるように、カテゴリを指定するコントロールを一つ追加します。一つは家具等のカテゴリーを指定させて、 もう一つは合計を指定するようにして、グラフ1つとコントロール1つずつでグループ化します。凡例を消して、軸を一致させておきます。凡例を消してしまうので、どちらが何色だったのかがわかるように、 コントロールの枠に色をつけておきます。

あとは、グラフをピッタリ重ねるだけです。

(注)軸が一致してないとこの小技は使えません。最大値が変わってしまう場合は軸の目盛りが変わってしまうのでピッタリ重ねることができないからです。最大値がいつも固定されている時に使える小技です。

ふりかえり

今日は、Looker Studio(旧データポータル)ので条件が異なるグラフを比べたい時の小技を紹介しました。 特定の分類のデータを、「全体」と比較したいという場面は結構あるのかなと思いますので、その時に使っていただければと思います。