はじめてのAWS Snowcone – (1) はじめに

2021.12.12

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しばたです。

ちょっと仕事でAWS Snowconeを扱う見込みでドキュメントなどを調べていたのですが「これは実機を触ってみないとわからん!」となったので実際に注文してみることにしました。
(こういう時にあっさり許可をくれる弊社はとても良い会社です。)

ということで本記事を含め何回かに分けてAWS Snowconeを試してみたブログを書いていきます。

目次

注意事項 (免責事項)

今回ドキュメントを見るだけではわからなかった部分があるため実際に実機を試すことで理解を深めようとしています。このため記事を書いた時点ではAWS Snowconeの仕組みや仕様について誤解している部分があるかもしれません。

記事の内容に誤りがあった場合は随時修正していく予定ですが、記事の内容が100%正しいことを保証できない点はご了承ください。

AWS Snowconeとは?

AWS SnowconeはAWS Snow Familyで提供されるデバイスの一つです。

AWS Snow Familyは元々大容量のデータをオフライン転送するための専用デバイスとして提供され、最初にAWS Snowball、その後Snowball Edge、 AWS Snowmobile、AWS Snowconeといったデバイス *1が提供されています。
加えてSnow Familyの用途もオフラインデータ転送だけではなくエッジデバイスとして使うシナリオも増えています。

各デバイスの詳しい説明は公式サイトをご覧ください。

(https://aws.amazon.com/jp/snow/ より引用)

私個人としてのざっくりとした理解はこんな感じです。

AWS SnowconeはSnow Familyの中で一番小型のデバイスでオフラインデータ転送およびエッジデバイスのどちらとしても使う事ができるものとなります。
(この「どちらにも使える」点が若干厄介なのですが...それは後述します)

参考ドキュメント

基本的には公式サイトとユーザーガイドを見て下さい。

あとAWS Skill Builder(トレーニングポータル)でSnowconeを学習できるコンテンツ(一部日本語あり)が学べるためこちらも参考になりました。

基本仕様

2021年12月現在、SnowconeはストレージがHDDのAWS SnowconeとストレージがSSDのAWS Snowcone SSDと2モデル存在します。
この2モデルはストレージ以外は同一スペックとなっています。

詳細はドキュメントを確認いただきたいですが主要なスペックは以下の通りです。

項目 内容 備考
サイズ 227 mm x 148.6 mm x 82.65 mm
重量 Snowcone : 2.1 kg
Snowcone SSD : 1.81 kg
CPU 2 vCPU
メモリ 4GB
ストレージ Snowcone : 8TB HDD
Snowcone SSD : 14TB SSD
ネットワーク 1GB/10GB RJ45 x 2 1GB/10GBでネゴシエーション可能
ネットワークケーブルは別途ユーザーが用意 (CAT6以上)
電源 要外部電源 (バッテリー駆動可) 外部バッテリー or 電源ケーブルは別途ユーザーが用意 (定格45W以上USB-C接続)

いい感じに小型でポータビリティが高い感じです。

あと極めて特徴的な点としてSnowconeに電源ケーブルは付属しません。
電源ケーブルはユーザーが自前で用意する必要があり、定格45W以上でUSB Type-C接続できるケーブル(または外付けバッテリー)が必要です。

AWSとしては以下の2製品が動作確認済み製品となっています。

ラインナップから見る限りどうも余ったノートパソコン用電源ケーブルを流用してほしい様です。

補足 : Snowconeワイヤレスの利用について

Snowconeは仕様上Wi-Fiを利用可能と記載されているのですがどうもWi-Fiを利用できる国に制限がある様で、残念ながら現状日本においてSnowconeのワイヤレス機能は利用できない模様です。
2022年1月12日現在、東京リージョンでもSnowconeのワイヤレス機能が使える様になっています。
単純に機能を展開する時期の問題だった様です。

利用料金

利用料金の詳細は料金ページをご覧ください。

基本的にはデバイスが到着してから返却するまでの利用日数に応じた料金がかかります。
加えてデバイスがAWSのサービスを利用する場合はその利用量(主にデータ転送量)に応じた金額が発生します。

ただ、大抵のシナリオに於いては以下の金額を押さえておけば問題ないでしょう。

内容 AWS Snowcone AWS Snowcone SSD 備考
ジョブ1件当たりのサービス料 60 USD 150 USD 1ジョブ≒1注文
5日間の利用費込み
1日当たりの利用費 6 USD/day 15 USD/day
ロストフィー(損耗費) 2000 USD 5000 USD 紛失、破損はしないようにしよう
配送料 調査中120 USD 調査中120USD 国により異なる

(※表の価格は2021年12月時点のものを記載)

【追記】デバイス配送料について

今回Snowconeデバイスを試した際にサービス料の60USDとは別に120USDの請求が発生し、この内訳についてAWSサポートに確認したところ「配送業者(西濃運輸)による配送料」とのことでした。

2022年1月現在、日本国内におけるSnowconeデバイスの配送料は120USDとなります。
ちなみにSnowcone SSDの場合も同額とのことです。

利用シナリオ

本日時点でSnowconeには大きく3つの利用シナリオが存在します。

シナリオ1. NFSストレージとしての利用

Snowconeで提供される8TB(Snowcone SSDの場合は14TB)のストレージをNFSサーバーとして利用しオンプレ環境などのデータを収集、AWSへデバイスを返却後ストレージ内のデータをS3にロードするデータ転送デバイスとしての利用です。

おそらく一番認知されているSnowconeの利用シナリオだと思います。

シナリオ2. DataSync Agentとしての利用

次にSnowconeをDataSync Agentとして利用しAWS環境とオンラインでデータ転送を行います。
DataSync Agentとして使う場合Snowconeはデータの送信元、受信先、どちらとしても利用可能です。

DataSync AgentはAMIの形でプリセットされ、デバイスの初期設定時に仮想マシン(EC2)の形でセットアップする様です。

シナリオ3. 汎用エッジデバイスとしての利用

Snowconeにユーザーが独自にカスタマイズしたAMI *2をプリセットする形でデバイスを注文し、ユーザー独自のEC2をデバイス上で利用することもできます。
また、AWS IoT Greengrassデバイスとしての利用もサポートされています。

ジョブの選択と複合シナリオについて

Snowconeデバイスで利用可能な機能と併せてデバイスの注文方法も利用シナリオに影響します。

Snow Familyではデバイスの注文から返却までの一連のフローを「ジョブ」という形で定義します。
本日時点でSnowconeで選択可能なジョブは以下の2つとなります。

  • Amazon S3へのインポート」ジョブ
  • ローカルコンピューティングとストレージのみ」ジョブ

「Amazon S3へのインポート」ジョブでは予めAWSにより8TB(or 14TB)のストレージがデータ転送用に設定されたうえでデバイスが送られてきます。デバイス返却後にこの領域のデータをS3にロードします。
対して「ローカルコンピューティングとストレージのみ」ジョブではストレージをユーザーが自由に利用できる形でデバイスが送られ、デバイス返却後はS3へのデータロードは無くデータの消去処理のみ実施されます。

ここまでは良いのですが、どうやらジョブと各シナリオを複合的に組み合わせて利用できる様で、実際どの様なデバイスの設定ができるのかは試してみないとわからない感じです。

Snowconeデバイスで使える各機能(EC2)が消費するリソースは以下の様に記載されています。

種別/インスタンスタイプ vCPU Memory 同等タイプ 備考
Preloaded NFS Client 1 1GB t2.micro Amazon S3へのインポート ジョブでのみ利用可能
Preloaded DataSync Agent 2 4GB t2.medium
snc1.micro 1 1GB t2.micro 最大2インスタンス
snc1.small 1 2GB t2.small 最大2インスタンス
snc1.medium 2 4GB t2.medium 最大1インスタンス

これらの機能をデバイスの最大(2vCPU, 4GB Memory)を超えない限り組み合わせることができる様に読め、例えば下図の様なNFSサーバーとEC2の組み合わせも可能なのではないかと思われます。

(実際できるかはまだ不明。これを確かめるために注文したので...)
NFSサーバーとEC2の組み合わせは実際に可能でした。
AWSのブログでもいくつか実例を見つけましたので以下に紹介しておきます。

終わりに

今回はここまでです。

本日時点でSnowconeを注文済みで到着待ちの状態です。
次は実際に注文するまでの手順を紹介したいと思います。

脚注

  1. AWS Snowmobileをデバイスと言って良いのかは議論の余地がありますが気にしないことにします
  2. ただしベースとして使えるAMIに制限あり